表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

完食者0人の超巨大ラーメンに挑戦してみた!

「俺の名前は橋本ユウマ!別名、モトヤン!まだ登録者300人の駆け出しYouTuberだけど、いつかナンバー1配信者になる男だぜ!」


意気揚々とカメラに向かって語るモトヤン。しかし実際には、彼の動画の再生数は悲しいほど少ない。そんな彼が今回挑戦するのは、地元で有名な「長嶋家」の完食者0人の超巨大ラーメン。これを完食すれば一気にバズること間違いなし!と、彼は勝手に信じていた。


「今日は絶対にバズってやる!みんな、俺の勇姿を見てくれ!」


モトヤンが店主を呼ぶと、奥から巨大なラーメンが姿を現す。そのサイズにモトヤンは思わず引きつった顔で叫んだ。


「え、なにこれ!? ドンブリが…風呂桶サイズじゃねえか!!」


店内の客たちも驚いて振り返り、「誰か、あのバカの救急車呼んでやれよ」とひそひそ。店主はニヤリと笑い、「さあ、60分で完食できたら君が初の成功者だよ」と告げる。その挑発にモトヤンは勢いよく箸を取った。


「余裕っしょ!俺、今日は伝説になるから!」


最初は勢いよく麺をすすり、肉も豪快に食らうモトヤン。しかし15分を過ぎた頃から、その笑顔は明らかに変わり始めた。


「な…なんか、全然減ってない…というか、増えてる!?」


彼は箸を止め、よくよくラーメンを見つめる。そして驚愕の表情でカメラに向かって叫ぶ。


「これ、無限ラーメンじゃねえか!?」


店主は目を伏せて「無限かどうかは、君の胃袋次第さ」と謎めいたことを言う。その瞬間、モトヤンは心の中で「今すぐ帰りたい」と思ったが、カメラの前なので必死に笑顔を作る。


スマホでコメントを確認するモトヤン。コメント欄は冷たい視聴者の声で溢れていた。


「無理だろこれ」「お前の胃袋はブラックホールかよ」「泣いてるのが目に見えるぞ」と揶揄するコメントが飛び交う中、「がんばれ、モトヤン!」と唯一励ましてくれる幼なじみでありファン代表のケンタが登場。


突然店のドアがバタンと開き、「モトヤン!お前ならできるって信じてるぞ!」と、ケンタが駆け込んできた。だが、応援の勢い余って店内に入るなり床に転び、皿の上の餃子をひっくり返してしまう。


「おいケンタ、何やってんだよ!やめてくれ、もう変な空気になってるだろ!」


ケンタは照れ笑いを浮かべて、「いや…お前の応援に来たんだ!」と再び応援モードに戻るが、周りの客たちは冷ややかな視線を送る。


残り30分、モトヤンの胃袋はすでに限界に近い。しかし、スープの香りが変わったことに気づいた。ラーメンのスープが…なんだか少しずつ真っ赤に染まってきている。まさか…と、店主を見つめると、店主がニヤリと笑った。


「ちょっと刺激が足りないかなと思って、秘伝の『激辛スパイス』を追加しておいたよ」


「えええっ!?」


口にした瞬間、モトヤンの顔が真っ赤に染まり、目から涙がボロボロと溢れ出した。火を吹くような辛さで喉が焼ける!「これって食べ物じゃなくて、兵器じゃねえか!」と叫ぶが、店主は冷静に「それが伝説のラーメンなんだよ」と涼しい顔。


無理だと思ったその瞬間…


残り10分、モトヤンは完全に意識が朦朧とし、巨大ラーメンを睨みつけながらカメラに呟く。


「これが…俺の限界か…」


突然、画面の向こうから視聴者のコメントが届く。「モトヤン、お前、そんなもんでギブアップか?見損なったよ。」挑発に燃え上がったモトヤンは、怒りの力で再び箸を握り、残った麺に挑むことを決意。


「誰が負けるかよ、見てろよお前ら!俺が伝説になる!」


タイマーが残り1分を告げる。しかし、ラーメンはまだ三分の一も残っている。


「えーっと、今回はギブアップだな!みんな、ごめん!でもこの動画をバズらせて、次こそ絶対リベンジするから!」


カメラに向かって最後の笑顔を見せたその瞬間、突然ケンタが「俺も挑戦するぞ!」と横から麺を掴んで食べ始める。


「お前、何やってんだよ!」とモトヤンがツッコむが、ケンタも泣きながら「これ…俺には辛すぎる…!」と泣き叫ぶ。二人は涙と汗でぐちゃぐちゃになりながら、店内は騒然としたまま動画は終了。


翌日、コメント欄は「最後のケンタがすごすぎる」「もはやラーメンがボスキャラ」「モトヤンの挑戦に泣いた」など、予想外の反響で溢れ、再生数は普段の5倍に跳ね上がっていた。


モトヤンは嬉しそうに画面を眺め、「次の挑戦はもっとすごいぞ!」と、また新たな企画に向かって走り出すのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ