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義妹が婚約破棄された。その方が幸せになることを知っているので流したが、それ以上はさせないぜ!?(連載版)  作者: 蒼井星空


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第16話 バカな弟が王家に丸め込まれてるみたいだけど助けてもロクなことにならないのがわかっている件

翌日、嬉しそうに昨日買った魔法陣を脇に抱えて学院に向かうエフィを送り出した。

いつも使っているカバンから昨日プレゼントした杖が入りきらずに出ているのがまた可愛い。


もうすでに肌身離さず持ってくれているんだな。

なんなら指輪でも贈りたかったが、まだ重いというか、『お兄様なぜ?』となってしまいかねないからやめておいた。


それでも薄っすらとだけど化粧してるエフィは可愛すぎてやばかったな、

兄の理性をあっさりと消し飛ばすとは、エフィ恐ろしい娘!


しかしなんか心境の変化でもあったんだろうか。

あんなに飾り気がなかったのに、ちょっとおしゃれさんになってて、控えめに言って最高だ。


それとなくエフィにつけているメイドに聞いてみたが、『婚約破棄のことを気にせず明るくなってくださって嬉しいです。クラム様のおかげですわ。私が言うことではないかもしれませんが、感謝しています。エフィ様のあんなに可愛らしくていじらしいご様子が見られて幸せです』とか鼻息荒く言われてちょっと戸惑ったのは内緒だ。



まあ、元気になったのは良いことだな。

最近、ロイドも帰ってこないし、家の中が平和だ。

エフィもミルクだけで朝食を終えることはやめてくれたようで、それも安心している。


少しだけ丸みを帯びてきたような気もする。

言葉に出して『お兄様最低!』なんて言われたら立ち直れないから言わないけど、良い変化に思うんだ。


後は変な虫がつかないように気を付けるだけ……と思ってたらロイドが帰ってきやがった。

胸糞悪い。俺の目の前に顔を出すなと言いたいが、一応これでも嫌なことに残念ながら弟だから仕方ないか。



しかも俺は側室の子。ロイドは正妻の子。


なお、俺と正妻の関係は良好だ。

そもそも母は亡くなったが、それは正妻であるローザ様を守ってのことだ。


もともと護衛の魔法騎士だった母に手を出した父さんに思うところはあるが、本人たちは幸せそうだったし、ローザ様もユリアならば不満はありませんと言って受け入れていた。

妻同士が争い、その余波を受けて子供同士が憎み合ってるどこかの家よりよっぽど良い状況だった。


どう見てもボンクラなのにそんな感じで何ごとも上手く回している父さんは実は凄いんじゃないかと考えたことがあったな……。

結論としては運がいいだけの人だと思うが"強運"なんて持ってるんだから羨ましい。


「聞いているのか、クラム!」

そんな両親たちからなんでこんなバカが産まれたんだろうか?

なに? 呪われてたりするのかな、君は?


「おい! どうして魔石の供給が止まったのかと聞いているだろ? 王家が守護結界の魔道具に魔石を投入できなくなって困ってるんだぞ?」

俺がそんなことを考えてるなんて露とも知らず、どうせクソ王子から怒られたか頼まれたかしたであろうことで文句を言ってくる。


それ、俺たち関係ないけど?

どうせ勝手に魔石を横領していたやつがいて、仮に魔石を供給していたとしても真っ当には使ってなかったってこと、理解してないんだろうな。


ローザ様がいれば大人しいのに、いないとこうして俺やエフィのことを小ばかにしてくるように成長したのはなんでだろうな。

まぁ、きっとクソ王子にコロッと言いくるめられて良いように使われているんだろうが、もともと持った考えや特性がないとここまで酷いことにはならないだろう。


過去に何度かこいつに"人物史"を使ったことがあるが、どんな未来でもこいつは俺やエフィに敵対する。

特に両親が死んだ後にこいつが生きていた場合が酷い。


<ロイドは当主になれなかったことを逆恨みして襲撃してきたが結局負けて死亡>

<ロイドは冒険者ギルドで雇った怪しい冒険者にエフィーを襲わせるが、その事件がバレて処刑>

<ロイドは憤死>

<ロイドはエルダーウィズ公爵家の秘密を王家やライバル家に売る>

<ロイドは怒りながら商館で酒を飲んで暴れて逮捕。俺はエルダーウィズ公爵家だぞ?がネタにされる>

<ロイドは腹いせにエルダーウィズ公爵家のつけと称して飲み歩き、勝手に破産する>


こんなのばっかりだ。

なんだろう、お話の中のバカな敵役が出て来たみたいなバカだ。


どんな未来でも邪魔になるこいつを助ける気はない。

ローザ様には死んだ後に詫びることにしてる。


そもそもエフィに辛く当たるこいつは俺の中では既に死んだ人だ。


「ふざけるなクラム! お前覚えてろよ!? 俺が当主になったらお前なんか!」

あまりに放置した挙句、魔石は全部使ったからもうないこと、それでも王家との契約量は流通させているから問題ないと説明したのに怒り出した。


さすがに公爵家の部下がいる場所で怒りに任せて魔法を撃つのはなしだぞ、ロイド。

そんな君には教育が必要だ。


エフィの真似をして初級魔法だけでぶちのめした。

どうだ? 上級魔法を頑張って使ったのに、初級魔法で相殺されるのって楽しい? ねえ、楽しいの? 嬉しい?

男の嬉しょんなんて興味ないから、蹴り出しておいた。


そう言えばお前、エフィに『恥さらし』とか言いやがったらしいな。


「いくら公爵家の中だからと言っても、闘技場で漏らして侍従の世話になる方が恥ずかしくないか?」

「クラム様、その辺で……」

あまりの怒りに気絶したらしい。ふん。俺の教育が理解できることを祈るばかりだ。


そして世話をさせる者たちに申し訳ないから、心づけを渡しておいた。

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