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3

傷痕が消えないのを確認した公爵夫妻とエレナはこの世界の私のお父さんたちを呼び出した。


謝罪かな?


神妙な面持ちでこっちの世界のお父さんお母さんに面と向かっていた。


「大切な娘さんの顔に傷が残るような事故が起きてしまった。こちらの注意不足によるものだ。大変申し訳ない」


そう言いながらお付きの人を呼びつけて何やら紙をもらっている。


「お嬢さんの顔に傷があっては色々と不便を強いられるだろう。これは君たちご家族が当分生活に困らない分だ。ぜひ受け取ってほしい」


公爵様はそう言いながらお父さんたちに紙ペラを渡した。どうも小切手みたい。慰謝料かな?


2人が息を呑む音が聞こえる。


いくらだったんだろ?


「それとこのままでは良い縁談をまとめるのも大変厳しいだろう。なので我々が責任をもって縁談を紹介させていただく」


「そ、それは公爵様のお手を煩わせることになるのでは……」


「いや、気にするな。我らの方の不始末をつけているにすぎん」


「きょ、恐縮です……」


お父さんは縮こまってしまった。


まあ、お相手偉い人だからねぇ。


ちなみにここまでの話で、私の額に傷が残った理由については何も言ってない気がする。上級貴族のプライドで口にしないのかな?


「ご家族で積もる話もあるだろう。客室を用意してある。しばらくは家族3人で過ごすといい」


そういわれ、私たち家族3人は応接室から追い出されて客室に通された。


すごい!ひろい!ベッドでかい!


しばらくこの部屋使っていいんだ。お手伝いさん用の共同部屋とは大違い。


客室からお手伝いさんたちが出て行ったのを見て、お母さんが私のおでこをさすった。


「かわいそうに。もうこの痕消えないのね……」


「おまえのためと思って送り出したのにこれではあんまりだ」


お父さんもお母さんも心なしか憤慨してるように見える。


「クソッ!こちらが男爵家だからって足元見よって!」


「あまり大きな声を出さないでください。小切手をいただいた手前ですよ?」


お父さんはスッと胸元のポケットから先ほどもらった小切手を取り出してチラリと見た。それから大事そうにそっとしまった。


ホントいくらだったんだろ?


「傷が残ってしまった事実はもう消えません。もう公爵様に良い縁談を持って来てもらうのを期待するしかないでしょう……」


「スマンな、ステラ。家格だけで縁談をまとめられる立派な父親じゃなくて」


およよ〜とお父さんが泣き崩れた。大袈裟すぎるでしょ。


でも、とふと思い出す。


ゲームだとエレナの額に傷が入った時、公爵様はイジメられたエレナにも原因があるみたいな言い方した上、嫁として送り出す役にも立たんみたいなすっごいこと言ってなかったっけ?それに比べると私はそんなこと言われない上に補償もされてるからマシなのかなぁ?


傷痕が残らないのがベストだけど、私とエレナ、傷が残った時にどちらがマシだろうって言ったら、多分私なんだろうなぁ。エレナ、このままだと孤立しそうだったし。


そう思いながら、その日は久しぶりに3人で川の字で寝た。


この歳になると早々に家族3人で寝ることなくなるよね〜。


スヤァ……。


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[良い点] 小切手大事そうにしまうお父さんすこ。 [一言] すやァ……
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