かく語りき
王都をあとにして、石畳の道を歩く。
どこに向かうわけでもないが、王都にいても面白いことはない。
我を創造主と信じたかは別として、超越者であることは理解しているようだし、至高のザマァを感じられることはもう出来ないだろう。
「なんで我についてくるんだ、淫乱」
「え!? いんらんって私のことですか!?」
振り返るとラピスがいる。
そういえば、淫乱設定ではないんだった。
「アランさま……一いえ、創造主さま。私は御身に仕える者として、今後もお傍に置いていただけることを至上の喜びとして」
「わかった、わかった。じゃ、我の命令を何でも聞いてくれるなら、今から最初に会う男と寝てくれる?」
「え!? それは閨を供にせよとのことですか? アランさまではなく?」
「そうだよ、知らない男とエッチしろってこと。我の事を考えながら」
ラピスの顔が恥ずかしさで真っ赤に染まる。
下唇をプルプル震わせながら、揃った銀色の前髪で表情を隠すように俯く。
これは感じているのか? それとも羞恥心?
「わ、わかりました、それを御身が下される試練なら、どんな男性とも閨を供にいたします」
「……試練、試練って考えかぁ」
これは試練なのです! とか言いながらアへ顔ダブルピースするのも、まぁまぁ絶望的だけど、やっぱり、純粋に淫乱の方が絶望感高めだよな。
それに知らない間にライバルの男の上でアへ顔ダブルピースの絶望には何しても勝てない。
ああ、ベリル、悪役ベリル、頑張ってくれないものかな。
あの憎たらしいドヤ顔が懐かしい。
戻れるものならあの時に戻りたい。
「あぅぅ……アチラから誰かが来ます……こころの準備だけでも」
「いや、ラピスもういいよ」
「ダメです!! 御身は私めを試しておいでなのですよね? 必ずや私は御身のご期待に添えるべく閨を供にいたします!」
……これはもう裏切りでは無く信仰だわ。
道の先から誰かが走ってやってくる。
遠近感があるがシルエットからして男性だ。
だんだん、近づいてくる。
結構、大きくね?
「あああ、そんなぁ、もう準備までされて……あ、あんなに大きいなんて私は……」
「おお、これは賢者さまだわさ! 助かったのねん!?」
語尾のおかしなマッチョ村人Aが素っ裸でブラブラとトウモロコシほどのものをぶら下げている。
ぱたりとラピスが倒れる音が聞こえた。
※※※
「う、うう、ダメ、そんな大きいのは……」