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転生ファラオ  作者: 深峰
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第一章1 〜夢?〜

ー….ラン…..きて……ー


薄暗い暗闇の中、心配そうな少女らしき声が聞こえてくる。


聞き覚えのない声だ。


ーアラン…..きて……ー


アラン?聞いたことがないな。人の名前だろうか?


「起きなさいって言ってんのよ・・・・!!」


少女の泣き叫ぶ声に、俺は目を覚ました・・・。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




雲ひとつない青空。ただ悠々と聳え立つ太陽だけがこちらを照らしている。


ーここは・・・?どこだ・・・?ー


心の中でそんなことを考えながら、


「まぶしい・・・。」


照りつける日差しを掌で遮る。




「アラン・・・!?生きてるの!?よかった・・・。」


先ほど聞こえた少女の声が横から聞こえてくる。


ーさっきも聞こえたが、一体アランって誰なんだ?ー


気になった俺は、横たわっている体を少しだけ起こすと、声のする方へ目線を配る。



一体なにがあったのだろうか・・・? 


怖気と安堵が入り混じった表情で、ただ呆然と涙を流している少女の姿がそこにはあった。



見覚えのない少女だ。


肩に触れる程度の赤銅色のセミロングを風に靡かせながら、涙ぐんだ赤い瞳でこちらを見据えている。


身長は座り込んでいて詳しくは分からないが、平均的と言ったとこだろうか。


目鼻立ちがハッキリとした端麗な顔立ちは、気強さと可愛らしさを同居させているが、泣いていたせいか鼻先を少し赤らませている。


体格は細身で筋肉質。自ら鍛え上げた筋肉と言うよりかは、おそらく自然に培われた筋肉だろう。



と、まぁ….


ーこれだけでも、普通の少女ではないことは察しがつくのだが・・・。ー


それ以上に目に付くのは、その少女の格好だった。


少女は胸部と股座のみを皮革製のビキニで覆い隠し、日焼けた褐色肌を大胆不敵に曝け出していたのだ。


ーほぼ全裸じゃないか!?ー


その他には爪先から太腿にかけてを金属製のグリーブで身守り、装飾品をいくつか身に付けているだけであった。





ーこれはどういう状況だ・・・?ー


ほぼ全裸で涙ぐむ少女を眼前に、俺の頭の中は混濁としていた。


少女の表情や格好からして、何かしらあったことは確かだろう・・・。


詳しいことは分からないが、おそらく我が国の民。


王たる者として見過ごすわけにはいかない。



ーひとまず、本人に直接確認してみようー



「大丈夫か・・・?いったい何があったのだ??」



俺は、涙を浮かべる大きな瞳を見据えて問いかけた。



「だっ大丈夫に決まってるでしょ!アンタに心配されるなんて心外だわっ!」


慌てて涙ぐんだ瞳を拭いながら立ち上がった少女。


すると、焦りと怒りが混じったような声色で言い放ち、顔を隠すように外方向いた。




そんな、あまりにも想定外な態度に対して俺は、


「ぶっ無礼も・・・・」


つい叱責しそうになる。


待て待て。一旦落ち着こう。


人からあんな態度を取られたのが初めてで、つい興奮してしまった・・・。


いっときの感情に身を任せるなど王としてあってはならないこと。


この少女はきっと、ショックのあまり我を失ってしまっているだけだ。


一先ず、何とかして少女を落ち着かせなければ。


今までこんな場面に遭遇したことはなかったが、こんな時こそ王<ファラオ>の腕の見せ所なはず。




「ぶれいも???」


「なにそれ?一体どんな芋よ」


バカにしたかのような声で嘲笑っている少女。


だが、少女の顔はどこか嬉しそうな表情を隠しきれない様子だった。


無礼な態度は相変わらずだが、それはひとまず置いといて・・・。


何故かは分からないが、少し落ち着きを取り戻してきたようだな。


ー変わった少女だー


何故か嬉しそうな様子の少女を眼前に、


俺は軽く微笑むと、


「それで、一体何があったのだ??」


少しズレていた話の流れを元に戻すように、再び少女に問いかけた。


「何よその変な言葉遣い??.....まぁそれはいいわ。」


「…….っていうかアンタ何があったか覚えてないの・・・!?」


少女は目を見開き、驚いたように唐突に声を上げた。



ー覚えていない・・・?ー


少女にそう言われて、


俺は過去の出来事を頭の中で思い浮かべて整理する。



確か….突然、原因不明の高熱と身体中の痛みに見舞われて・・・。


危篤状態に陥った俺の周りを家臣たちが取り囲んでいた気がする・・・。


それから俺は….病弱で王として何もできなかった自分を責め立てたんだ・・・。


そして….自分の死を察した俺は….理想の来世を思い浮かべて・・・、


「死んだ!?」


心の中で叫んだつもりが、驚きのあまり声が漏れる。


「そうよ!ワイバーンに襲われたっきりピクリとも動かないからアンタが死んだと思ったのよ!」


わいばーん??何だそれは?何かの動物だろうか?


まあ・・・何はともあれ、


ー俺はてっきり自分が死んだものと思っていたが。どうやら気を失っていただけらしい。ー


まぁ、現にこうして俺は生きているんだから当たり前の話か。


ーしかし、少女は俺のことを心配して涙を流してくれていたんだな。ー


わいばーんとやらに襲われたことは覚えていないが、


「俺のことを心配してくれてたんだな。ありがとう。」


俺は一先ず、自分を心配してくれていた少女に礼を言った。



だが、俺の記憶が正しければ、


ー俺を囲んでいた家臣たちはどこへいったんだ??ー


ーというか何で俺は宮殿外にいるんだ??ー


他にも疑問に思うことが山ほどあるのだが・・・。



「べっ別にアンタの心配なんてしてないわ・・・!さっさと村に帰るわよ!」


険しい顔で考え込んでいる俺の思考を遮るように少女は声を張った。




「ん?村?宮殿に戻るのではないのか??」


「アンタ頭でも打ったんじゃないの??早くしないと置いてくわよ。」


またもやバカにしたように俺を嘲笑うと、後ろへと振り返り少女は歩き出す。




背中を見せながら徐々に遠ざかっていく少女。


そんな後ろ姿を眺めていると、視界の端にチラリと緑色の何かが顔を覗かせていることに俺は気づいた。


ーなんだ?ー


その緑色の何かが気になり、すぐさま周囲を見渡した俺は


目を疑った。




ー信じがたい光景だ・・・。ー


それは渇きの多いエジプトでは、絶対にありえない光景であった。


なんと….幅広い土道だけを残して、大地全体を草木が支配していたのだ。



「なんだこの緑が生茂る夢のような楽園は!?」



砂漠化が進行している我が国にも、まだこんな緑豊かな地があったとは・・・。


あまりの驚倒と感動が入り混ざり、俺はただ茫然と立ち尽くしていた。


閉じた口が塞がらない。まさにそんな状態だろう。




「何やってるの!!ホントに置いてくわよ!!!」


随分と遠退いた少女の声は、緑の中を駆け抜けて反響する。




ーこれは夢なのか??ー


現実なのか、それとも非現実なのか。


混濁とした脳内の処理が追いつかない俺は、


とりあえず思考を停止して少女の後を追うことに決めた。



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