第51話 京へ
ちょっと、忙しくて更新が飛んでしまいました。51話が長くなったんで二つに分けます。
次の52話で「源平合戦 開戦編」は完結します。
○京の都…郊外の廃屋 中
人気のない猟師小屋の中……、その場に静かに転移陣が現れる。やがて中から慶次郎が出てきた。弥太郎が続く。2人は辺りを見回した。
「よう」
いきなり声をかけられて、慶次郎はドキリとする。背後にいたのは、いつもの安竜和尚だ。
「和尚……。良くここがわかったな。」
「あっしが教えてたでやんす。」
と、弥太郎が言う。
「お前らやっぱり知り合いかよ……。」
「こいつは便利だからの。お主は随分、有名になっておるぞ。慶次郎。義経の一の家来、弁慶と言えば豪傑として巷で知らぬ者はいない程だ。」
「まあ、俺はだいたいの歴史の流れがわかってるからな。勝ち馬に乗ってる今ならあ少々の無茶はできる。」
そのせいで痛い目にあった……とは和尚には言わない。
「ちゃんと家来やっとるようじゃの。見直した。」
「俺は、ちょっとあんたを見損なってるよ。和尚」
「ほう。」
「特異霊装の生贄の事……なんで黙ってた? 当然、知ってたんだろ? 」
「そうか……知ってしまったか」
和尚は深いため息をついた。
「一つは、その事実に辿りつくまでにお主が諦めれば良いと思っていた。もう一つは、誰かに聞くのではなく、お主自身がこの世界と特異霊装の真実をその目で見て学び理解した方良いと思った。そんな所だな」
「まあ、別に怒ってはいない。それを理解した上で清盛に会いに来いってあんたそう言ってたんだろ? 今がその時……てじゃないか? 」
和尚がうなづいた。
「偉そうに言う気は無いが、成長したな。慶次郎」
和尚は微笑みながら言った。
次の戦いは、あの源義仲である。強敵だがまだ義経の軍は勝ち戦だ。次は絶対に、富士川の轍は踏まない。時間はまだある。今は、この清盛との対面で、出来る限りの情報を掘り出す。慶次郎は決意を新たにしていた。
「安心せい。これでも清盛とは長い付き合いでな。ワシに無断であいつがお前を手に掛けるような事はない。」
「ああ、そんな事を心配してたんじゃないよ。」
慶次郎は笑いながら言った。清盛と会って確かめなきゃいけない事は山ほどある。
転移のこと。特異霊装のこと。そして……慶次郎の脳裏に義経の顔が浮かんだ。いつの間にか、その顔を思い浮かべると、心臓が甘く締め付けられる事を慶次郎は意識していた。
神器『鞍馬』の暴走、大正坊という謎の男の存在。維盛が言っていた特異霊装との関係……。あいつが何者で、どんな運命を持っていても、きっと守って見せる。そのためにも、アイツの周りで今、何が起こってるのか、しっかりと見極めないと……。
慶次郎は一人、静かに、目を閉じた。
次はいよいよ、日本史上最大の英雄とヒロイン。あの人達が登場(今日の夕方くらいに投降します。)
それをもって、新章「源平合戦 木曾の太陽編」がスタート!!




