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義経異聞伝~ZINGI~  異世界行ったら弁慶でした  作者: 柴崎 猫
源平合戦 開戦編
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第39話 家臣筆頭

弁慶が一の家来と呼ばれるようになり拗ねた鬼三太は最近こう名乗っているようです。

〇富士川合戦場  対 大庭景親おおばかげちか


 大穴に落下していく忠信に、景親は容赦なく土をかけ、生き埋めにした。


「この量の土砂を押しのける爆破を土の下で使う事は出来まい……。すまんな。私は未だ死ぬわけにはいかん」


 景親は一言言うと、その場を去ろうとする。


「どこへ行こうというのだ? 大庭景親! 」


 上空から声がする。景親が空をみると、上空に巨大な鳥が一羽飛んでいるのが見える。その鳥から人間が一人飛び降りて来た。薙刀を持っている……。景親はとっさに、周囲の土を防御に自分の上に壁を作る。

 飛び降りた者の薙刀が壁に当たる。その瞬間、土壁はただの土に戻り、一瞬で崩れさる。


「何!? 」


 景親は慌てて自分の刀で男の斬撃をはじき、後方へと飛びのいた。上から落下してきた凄まじい衝撃で土埃が周囲に舞う。落ちて来たのは、鬼三太だ。


「その薙刀…神器か? 貴様…何者だ? 」


「源義経、家臣筆頭。鬼三太!! いかにも、この薙刀(なぎなた)は我が神器『大比叡だいひえい』」


「なるほど。佐藤忠信の代わりに今度は貴様が相手というわけか? すまんが、こちらにも時間が無くてな…ネズ吉! 」


 大庭景親の肩に乗っている鼠の目が怪しく光る。景親の周りに数個の岩が浮く。その岩が一斉に鬼三太へと襲い掛かる。

 鬼三太はブンと、大比叡を振るう。襲い掛かって来た岩は力を無くしてただの土くれとなり、その場に落ちる。


「貴様、その神器……まさか! 」


「さすがは大庭殿。気付かれましたかな? 我が神器の能力」


「神器の能力を消し去る能力か……。」


「ご明察。故に、貴方の土は私に届く事はない。そして、あなたのように、物体を操作する能力の場合は、術者とその者の力の繋がりを消滅させる。」


 景親は、忌々しそうに鬼三太を見る。


「同時にあなたが、この大地に長時間にわたって張り巡らせていた、気を練った土は先ほど上空からの一撃で全て解除させてもらった。もう、あの大規模殲滅攻撃は使えない。」


 『泰山たいざん』の大規模土操作は、長い時間をかけて気を練って少しずつ操れる土の量を増やす必要がある。一度に操れる土の量は今の大岩10個くらいの量がせいぜいであり、貯めて操作範囲を広げても、一度操作するとまた一から気をためなおさないといけない。景親は戦闘に入る前から大量に気を練った土をこの場に用意していたが忠信を倒した後源氏軍を攻撃する為の土を残す為に戦いながらも相当の土を作っていた。今、その土に『大比叡』が先ほど突き刺された


「仕組みが解れば、怖い神器ではない。もう土を用意する事はかなわんぞ。」


 鬼三太は、再び薙刀を地面に突き刺した。


「ふん。刀と今ある土で充分だ。死んだ佐藤に代わりお前が相手をするのか? 遠くから狙っている狙撃手と2人掛かりでも構わんぞ? 」


「いや、ああ、すまん。元々手出し無用と言われておったのだが、流石にこれだけの土砂の下から這い上がるまでに、アンタが去ってしまうと思ってな。」


「何? 」


 忠信はまだ生きているとこの男は思っているのか? いや、平泉には電話という道具があると聞く。既に生存確認を何らかの方法で……?


「あいつを殺しておったら、その狙撃手が黙ってはおらん。お、そろそろ……」


 ちょうど、さっき忠信が埋まった地面辺りだ。ゴゴゴゴと地鳴りがしたと思うと、そこで大爆発が起こる。そして、地中から忠信が飛び出してきた。


「さすがに危なかった……。まさか、地面に穴を開けてその中に押し込めるなんて思わなかった。」


「バカな!? なぜ生きている…? それもあの量の土砂の下からどうやって…? 」


「生き埋めは、風の『愛宕』で空間を作って回避した。」


ーーそんな、狭い空間であの爆破を使ったのか? 自爆に他ならないではないか……。


「仕組みは、さっぱりわからんが良く生きておったな。どうする。このまま手を貸すか? また、土の中に気を練られたら厄介だぞ。」


 鬼三太が忠信に言う。


「大丈夫。鬼三太は、今まで通り軍を神器使いの攻撃から警戒して守っていてくれたらいい。今度こそ大庭景親は、僕が倒す! 」


 鬼三太は、ニッと笑うと「任せた」と、一言言う。遠くで見ていた継信も、その様子を見て頷いた。


  

読んで頂いてありがとうございます。宜しかったら何か残していって頂けると嬉しいです。

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