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義経異聞伝~ZINGI~  異世界行ったら弁慶でした  作者: 柴崎 猫
源平合戦 開戦編
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第2話 いざ、石橋山

〇伊豆の国境付近


 結局、平泉からかなり離れたこの地まで義経は鞍馬で二人を連れて飛んできた。引き返す事を考えると平泉まで能力は持たないかもしれない。未だ、夜遅い時間だ。月は出ていない。


「気を付けてくれ…弁慶、忠信。」


 義経に言われ、2人はうなづいた。


「兄上が私にとっては最優先だ。だが、お前達を失っても……私は悲しいのだぞ……」


 義経は言うとチラチラと弁慶を見る…はい、かわいい。これは死ねないなあ、と弁慶は思う。


「援軍を出せるだけ情報が揃ったらすぐに知らせろ、いの一番で駆け付けるからな」


「大丈夫ですよ。弁慶も強くなったし、僕もついてます。」


「忠信の言う通りだ。頼朝さんと会った時に、周りにいる皆の涙を誘う気の利いたセリフでも考えときな」


 義経はふっと笑うと、鞍馬を使い飛び上がった。そして「頼んだ」と、言い残し鞍馬で飛び去った。


「よっしゃ…行くか。」


 慶次郎は忠信に言うと、スマホを取り出した。あの後、出発の直前…斥候部隊から、既に戦の勝敗は決し、頼朝は伊豆の山に逃げ込んだようだという。スマホの画面を見る。何度か伊豆の山は登った事がありアプリに地図が入っている。もちろんGPSは使えないので現在地はわからないのだが。


「すごいね。スマホって、こんなに暗くても光で見えるんだ。」


「まあな。なあ、この地図で言えば、俺達今どの辺だろうか? 」


さすがに800年前だし、そもそも世界線が違うから同じ地形とは限らない。が、忠信は大体地図を見て把握したようだ。


「今いるのは、この辺だね。どうする? 合戦場に行ってみるかい? 」


「いや、場所は心当たりがある。ここと、ここだ。」


 慶次郎はスマホをタップすると、赤い印が二つつく。


「触っただけで、印が出てきた。凄いね 」


「多分、頼朝さんはこのどちらかにいる。」


「なんでわかるの? 」


 説明しづらい…。が、以前、伊豆を歩いた時に、頼朝が隠れていた洞窟跡というのがあった。場所を覚えていてよかった。もちろん、今の時代、交通網どころか登山道も存在しないだろうが。問題は、その場所が離れた場所に数か所存在している事なのだ。説によって違うのか、あるいは何か所かを点々と逃げ回ったのか…。とにかく、保証はない以上、辺りをくまなく捜索するしかないだろう。


「方角はわかるか? 」


「大丈夫。僕が案内する。」


 慶次郎は「よし、おぶされ」と、忠信に背中を向けた。忠信はなぜか恥ずかしそうにモジモジとする。


「あ…うん。実はぼく馬に乗るのとかも苦手で…。お兄ちゃん以外の男の人の上に乗るの初めてだからさ。優しくしてね」


 「言い方ぁ!! 」と慶次郎の声があたりに響いた。


〇京 とある平家の屋敷


「私もすぐに伊豆へ行かせてください。」


 屋敷の一室、2人の男が向かい合っていた。今このセリフを言ったのは、久々に登場、あの平教経たいらののりつねである。


「源氏は鎌倉だけではないのだ。今は京を守らねばならんと言っただろう。それに、今入った一報では、石橋山の合戦では、こちらが勝利したというではないか」


維盛これもりがこの戦いに、この数年、どれだけの心血を注いできたと思っているのです。奴が人生の全てをかけて作った勝機。今が頼朝の息の根を止める最初で最後の機会やもしれませぬぞ。」


 教経にすごまれて、今、平家の棟梁を務める平宗盛たいらのむねもりは面倒くさそうに言った。教経は唇を噛む。北条への監査から、維盛が帰って来た時。最初に言った言葉は「頼朝はヤバイ…」だった。あれが本気で動き出したら平家は絶対に潰されると、彼はそう言った。


「だいたいお前も維盛も、東国の小国と源氏の残党を買い被り過ぎなのだ。仮に強い神器使いがいたとして一人で何ができる? 」


「神器使いの脅威は数ではありません。平家の誇る当代最高の神器使い、平維盛が脅威と認めた神器使いですぞ。」


「だが、もうそれも終わる。そうだろ? 」


 甘い…。教経は今の棟梁をそう見ている。実際、自分もその甘さに甘え、いくつか無理を通した事はあるのだが、源頼朝は手を抜いていい相手ではない。平泉の奥州藤原や義経一行と結びつくような事があれば、いとも簡単に勢力を盛り返してくるだろう。


「ならば、せめて、どうか…清盛様のお耳にこの事を入れて支持をお仰ぎ下さい。必ず清盛様も…」


「分かった、わかった。親父には伝えておく。もういけ」


 教経は不完全燃焼のまま、外にでた。教経は縁側を悩みながら歩いた。多分、話は宗盛で止まるだろう。今は維盛や大庭の力を信じるしかないのか…。


「話はつかなかったようだな。」


 庭に安竜和尚が立っている。


「安竜、貴様…いつからそこにいた…。」


「なに、清盛に用があったのだ。通りすがりにお前のバカでかい声が聞こえてな」


「ふん。だとしたら、何だ。中立を保っているならいいが、義経ら源氏に手を貸すと言うなら、この場で切って捨てるぞ。」


「こわいのお…。」


 安竜は庭をスタスタと歩いて通り過ぎた。


「あくまで、中立の立場からの助言だ。ここから先は平家の命運を分けるぞ。もし…特異霊装を驚異に思うなら、命令無視してでも伊豆へ行け。」


 すれ違い際に和尚はそう言った。


「特異霊装!?頼朝も既に手に入れているというのか?」


 教経は慌てて振り返ったが、そこには和尚はいなかった。教経は急ぎ京を出立の準備を始めたが、ほどなくして、木曽の地で源氏の一人、義仲よしなかが挙兵し、教経は京に足止めを食らう事になった。


忠信の可愛さは書き出すと止まらなくなるので注意が必要…。この子、史実通りにするか…どうするか…

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