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第14話 山鯨

○炭坑を見渡せる場所


 男の名前は判藤六ばんとうろく…元奥州藤原の家人で今は北の狼に属している。彼の神器の名前は『炎砲 山鯨やまくじら』。肩に担いで打つバズーカ砲のような形状をした神器だ。彼は今、平泉から来る者がいないか見張りをしている。しかし、彼の神器は索敵能力を持っていない。見張りの役をかって出たのは、あくまで夜目が効く程度の視力があったからだ。仮に大きく迂回されて接近されたら…。その襲撃を防ぐ手立てはあるだろうか? なぜ、ここまで準備が見切り発車の状態で我々は戦っているのか…。

 思えばここ数年で「北の狼」の概要は大きく変わった。昔は純粋に平泉の軍事強化を訴える為の武力行為しかしない集団だった。あの弥太郎とか言う、道化が連れてきた協力者なる人物。彼は豊富な資金で我々を援助し、だんだん我々への発言権を強めていった。今回も、最初は、自分達が土蜘蛛の複製体…それを手に入れる事への協力をしてくれるという話だった。その作戦中、源義経を殺す…というのが彼の依頼だったのだが、いつの間にか「殺してはいけない」事になっていた。どうやら、その人物は「北の狼」から手を引こうとしているようだ。「北の狼」は方向を失い、追い詰められ、こんな中途半端な作戦に出る事になった。苦肉の策として、義経と神器の人質交換をする…という形になったが……。要は切り捨てられたのだ。我々はいったいどうなるのか? 我々の信念は本当に正しかったのだろうか?

 そんな事を考えていた彼は不意に背後に殺気のような気配を感じて振り返る…。しかし、そこには誰もいなかった。自分でも、戦闘技術は北の狼で高い方だたと思っている。今の殺気は間違いなく誰かそこにいたからの殺気だ。平泉の兵か義経の配下か? 何らかの能力で近くに潜んでいる。山鯨で周囲を一気に焼き払うのが正解だろうか? いや、その前に仲間に連絡をしなくては…。

 北の狼でも日立が開発した所謂携帯電話のようなものを使っている。慶次郎の世界で言えば高性能のトランシーバーみたいな物なのだが。その携帯を手に持った瞬間、再び背後に気配を感じたーー。


 思うが早いか、彼は気配に向かって山鯨を放つ。肩に担いだ大砲から熱線が放たれ、辺りの木々を焼き払いその気配に命中した。そこにあったのは、大きなの犬のような獣の燃え残りの骸…それは直ぐに形をかえ、後に小さな紙の燃えカスが残った。「これは日立の神器…」と彼が心で思った時、既に勝負がついていた。彼は意識を失い、その場に倒れる。


「神器『鬼丸』…貴方の神器、頂戴します…。「銃」なんていうからてっきり大砲かと思ったら、まさかのビーム兵器かよ。当たったら一瞬で蒸発してたな。」


「それを超長距離で当ててくるから、ある意味継信よりも厄介な奴よ。」


 倒れた藤六の後ろに慶次郎と日立が立っている。慶次郎の手には藤六の根珠が握られている。


「うまくいったわね。隠密を解除する局面を間違ったら、こっちが狙われないかと心配だったけど。」


「初めて試したけど、遠隔操作した神器にも『三日月』が及ぶのはラッキーだったよ。姉さんの神器と相性がいいな。これ」


 日立はフフフと笑った。しかし、すぐに「すぐに義経ちゃんを助けにいくわよ」と真剣な顔で言った。


〇炭鉱前


 炭鉱の前に移動した慶次郎と日立は、おおよそ藤六と同じ手順で一瞬で3人いた見張りを倒した。

 炭鉱に入る前、慶次郎はもう一度『数珠丸』を使ってみた。


「待った。入り口に何かある。左右の壁に二か所ずつ。そして、天上に二か所…」


「あら、あれは…、神器を感知して警報を鳴らす機械よ。私が作った奴だから間違いないわ。アイツらも持ってたのね。あの入り口を神器か神器を持ってる人が通過したら、大きな音が鳴るしくみよ」


「警報装置か。なんだって、そんな物を…? 」


「多分、前の時に私の神器が内部に潜入して索敵して痛い目にあってるから、それを警戒してるんじゃないかしら?」


「なるほど。姉さん対策か。でも、これで戦闘は避けれないかなあ。あ、ちょっとまって……」


「どうしたの? 」


「中で義経が話だした声が聞こえる。…会話は出来るみたいだ。」


 「本当? 」と日立は言った。数珠丸は遠くの音声を自分の耳に届ける事もできる。


「それなら、私に考えがあるわ。多分、私達が来た事を義経ちゃんに知らせる事が出来る。」


 日立は懐から、例のトカゲを取り出す。「そのまま懐に入れてたのかよ」という、慶次郎のツッコミを無視して、日立は手の中でトカゲをタダの折り紙に戻した。これで、義経に渡していた、尻尾の部分も元の紙に戻るはず…と、日立は言った。


「上手く行けば、義経ちゃんは会話の中に私達の欲しい情報を入れてくれるはず。例の転移系能力の持ち主とかね…」


 

伴藤八ばんとうはちって人が、奥州藤原氏の家人にいたらしい。相変わらず、適当に調べた情報だけでやってるので、この世界の人間と史実の人とは何も関係はありません。はい。

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