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第3話 神器『黄泉人不知』 その1

「詠み人知らず」ってボードゲームが既にあるみたいなんで、強引に当て字したら、一気に厨二くさい名前になった。無名丸(この名前も厨二っぽい)ごめん。

神器『黄泉人不知よみびとしらず


 おそらく、あの無名丸という男の神器だろう。俺達は、その中に閉じ込められたようだ。あのエラく愛らしいネコのマスコットのようなものが説明を続ける。


『ようこそ。この神器『黄泉人不知』へ。私はこの遊戯の案内役、ヨミネコです。遊戯の決まり事を説明する前に…。前提として皆さんに説明しておきます。皆さんの中の誰か1名は偽物が混じっています。この神器の主、無名丸が変化して成り代わっています。』


 えっー。俺達6人は一瞬固まりお互いの顔を見る。


「どういう意味だ?全員知り合いだぞ?成り代わった所ですぐにばれるだろ?」


『それが、この神器、黄泉人不知の最大の特徴です。この変化は対象の記憶、人格、口癖に至るまで体の外面、内面全てを完璧に模写する事ができます。あ、ちなみにこの時取得した、対象の記憶は遊戯が終わったら無名丸の頭から全て抹消されます故、個人情報保護の観点はご安心アレ』


 なんで、そんな単語知ってんだ?このネコ。


「我々に何をさせたい?」


 義経が諦めたように言った。すると、改めてヨミネコはクルリとターンした。どうやらこっからゲームの設定を説明に入るようだ。


『皆さんは、6名で旅をし続ける旅人です。しかし、ある時、この花畑の庵に閉じ込められてしまいました。そう黄泉人よみびとの仕業です。彼岸の人と言う意味の黄泉人です。』


 ああ、黄泉ってそっちか…。またえらく厨二な名前の神器になったな。


「何を言っとるんだ?こいつは」


「我々はこの遊戯の中の登場人物なのだ。物語の一員としてその登場人物の目的を達成しなくてはならん」


 いまいち、飲み込みの遅い鬼三太に義経が言う。


『その通り。黄泉人は皆さん全員を殺害しようと、既に皆さんの中の一人と入れ替わり潜入しています。黄泉人は一人一人、皆さんを消していくつもりです。黄泉人は強い。一度誰かを殺そうと動けば抗う術はありません。』


「ふむ。で、我々はどうすれば助かる?」


『では、ここからが遊戯の決まり事の説明となります。強力な力を持つ黄泉人ですが、それは夜の間の話。昼間は皆さんの誰か一人に変装して隠れている事しかできません。それゆえ!もう察しがついてるでしょう。皆さんにはこれから、皆さんの中に混じった偽物を見つけて貰います。最初の制限時間は四刻(8時間)。これをもって、この神器の中の世界は日没し夜になります。』


 あれ?これって…。


『時間以内に、皆さんで話あって、偽物だと思う1名を選んで殺害してください。』


 6人の間に、戦慄が走る。やっぱ、これって…。


『当たりならば、成り代わっている黄泉人…主の無名丸はそのまま死亡し、皆さんもこの神器から解放されます。』


「もし、見つける事が出来ずに、外してしまったらー?」


『殺害された方が、そのまま死亡致します。次の遊戯の開始までまた四刻。それで日の出を向かえこの空間は朝になりますが、その間、生き残った黄泉人は、さらに生き残った皆さんから任意の一名を殺害します。殺害を止める方法は無く、また、いつ誰が殺したか…他の皆さんが知るすべもありません。』


「そんな!」


 忠信が、悲鳴にも似た声を上げる。これやっぱ、人〇ゲームじゃねーか…。俺、やった事無いぞ。そんな、友達がいること前提のゲームはさ…。


「日没までに処刑する人を誰も選択しなかったら?」


 無駄だとは思うが、一度に死ぬ人数を減らせないか、俺は聞いてみた。


『規定違反となり罰則が科されます。黄泉人以外の中から一人…無作為に選ばれ殺害されます。まあ、罪悪感が薄れるという利点はありますが、あまりお勧めはしません。』


「つまり、どうやったって選択を誤ると確実に2名は殺されるわけね」


 日立がため息をついた。


『それを繰り返し、残り2名になるまで遊戯を続けます。今回は6名の参加になりますので最大2回で終了、となりますね。遊戯としては生き残った黄泉人、無名丸の勝ちとなりますが、今回、それはあまり意味がないですね』


「つまり、こちらは最大4人…殺されるのか…。」


 今度は継信が言う。


『そうなりますね。』


「ばかな、そんな遊戯やっていられるか!くそ、やはり『大比叡』が出せん!ええい!」


 鬼三太は、切れてネコのマスコットを殴り飛ばした。吹っ飛ばされたネコは壁にボフンと当たったが直ぐに立ち上がる。


『あ、ちなみに私は説明以外何もしないので、いかなる攻撃も無効です。遊戯の性質上、無駄な血を流さないよう、神器は顕現できません。最初に殺害する方が決まったら私に申告して頂いたら、殺害は自動で実行させていただきます。』


「貴様!」


「無駄だ。鬼三太、周到に用意されて引きずり込まれた神器だ。奴の決めた規定に従うしかないだろう。」


「心当たりがあるのですか?」


「秀衡様に注意を促されていた。私を狙った暗殺者が既に侵入している可能性があると…」


 継信が、ちっ、としたうちをした。日立が悲壮そうな顔で俯く。


「暗殺か…厄介だな…」


 俺の言った言葉を聞き、鬼三太がギロっと俺を睨んだ。怖えよ。

 かくして、最初の8時間が始まった…わけだが…


 一先ず、俺達6人は、庵の中で円形に座った。中央にあのネコが座っている。ネコはひとしきり説明が終わると、全く話さなくなった。あのネコを可愛いと言っていた忠信も、さすがにこの状況であのネコを触る気は無いようだ。真剣な表情で前だけ見てる義経。そんな義経を不安そうに見ている日立。無表情の継信。案の定、口火を切ったのは、イライラしている鬼三太だ。


「最初に殺すのは、こいつでいいだろう?」


 鬼三太は、俺を指さしていった。だよねー。知ってた。一番、殺しやすいから…だろ?さっきから、俺が不機嫌なのは、きっと、こういう奴が出てくるだろうと思ってたからだ。これぞ、ボッチの経験がなせる予想…。ってホント、これなんとかしないと、真っ先に無駄死にするから。


「ばかか?アンタ。」


「なんだと?」


 鬼三太は立ち上がり、俺の胸倉をつかもうとした。


「やめろ。鬼三太。弁慶。お前の意見を聞こう。」


「ああ、まあ、俺は違う、私は違う…なんて意見は意味がないから割愛する。俺が、あの無名丸なら…、義経になる。最初に殺すのなら義経だ。」


 普段、殺気なんて感じられる程、戦闘経験のない俺だが、この瞬間は4人の家来達から俺に向かい一斉に殺気が集められたのが解った。


「貴様、もう我慢んならん!!」


 鬼三太はとうとう俺の胸倉をつかみ、殴ろうとした。


「やめろと言ってるだろ!!鬼三太!!」


 今までの義経が信じられない程の怒号。かの巨躯の鬼三太すらビクっとして体を止めた。なんか、ベジー〇に怒られるナッ〇みたいだ。


「続けろ、弁慶」


 そういや、こいつ一応、忘れそうになってたけど、人前では男の設定だったな…。俺一つため息をついて続ける。


「今のアンタらの反応がこの遊戯のルール…じゃなくて、仕様を解っていない証拠だ。」


「どういう事?解ってるの?アンタ。義経様を危険に晒すような事したら…」


 日立の言葉を俺は遮った。


「だから、言ってんだ。姉さん。アンタ、頭いいのになんで分かんないんだよ? 多分、アンタ達は皆、義経の姿をした人間を切る事は出来ない。敵もそれを解ってる。だから、義経になっておけば、とりあえず遊戯中、殺される心配はない。」


 なるほどな…と、義経は言う。弁慶は慶次郎の胸倉を放す。


「ならば、今ここにいる義経様が偽物だと言うのか? 」


「肝心なのはそこだ。だから、あくまで「俺なら義経になる」と言ったんだ。おい。ネコさんよ。変化された対象本人は今どうなってるんだ?」


 今まで黙ってたネコが急にすくっと立ち上がり、こちらを見た。


『こことは別の隔離された空間にて幽閉させて頂いてます。』


 饒舌にゲームのルールを喋ってたネコが急に口数が減る。多分、予想通りだ。


「遊戯が終了したら、そいつはどうなる? 殺されるのか? 遊戯の結果によって変わるのか? 」


『遊戯の結果は何も関係ありません。そのまま元の空間へお戻り頂きます。』


 やっぱり…。俺達6人に沈黙が流れる。


「予想通りだな。多分、それもこれだけ滅茶苦茶な能力を発動させる、式の一端だよ。変化する対象に選んだ者は、殺す事が出来ない。無名丸の狙いは暗殺だ。誰を? 義経以外には考えられないだろ? 俺達の命なんて奴にはどうでもいいはずだ。せっかく、これだけ面倒な事をして、神器の中に捕らえた義経に何もしないまま解放するなんてありえるか? 否だ。敵が義経になってる可能性は非常に低い。」


「そ、そうか…ならば…」


 鬼三太が胸倉をつかんでる手の力が少し緩まった。


「遊戯は二回行われるが…、最初の選択を失敗したら、次の遊戯開始までに黄泉人が殺す相手は間違いなく義経だ。ゆえに安易に俺を殺すという結論を出そうとしたアンタをバカだと俺は言った。年長者への口の利き方が乱暴だったというなら、謝罪する…が、できれば、そろそろこの手は放して欲しい。」


 鬼三太はゆっくりと手を放した。


「すまなかった。状況の理不尽さに少し苛立っていたようだ。」


 素直に謝られてちょっと、俺は調子が狂う。


「いや…。お互い偽物の可能性があるわけだし、俺もなんとか殺されまいと思って必死だった。物事の言い方には今後気をつける。」


 と、一応、俺も一の家臣なる鬼三太の顔を立てた。今度は日立が言う。


「確かに、恐ろしい神器に捕まったワケだけど、それだけ相手も危険を冒して式を踏んでるってことよね。とりあえず残りはまだ8時間ほぼ残ってるわけだし、一つ一つ洗っていくしかないわね」


 俺はうなづいた。


「よし、ならばまずすべきことは…」


 義経の言葉に俺達全員は真剣な視線を送った。が、義経は急に明るいトーンになり続けた。


「自己紹介だ!」


 家来衆がまた、は?と言う感じで固まる。俺はこの時、ようやく義経家来衆の本当の大変さが理解できた気がした。



これ、この神器の中では会話劇になるから、めっちゃ長くなるんじゃないの?って感じがしてきた。

最近、デスゲーム系の話減りましたよね。結構好きだったけど。私。

あ、ちょっと、所要で毎日更新は辛くなってきたので、更新ペース少し落とします。

あ、8時間修正忘れてた

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