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ー邂逅ー

 なろうラジオ大賞宛で、色々書いてたら、なろうらしい異世界物を一回書いてみたくなって、書き始めました。いろいろネタバレの痕跡はありますが、オチは考え付いています。かなり長い話になる予定ですが、ほんとまだ思いついた所なんで、気長にアップしていきたいと思います。


○春のある日 ~京都五条の橋の上~


ーーーー今年は桜を見に行こう…そうだ、吉野などどうだ?


 月がでている。風がやさしい。京都にもこんな夜があったのか。橋の上を歩いていた弁慶べんけいは立ち止まると欄干に腰掛け、裏頭かとうの奥に光る二つの瞳を閉じた。


 五条の川岸には桜が粉雪のように舞い、柔らかな月の光に照らされ静かに白く降り積もっていた。弁慶にとって、この町には殺伐とした、血の匂いの記憶しかない。


 笛の音が聞こえた…


 静かな夜に更ける物思いを切り裂くそ音色に弁慶は両目を見開き、立ち上がる。音の主は直ぐにその姿を現した。


 それは、小さな横笛を口に当てゆっくりと歩いてくる。白い装束に身を固め、頭から被った薄い白布をから微かに見えるその顔…まるで白拍子と見間違うかのような整った顔立ち。切れ長の目は薄く閉じられていたが、その奥に光る瞳は確かに弁慶をとらえていた。


 その笛で奏でられる曲に弁慶は聞き覚えがあった。その音色は郷愁を誘い甘美であると同時に目を背けたくなる痛みを伴う。突然、大声で叫んで逃げ出したくなるような、強い動揺を必死に抑え、弁慶はそれの前に立ちふさがった。


 「止まれ…」


 貴様の神器を置いて行け…その言葉が出てこない。


 それは弁慶の前に止まると、笛の音を止め、纏う白布を、大きく脱ぎ捨てた。弁慶を見るその顔は妖艶な笑みを浮かべていた。



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