第25話 平家の旗艦
久々の投稿です。
なんか、仕事忙しくって
また、飛びそうですが、コツコツやっていきます。
○四国、屋島付近
「ようし! 行くぞ、我が神器、無敵戦艦『オオヤシマ』!いざ出港だ! 」
響き渡ったのは現在の平家の棟梁、宗盛の声だ。
港に巨大な建造物があった。慶次郎の世界で言えば田舎に急にできたショッピングモールのようなそれだ。良く見るとそれは港の側の海上に浮かんでいて巨大な船である事がわかる。その甲板に平家の一族及び兵達が成立して、それに宗盛が号令をかけている最中であった。
「最初の目的地は、清盛公の開いた港、福原だ! 必ず奪還する! 」
兵達から「おー! 」という掛け声が上がった。
数刻後……
人がいなくなった神器『オオヤシマ』の甲板で一人、平教経は海を眺めながらが佇んでいた。
「まったく、でかいだけでろくな設備がついとりゃせんなこの船。宗盛が切り札などと言うから、どんな神器かと思えば…何が無敵戦艦じゃ」
教経の声をかけたのは、知盛である。彼は巨躯の髭面を顰めながら、教経の横にドカッと腰を下ろした。
「オジキ…」
「おそらくは、平泉、藤原秀衡の空中要塞を模しているのだろうが、こちらは動かすのに100人の神器使いが要る。燃費が悪い。そいつらを普通の船に乗せて攻撃させた方が幾分マシだ。しかも武装の大筒を打つのも、一つに対して一人神器使い必要だ。それなら、遠距離系の攻撃能力者を雇った方が早い。第一、あんな大筒、小舟に当てる事自体かなり高等技術……。源義経は…」
「ああ、奴は自在に空を舞う。大筒の球など当たらんし、これだけでかいとタダの的だ。」
それを聞くと知盛は的か? と言ってガッハッハと笑った。
「いざとなったら、棟梁以外の乗組員を全員降ろして敵に突っ込ませよう。目眩しにはなる。」
「そこまでやって目眩しか!? こりゃ傑作じゃ。ガッハッハ。」
知盛は床をバンバン叩きながら笑う。
「申し訳ないが、これに乗る奴は皆囮だ。選抜した神器使いので総攻撃をかけて、源義経を討ち取る。」
知盛はそれを聞くと真剣な顔になる。
「勝てるのか? 特異霊装無しで。」
「相手の実力次第だが……、無理だろうな。こちらも『天叢雲』を使えば話は別だがな。」
「お前が使う気か? お前と海ちゃんに、辛い思いはさせたくない。まずワシが使ってみよう。まあ、ウチのカカアがワシのために命を捨ててくれるかわからんがな。」
知盛は今度は悲しそうに笑った。
「多分、オジキじゃ無理だ。仮に奥方がその気になってもきっとオジキは殺せない。優しすぎるのだ。」
「へ。生意気言うでない。ガキが。」
知盛立ち上がると、その場を去ろうとした。
「何もかも背負いこむな。ワシも、海ちゃんもおる……。死ぬなよ」
去っていった知盛の背中を教経はいつまでも見つめていた。
○少し前 教経が住む屋敷
義経達との死闘を切り抜け、教経は、資盛を連れて帰還した教経はようやく家に帰ってきた。
「まあ、あなた。傷だらけではないですか。服もボロボロ。とにかく着替えて、手当を…そして少しお休み下さい。」
その様子を、妻の海が気遣う。自ら義経に暗殺に乗り出した教経だが、形だけ見たら、義経は未だ生きている。何も知らない棟梁、宗盛に随分叱責を受けたと話を海も聞いていた。
「お義父様の事は残念でした。さぞご無念でしたでしょう」
「なに、全てを出し尽くし、納得して自ら選んだ最後だ。必要以上には落ち込まぬ。」
おくの部屋で着物を変えながら、教経は言った。
「それで……その……。」
妻が何を言おうとしているのか、教経はすぐに察する。義経と戦ってきたのだ。
「慶次郎ならいた。元気に……とは、言いたくないが、一発蹴りを食らわしてきおったわ」
良かった……と、海は言った。
「あと、何の因果か、あの「はる」も一緒にいた。」
はるちゃんが!? と大きな声を出した海はそのまま、涙を流して泣き出した。
「どうした? 」
「あの2人には一生かかっても償いきれない事をしてしまいました。ただ、今2人が一緒にいると言う事実が私には嬉しくて…」
海はいつまでも泣いていた。
「気持ちはわかるが、今や2人は源氏だ。戦場で会えば…」
そこまで言って、教経は口を開く事をやめた。そして、優しく海の肩を抱いた。
○再び『オオヤシマ』の甲板
教経は1人海を見ていた。
維盛を失って、もう随分経つ。これ以上、不要な犠牲は出さない。全て俺が……。
教経は迫ってくる、大輪田泊を見ながら静かに目を閉じた。
苦労人教経。果たして、源平合戦場の行く末は…
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