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第10話 ラスボス遭遇戦(ガチ)

ネタバラシはアッサリめに。そして…

最強の神器使い……再び。

〇神器『天蓋てんがい 花京鳥瞰図かきょうちょうかんず』の中


 幾度も申し訳ないが、また少し時間を戻す。

 「好いた男はいるか? 」という、義経の問いに、はるは分かりやすく動揺した。かろうじて、今は決まった相手はいないと言うと、義経は『天尊魔王印サナトクマラ』を顕現させ、動揺している、はるの唇を奪った。突然の接吻に、当然、はるは目を見開き混乱する。


「ふむ。やはり、失ってはいるが、昔神器を持っていたのだな。神器『弁天丸』……どこかで聞いたような……? おお、使える能力ではないか。」


 天尊魔王印による能力解析をしながら義経はつぶやく。


「よよよよよ義経様! 何を!? 」


「ああ、驚いたか? 私の能力で人の神器を借りれるのだ。最近解ったのだが、根珠が奪われて能力を失った相手からでも借りられると……」


「そうじゃなくて! なぜせせせせっぷんを?! 」


「そういう式なのだ。」


「そんな!? 」


「ああ、そうか、やはり聞いておいて良かったな。女子の中には、接吻も他の相手がいると嫌だとか、最初に誰とするか? を気にするものもいると、家来の女子から注意されていたのだ。能力使用以外の他意はないゆえ……」


「だから、そうじゃ無くて!! 」


 義経は不思議そうにはるを見た。


「……こういう事は私、ちゃんと決まった男の人としたかった……いえ、義経様はとっても恰好いいと思うんです。でもだからって……!! 」


「ああ、すまん。もう隠してはいないから良かったのだが……、私は理由あって男のフリをしているが、女なのだ」


 義経は何のためらいも無く衣服の前をパッと開いて、はるに見せた。慶次郎と出会った時よりは、幾分か大きく膨らんだ胸を晒しで巻き付けているのが見える……。はるは目がテンになり……自分の頭がショートする音を聞いた……かもしれない。


「はっはっは。故に緊急避難と言う奴だ。お前の言うちゃんと決まった男とやらの数には入れないでくれ。お、いかん。資盛すけもりが来るな……はるは隠れていてくれ」


 義経は、さっと道へと飛び出していった。一人残されたはるは、茫然としたまま呟いた。


「くちびる……やわらかかったな……」


 そして、時間は戻る……。


 資盛を倒した義経は静かにその横に彼の根珠を置いた。維盛これもりの弟だと言うなら、やはり命を奪うのは忍びない。骸骨兵団が消えて身体能力は元に戻ったようだが、まだ、病の方が良くならない。熱がどんどんひどくなってる気がした。義経は裏通りに戻り、はるを見つける


「今のうちに空間神器の外に出る方法を探そう。他に行く当てがない故、行庵の診療所に戻ってみようと思う。入り口と出口が一緒にある保証は無いがな。恰好の悪い話だが、またおぶって貰えるか?少しでも体力を温存したい……はる? 」


 未だ、茫然としている春に義経は声を掛ける。


「ははははひ!私は、女でも気にしないです! むしろ罪悪感が若干薄れる気が……!! 」


「??? 何を言っているのだ? 」


 はるは慌てて気を取り戻す。


「へえ!? あ、いえ、なんでもありません。行庵先生の診療所に行くんでしたね。分かりました! 」


 はるは慌てて走り出した。


「あ、いや……、おぶって……。」


 義経は諦めてはるの後を追おうとした。その時……

 義経の感覚器は、ただならぬ神器の気配を察知した。別の誰かが、この空間神器に入って近づいてきている。そして、その気配の恐ろしさを瞬時に悟った。


顕現『鞍馬』!!


 思うが早いか、義経は鞍馬で超高速で飛び、はるの襟首をつかむと、なけなしの体力を使って素早く飛び去った。もう、出口を探している暇はない。とにかく体力が続く限り逃げ続けないと……。


「義経様! どうしたんですか? 義経様」


 はるが必死に叫ぶが義経には聞こえていないようだ。そして、数秒後、義経が屋根の上に素早く飛び上がった瞬間。彼女は自分のすぐ真上に人の気配がいるのを感じた。


「逃げの一手。愛想も無い。懐かしむ気は無いか」


ーーこのスピードで中空を飛んでる私に追いついただと!?


 その人影は刀を持っている。そして容赦ない一撃が義経に振り下ろされる。義経はかろうじて、それを自分の刀で止める。しかし、その衝撃はすさまじく。義経ははるごと地面にたたきつけられた。はるは地面に転がって遠くに倒れる。人影は音も無く地面に着地する。義経はかろうじて立ち上がろうとするが、疲労と熱にダメージが重なり、刀を杖に膝真付くのがやっとだった。人影は静かに刀を構える。


「顕現、神器『水鏡みずかがみ』ますらお。よくぞ、ここまで義経を足止めしてくれた。資盛すけもり。」


 それは離れた所に倒れている資盛に声をかけた。


ーーくそ……いかん。まさか、こいつ自ら京に来るとは……。こいつだけはいかん。病が治ろうが、呪詛が解けようが関係ない。今は絶対に会ってはいけない奴だ……。


「源義経……ここで討つ」


 平教経たいらののりつね……。その瞳は憤怒に燃えていた。

こっちが本当のラスボス遭遇戦な気がする。


異世界の話です。史実とは関係ありません。

読んで頂いてありがとうございます。宜しかったら、感想、ブックマーク等頂けると嬉しいです。

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