第3話 はる、再び その3
ガールズコンビで冒険……まあ、はるは義経を男と思っていますが。
○行庵の診療所
何の話をしているのだろう? はるは庭に回って義経と行庵の会話に耳を傾けた。自分は何故、こんな所で盗み聞きをしているのか?
ーーべ、別に行庵先生を通じてイケメンと知り合いになりたいワケじゃ無いんだからね。
と、誰も聞いていないのに心のなかで言い訳をするはるーー。
「ふむ。私の家来にも、博学な者がいてな。だいたい同じ意見だ。感染症は、人同士の接触で広がる。ウイルス……なる目に見えない程の小さな……病気の元になる生物だ。それが呼吸……あるいは、咳やくしゃみをした時に飛び散る唾液を通して感染するらしい。」
義経の話が障子越しに聞こえて来る。はるは半分くらい意味が分からなかったが……。
「素晴らしい見識です。今までの為政者の方々にいくら説明して分かってもらえなかったのです。義経様が京に来てくれた以上、今回の感染拡大防げるかもしれません。」
「全力を尽くそう。時に行庵殿。今回の新しいウイルス……タイミングが良すぎるとは思わんか?」
「? タイミングとは? 」
「ああ、失礼。時期、機会、日和の事だ。前回の感染拡大は義仲軍が京に来た直後。今回は我が鎌倉軍……。」
「失礼ながら、外から来た方々が病気を運んで来たと考えるのが普通かと……。」
「一理ある。しかしそれなら軍の中で感染者がでていないのはおかしい。まあそこまでなら偶然もあり得る。だから私は前回、今回と感染経路を辿ってもみた……。最初に発覚したのは同じ診療所だった。」
少し沈黙が流れる。外で2人の会話を聞いていたはるは、首をかしげる。何の話をしているのだろう。
「ま、まるでウチの診療所が感染の発生源のような言い方だ。」
「最近、町で治安を悪くしている者達を狩って回っている。」
「茶が冷めている。いれかえましょう」と行庵が立ち上がる気配がする。
「今日捕まえたゴロツキ達がようやく当たりだった。そいつらは裏で京の治安を悪化させようとしている組織とその重要人物の名前を吐いた。義仲の時も然り、源氏が京に入る事をこころ良く思わない連中が……。」
そこまで義経の声が聞こえた直後。中で大きな物音がする。
「いかん! お嬢さん。すぐそこを離れるんだ!! 」
義経の声が響く。はるは反射的に身を障子から離そうとする。その瞬間、障子の向こうから一本の剣が障子を突き破って、はるに向かって伸びてきた。その剣はまっすぐはるの額を突き刺そうとする。次の瞬間。はるはまた別の部屋から飛び出してきた何かに押し倒される。が、そのおかげで剣ははるには当たらなかったようだ。
ーーいったい何が起こったの?
はるは周囲を確認するが、ちょうど日が落ち、部屋の中でも灯りが消されたようで辺りは真っ暗だ。
「さすがは義経。義仲のようにはいかんかったか。だが……これで、貴様も終わりだ。」
行庵の声だ。いつも優しく温厚な彼の声ではない。憎悪と怒りに満ちて、義経に唾棄しそうな勢いだ。この時、はるは初めて自分に義経が覆いかぶさっている事に気がつく。そして手に生温かい液体が触っている。次第に目が暗さに慣れてきて、それが義経の血であり、おそらくさっき行庵がはるに繰り出した剣撃を義経が庇って肩に傷を負ったにだと分かった。
「すまぬ。私のせいだ。長く町医者として暮らしているというからてっきり、戦闘は苦手なやつだと思っていた。途中からお嬢さんに話を盗み聞きされている事にも気づいていたのだが……不覚だった。」
「そ、そんな。私を庇ったから……。」
義経は傷を破いた衣服で手当てしながら言う。
「その傷! うまくお前を誘い込むつもりだったが、まさかこんなに早く好機を得るとはな。」
「どうやら、あの剣は神器のようだ。この傷……少々高い代償になりそうだな。」
ーー行庵……、否、行盛良くやった。あとは我々に任せてお前は身を隠しておくのだ。
また別の男の声が聞こえる。「はっ」と言う行庵の声がして周囲から人の気配が消える。
「どうやら次の攻撃が始まる。逃げるんだ。奴らの狙いは私のみ。」
義経ははるの肩を掴んで言う。
「で、でも……。」
すると、今度は義経の足元が光り出す。
「転移系か!? いよいよいかん!」
やがて、その光は義経とはるを飲み込み。数秒後2人が消えた時、後には何も残っていなかった。
義経→はるが外で盗み聞きをしている事に気づいていたが、巻き込まないよう無視。
行庵→義経に素性がバレているのを悟り、盗み聞きをしている、はるに攻撃をしかける。そうすれば、絶対義経は、はるを庇うだろうと予想していた。義経は行庵がそこまで戦い慣れていると思ってなくて油断して傷を負う。
ここまで書きたかったのですが、難しい……
異世界の話です。史実とは関係ありません。
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