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義経異聞伝~ZINGI~  異世界行ったら弁慶でした  作者: 柴崎 猫
源平合戦 木曾の太陽編
135/186

第40話 粟津の戦い2

久々に登場…

○粟津 戦場 別の場所


 多く鎌倉兵を相手に孤軍奮闘する武士がいた。他の誰でもない、義仲である。

 ひとまず、彼が陣に突っ込みなんとかして義経との一騎打ちに持ち込み、時間を稼いでいる間に慶次郎が『数珠丸』で大正坊を探し、なつめを助け出す手筈で彼らは動いている。


「おらあ、どうした!? この義仲、逃げも隠れもしねえぞ、さっさと討ち取ってみやがれ!! 」


 義仲は顕現した『あさひ』の刀を振り回して、敵兵を次々と倒していった

。『穂高百景』の外でも若干だが、『あさひ』の能力を使う事はできる。その実力を抑えられる実力者は鎌倉側にはいなかった。

 義仲は森の中をゆっくりと歩いて、ある場所にやってきた。目の前に現れたそれは、まさに今、義経が陣取っている鎌倉軍の陣であった。


「義経クーンあーそーぼっと! また義仲自ら来てやったぞ! さっさと出てこいや!! 」


○鎌倉陣内


 陣の外でそんな声義仲の声を聞いた義経は驚くと同時に、少し嬉しそうに笑う。出会った時から義仲は他人のような気がしなかった。その理由がやっと分かった。


ーー似てる……。


「相変わらず1人で陣に突っ込んでくるとは滅茶苦茶な男だ。」


 範頼はため息をつく。


義兄上あにうえ。私が出ます。どうせ、並の実力者では相手になりますまい。」


 範頼は唇を噛む。先程、大正坊から連絡があり、義仲に特異霊装を使わせるべく人質を取った報告は入っている。義経の特異霊装『八尺瓊やさかに』を覚醒させる事は範頼も依存は無い。だが、正式な手順を踏んで発動した特異霊装、八咫に勝てる可能性は高くない。義仲が『八咫』を使えば一度鎌倉に逃げ『八尺瓊』を正式に発動させる準備をする必要がある。少々面倒だ。


ーーだがーー


 それでも、『八尺瓊』を元の姿に戻したい。

 

「仕方ない。ただし、また罠の可能性もある。充分慎重にね。特に例の空間神器の中には絶対入らないように。また暴走したらことだよ。」


 義経は神妙な表情でうなづく。義経はいざとなったら、『鞍馬』を制御して止められる。今は、大正坊に任せるしかない。


「では! 」


 義経は範頼に嬉しそうにうなづくと、意気揚々と戦場に飛び出していった。


○陣の外


 陣飛び出した義経はさっそく義仲と対峙した。


「2度も強引な誘いかけるとは。女にモテるとという噂嘘だったのかな? 義仲」


「心外だな。その点は自信あったんだが

……お前はどう思う? 義経」


 義経はそれを聞くと、はっと一瞬表情を変える。


「ああそっか。暴走してからの事記憶に無いんだったな。安心しろよ。何も無かったって。同意の無い助平は俺の信条に反する。」


「当たり前だ! っていうか、そんな話がしたくてここまで来たのか? お前は。」


「無論、違う。」


 真っ赤になって言う義経に義仲はゆっくり刀を構えた。


「決着をつけよう。」


 それは、義経との戦いか、鎌倉軍との戦いか、あるいは特異霊装を廻る何かか……。結局、その答えが分からぬまま義仲は剣を義経に向けていた。ただ、今はなつめ助けないといけない。その一点が彼を突き動かしていた。

 義経もまた、それを察してか、その表情を真剣なものにかえ……、自らの刀を抜いた。


○同 別の場所


 慶次郎は『数珠丸』を顕現して周囲を探した。巴もいざというときは『八咫やた』の為に命を差し出す必要があるからと、義仲の近くに身を潜めている。もうすぐ義仲と義経の戦いが始まるだろう。義経に伝えるか……とも考えたが、解決にならない上、なつめの命を危険に晒す可能性もある。仲間はみんな戦場に散っているうえ、範頼の配下も近辺で目を光らせているから、すぐに連絡が取れない。慶次郎は、一人で『数珠丸』を頼りに走り回るしか無かった。


ーー大正坊もどこかで義仲を見ていないといけないはずだ。そんなに遠くにはいかないと思うのんだけど……


 さらに、見つけても、色んな人からの話を統合するに大正坊はかなり強い。仲間もいるかもしれない。慶次郎は今の事態に悪い要素しか見出せなかった。


ーーその時ーー


 走っていた慶次郎は、服の裾引っ張られ、岩の影に引き込まれた。強かに尻餅をつき、敵襲を受けたのか? と思ったが……。


「落ち着け。ワシだ。慶次郎。」


 そこにいたのは、安竜和尚だった。慶次郎は何日か前、もし『八咫』を手に入れたら、今は和尚の組織に渡すのが良いと考え、連絡をとっていたのだった。


「和尚! なんで? アンタ源平合戦には関わらないって……。」


「特異霊装『八咫』が絡んでいるなら、傍観もできん。ひとまず、今の状況を話せ。」


 慶次郎は少しため息をついた。どうすればいいか分からないその状況の中で和尚の存在は、ただ心強かった。

読んで頂いてありがとうございます。宜しかったら、ご感想、ブックマーク等いただけたら嬉しいです。

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