第20話 宇治川の戦い 6 義仲と義経
義経と義仲。会話する機会は史実ではあったのかなあ…
〇宇治川沿い 鎌倉軍の陣
「ふざけるな!! 」
鎌倉の義経軍の兵士達は、その男を義仲と確認するや一斉に襲い掛かった。その直後、横にいた、手塚三盛が素早く動く。三盛は襲い掛かって来た数人の兵士を瞬く間に拳で殴り飛ばした。
「話を聞かない連中だなあ。」
余裕な三盛を見ると、待機していた兵士達は、「舐めるな! 」と叫びさらに数を増やして襲い掛かる。今度は、巴御前が跨っている黒蹄獣が、嘶きを上げる。そして、瞬く間に義仲の周囲に群がる兵士を蹴散らした。
「2人とも少し落ち着けって。俺達は話をしに来たんだぜ」
「しかし、こうも問答無用では、仕方ありませんわ」
巴が兵を倒しながら言った。「相手は3人だ。もっと数を増やしてかかれ! 」と、いう兵が声を上げる。すると……。
「皆の者、さがっておれ!」
陣の方から、そんな声が聞こえた。
「来たか……。」
義仲がにやりと笑う。
変わらず兵馬と乱闘を繰り広げていた。三盛は真横から猛烈な勢いで突っ込んでくる気配を感じ慌ててガードする。
「一の拳、杜若」
その気配……。義経の蹴りをその拳で受ける、が勢いに負けて、三盛は一気に吹き飛ばされた。
「手塚三盛……なるほど。2倍の一の拳は、初手から打てるのか。想像以上に強力な神器だな。確かに弁慶には荷が重い。まあ、いちいち技名を言ってたら、鬱陶しくてしょうがないが……。」
「義経え!! 」
と、言って黒蹄獣で突っ込んでくるのは巴御前だ。義経は、そに突進をヒラリと中空に舞い上がって避けた。そして刀を抜き、巴の頭上から切りつける。巴も薙刀でその斬撃を止めた。
神器『鞍馬』!!
義経の刀から猛烈な重圧が巴にかかる。
しかし、黒蹄から猛烈な勢いで放たれる黒い炎が、その推進力となり巴と黒蹄獣は重力波から脱した。
「なんと、今の重圧でも捉えきれんのか。」
義経は感嘆の声をあげる。
「分かった分かった。そこまでだ! 」
義仲は声をかける。
「義経。俺が義仲だ。急に襲い掛かられた故に部下が応戦したが、俺に敵意はない。話をしたいんだ。」
義経は上空から降り立つ。
「わかった。こちらも先日無礼なお願いをした身。話を聞こう。義仲」
「そう来なくちゃあな。」
義仲はニヤリと笑った。
○宇治川 対岸
「義経様と直に話をしにいっただと?そんなバカな事をさせるか! 」
「そうおっしゃると思ってな。こうして我々が出張ったわけだ。」
鬼三太の叫びに今井兼平が答える。
「二手に分かれるぞ。俺がこいつを抑えるから遠距離の継信と忠信で……。」
「果たしてできますかな? 」
兼平が言うと、彼の横に倒れていた、樋口と呼ばれていたあの義仲の影武者の体から猛烈な勢いで白い煙が放たれ、辺りを充満し始めた。
「この煙は……いかん! みんなすぐにこの場を離れろ!! 」
継信が慌てて言うが煙は容赦なく4人を包んでいった。
神器『炎帝 那由多』白煙牢
煙の中に鬼三太は1人立っていた。周囲の気配は無い。そしてどれだけ走っても、煙の中から出られない。
「これは……呪詛か」
「さよう。樋口の神器は破壊される事で、その周囲この煙の牢獄に閉じ込める呪詛発動します。さあ。ゆっくり1人ずつ……私が相手しましょう。」
煙の中でそれぞれ孤立した、家来達は悔しそうに周囲を見回すしか出来なかった。
「おや……1人煙から逃れた者が……。」
兼平は、首をかしげた。
それは慶次郎であった。
「危なかったな。弁慶」
慶次郎気がつくと、あの梶原景季の神器の馬。『磨墨』の上にいた。2人乗りで馬にまたがっている。煙に飲み込まれる前に彼が助けに入ったようだ。さっき自分達がいた場所に煙が立ち込めている。
「景季。皆は……? 」
「敵ごと煙の中だ。多分、呪詛……。しばらくは出てこれねえだろうな。すまねえ。お前を助けるので精一杯だった。さっきの恩義もあるしよ」
慶次郎は手に持っていた樋口の根珠を自分の胸にあてがい吸収してみた。しかし、煙は消える気配はない。おそらく、呪詛とはそういうものなのだろう。
「いや、ありがとう。景季。義仲が対岸の本陣に切り込んでるらしい。」
「何だって? 」
「ここは、皆を信じるよ。本陣に戻ってもらっていいか? 」
今井兼平は足止めと言っていた。あの3人なら殺される事は無いだろう。慶次郎は真剣な目で景季を見た。
「わかった。超速度で行くぜ。しっかり捕まってろや! 」
景季は言うと、磨墨を超速度で駆って、中空を飛び、対岸へと走らせた。
さて、この2人。どんなバトルになるのやら。
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