異世界転送
気がついた時、俺は森の中に居た。
「…………」
周囲を見渡す。
森だ。
前を見ても後ろを見ても森だ。
右を見ても左を見ても森だ。
今居る場所はなぜか開けているが、それでも遠方が見えるほどではない。
――……くそが。結局転送されたのか。
現実世界と同じ環境。確かにここは三次元の世界。という事は八面世界のいずれか、なのだろう。
〈―― 動的探知 ――〉
面積は854.81km2。
島の周囲は280.8km。
最高標高は1,172m。南北に山地。南側の最高標高は645m。間に平原。
平原には湾に注ぐ多くの川。水稲栽培に適している模様。
島の形状は特務艦I369M3-H系小型空母に酷似している。
文明の形跡有。聖粒輝臨界爆発の形跡有。虐殺種の発生確率大。
――スキルが使えるという事は外回りの外殻か。あるいは殻界か。ここは島だな。場所はバーレーンより少し大きいくらい……山が多いから実際は手狭ではあるが。
現実感があるという事は生きているという事に他ならない。つまり腹が減るし眠くもなるということなわけで。
――さしあたっては生活環境の構築か。
急ぎ水源の確保。次に食料。できれば安全に休める場所も。
――まずは歩こう。川まで。