空似
守護大名が京都に屋敷を構え中央政務に関わる。
自分の代わりに現地(領国)経営を行わせた家臣が守護代。
この守護代が世襲化し、実質的に現地の統治者となったのが戦国大名。
それともうひとつ、国人領主からの戦国大名進化ルート。
国人領主とは、国衆などと呼ばれ鎌倉時代の地頭の流れを汲む武士の事。
その国人たちが守護の支配から自立を図り領地を治める。つまりは下剋上。
結果実質的に現地の統治者となり戦国大名にクラスチェンジ。
守護代は悟りの書からの賢者で国人は遊び人からの賢者、という感じか。
でもこの人たち、どうもそこがゴールっぽい。
次は天下統一、将軍職だ! とは誰もなってないみたい。やってきたことを見るに、必ずしも天下統一が最終目標ではないのかもしれない。
「まぁ良くも悪くも権威主義というか、お上絶対の思想はあったと思うでござるよ」
「そうなのですか? だとすると下剋上が起きるのは矛盾のような気がしますが」
「将軍職とか朝廷はまた別格なのでござる」
「はぁ。別格ですか」
「天下統一を考えていた人はいたんだよね。でも当時の天下統一っていうのは、日本全国を自分の支配下に置くっていう発想ではないのでござる。せいぜい天皇の権威を利用して、朝廷のある京都から天下に号令を下す、って感覚だったと思うでござるよ」
「……それは、天下統一なんですか? 天皇を排除して初めて統一となるのでは?」
「ちっちっち。違うのだよミロク君。君はまだまだだな」
にまぁっといやらしい笑顔を浮かべるおとこおんな。急にマウントをとってきた。こいつ、五発くらいなぐったろかな。
「天皇はね、王であると同時に教皇でもあるのさ。千年以上続いてきた権威の象徴を殺したりなんかすれば国民全員を敵に回すことになるよ?」
「え……千年? ですか」
ちょっと驚いた。一つの王を戴いた一つの国が千年以上続いてきたというのか。
まさかそんな国が実在するとは。かつてルザーリアになんとか千年王国という古代魔法文明国家があったと聞いた事はあるが、正確には七百年くらいだったはずだ。
「宗教国家だから、なんでしょうかね。王政国家なら必ず凡愚の王が現れ、そこで革命なり反乱なりが起こるというのが常道というものでしょうし」
「島国だからっていうのはあるかな。単一民族っていうのも大きいと思うよ」
「なるほど。隔離された同胞のみの国、という点が大きいと」
「勿論それだけじゃないよ。人種的な問題として、知能の平均値が高かったっていうのはあるかな。でも端っこの島国だから、大陸国家と比べて行きかう情報の総量が少なかったってデメリットが結構でかかった。発明は起きにくかったし、独自性を嫌った。みんな同じが当たり前。偉い人には服従。けど、識字率の高さからわかるように地頭は悪くなかった。そういうのが千年を超える国に繋がったんじゃないかとボクは思ってる」
「ふむ……一考する価値は、いや、興味深いお話です」
「っていうか君はさ、日本人と先祖同じかもっていう可能性わかってる? 見た目まんまトルコ人でござろう」
「いや、それ多分他人の空似ですよ」
「空似っていうか人種の話なんだけど、まぁそれはいっか」
それはいいのかよ。こっちはよくないよ。ちょっと気になる程度の疑問が結構気になるに膨れ上がったよお前の一言のせいで。なんなんとるこじんって、誰なん教えてよ、なんなのさその人どんな人なの。ろさんじんの親戚かなにかなの?




