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お楽しみコンテンツ

光の差さない長い道を抜けると雪国であった。闇の底が白くなった。


危機感地で足が止まった。


向側の暗闇から犬がやって来て、俺の間合いぎりぎり外で止まった。


雪の冷気が流れこんだ。


犬は胸いっぱい空気を吸い込んで、遠くへ叫ぶように、


「アオーン、アオーン。」


はいここまで川端康成のぱくり。


うん。つまりだ。


ここはラストダンジョンですらない隠しダンジョン。


かつて世界を飲み込んだフェンリルが封印されているという設定の「探索したら絶対死ぬ」ダンジョン。踏み入ったが最後、ラスボスを倒さない限り外に出ることは叶いません、なエンドコンテンツ。


今の俺の状況をわかりやすく言うならエロゲでいうところのセックスしないと出られない部屋にぶちこまれたと同義。つまり「おい一人でぶち込まれているのにセックスは不可能やろがい物理的にィー!」な状況。どうかな、ここまで説明すれば俺を追放した奴らがいかに「追放」というイベントに念を入れているかお分かりいただけるだろうかマジでクソだよあの人でなしども。アイツら今頃絶対美学とか言って自分らの行動に酔っていると思う。


そもそもここは魔王を倒してやることが無くなったプレイヤーを楽しませるためだけに神が設置した天使禁猟区。この世界の住人たるNPC的には「おまえふざけんなよこのクソッタレ神が!」と怨嗟を吐くこと必至な、神が我儘であることを象徴する奇跡にして神の存在証明を成す遺物。


なのだけれど、でもそういう危険なゴミですら有効活用しようとする人間って本当に逞しいよネ尊敬しちゃう。ここから出られたら絶対オレサマオマエラマルカジリ。覚えてろクソども。


で。


やってきた犬はなんなのか。


地獄の番犬ケルベロスといったところかな。


俺を処刑しに来たのかしら。


あ、後ろにもう一匹いるな。あれオルトロスなのかな?


悪いけど、俺だってマンさんズには劣るとはいえ勇者パーティの末席にいたんだよね、ただでは殺されねーよ?


さっそくワンコどもを鑑定してみる。



太陽を追う狼スコル。

月を追う狼ハティ。



ケルベロスでも何でもないじゃん。


しかも狼ってそんなでかかった? 馬よりでかいぞ。


俺百八十センチあるけど多分俺よりもでかい。


そんな二匹の狼。一度俺に向かって首を振り、踵を返す。


ついてこいって事なのか。


おい待てよ。


まーてーよ。キムタク風に。


お前らさ、ここは犬ながらに人語を話して俺と会話することで状況を説明する場面でしょうよなろう的には。意味ありげに出てきて黙って去るとかどういうこと。高倉健にでもなったつもりか?


とは思ったが、イベントを進めるにはついていくしかないだろうと思い俺も無言でついていったら突如暗転。


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