最後の一文は、切ない
戦国時代。
おとこおんなのノートを読むに、この辺りはそう呼ばれる文明らしい。
戦国とは、暴力団が鎬を削る熱い時代。
兵隊は足軽と呼ばれ、彼らは普段農民だったという。
でもなんか、現地人を観察するに、少し違うような気もしないでもない。
よく考えてみて。
農民が兵隊ってありえんくね?
だってノートに書いてる農民、農業ほったらかして戦争してるんだけどこれは。
田植えとか稲刈りとかの時期も戦争してんの何故に。
農業忙しい時期に皆が厳密にお休みしてたわけじゃないっぽいんだけど、だからって作物全滅してたわけでもないっぽいんだよね。
ってことは、誰かが農作業してたわけじゃん。
農作業してない人のことを農民っていうのおかしいじゃん。
んで、島民の生き残りにインタビューですよ。
そしたら足軽さん、農民と呼ばれていた割りに自前の武具を持っていた。
鎧とか槍とか。
鍬とかじゃなく。
槍も鎧も農業には使えないですよね。
農民にしては戦いへのプロ意識高すぎません?
この現実を見るに、農民は農民でいて、戦争する人は戦争する人でいるっていうのが正解なんじゃないのかな。
そんでそこんところ更に聞いたらさ、どうやらそれぞれにリーダーがいるらしい。
あ、これが、ノートにあったミョウシュっていう権力者か。
ノートにある「足軽は兵隊で普段は農業していて長男が農業を継ぎ次男三男は兵隊になる」説は、全部間違いな予感。
なんか話を聞くと、ほとんどの人がミョウシュの指示で働いてるだけっぽい。
戦争行きたくないミョウシュは年貢を大名家に多めに収めて、年貢をあんまり納めたくない、納められないミョウシュは戦える人を集めて兵隊を大名に送ってるっていう仕組みなんだと思う。
そもそも農民の人、自分で田畑を持ってるわけじゃないらしい。家を継ぐとか長男がどうとか、最初からそんな話は無いようで。
農民と足軽という役割の区分はただのミョウシュの方針の違い、と。ミョウシュの都合で農民やったり足軽やったりしてると。戦争をするミョウシュの元には武具持参の農民が誕生すると。そんだけのこと。
まぁ農業は年中忙しいわけじゃないみたいだから、暇なときは戦争行って来いって事で武具持ちの足軽農民が多めなのかな。そういうのは派遣会社あるあるだよね。暇なときはこっちの会社で仕事して来いって奴。
戦争も農家も、要は所属する人材派遣会社の業務内容の違いってだけ。
戦争の場合、人材派遣会社のチームリーダーが人を引っ張ってきて、持ち場を担当するっていう完全アウトソーシング事業。
ノートには敵将の首をあげて手柄をあげた足軽が出世して云々とか書いてたけど、それ多分足軽じゃないか、嘘ないし歪んだ情報のどちらかだと思われる。
手柄なんてあげられないでしょ足軽に。もしも万が一敵将を討ち取れたとしても、所謂典型的な「部下の手柄は上司のそう取りスタイル」で終わるだけ。
いやいや待って。敵将の首を取る?
将が本当に雑兵でごった返す最前線に出てくる?
想定外の乱戦とかで運よくそんな状況が転がり込んできたとしても、派遣が敵将を討つみたいなスタンドプレーなんかしたらペナルティ案件じゃん。担当業務以外の事をしたら処分されるのは当たり前ですよ。アウトソーシング事業なのですから。
言われたことだけをまずやれよ全力で、お前の独断行動で持ち場にかかった負担を考えたことがあるのか、下人の分際で身の程を知れ、ってなるだけ。
生きるための生業とはいえ切ないね。
特に最後の一文は、切ない。




