世の中は楽しい
捕獲した猪を処理する。
「あの、若様が猪の解体をされるんで?」
「え、あ、はい。まぁ何度か解体した経験はありますので」
勇者御一行様で食料の調達をしてきたのは俺だ。魔物の解体などワケない。
俺は解体用小剣を用意する。
何年か前に手に入れた氷の魔剣。獲物を傷めないので重宝している。
「やり方をよく見ておいてください。飯方の皆さんにはぜひ覚えていただきたい処理方法なので」
「「「ヘイ。わかりやした! 若様!」」」
なろう特有の文化、必殺カギカッコ重ね。
すごいよねなろう。文化を産み出した。国語に新風をもたらした。名もなき素人の発明。
これだからなろうはやめられない。
俺は解体用小剣で猪の頸を切る。
殆どの生き物は頸動脈を切れば大量出血する。さすれば脳の血圧は下がりオチる。
意識は無くなるが心臓は動き続けるので、死んだ獲物では起こり得ない毛細血管の血の排出が成される。
ウサギやクマも殺りますよ。可哀そう? あほかよ人間風情が。幻想を抱くのは勝手だが、言動に出すなっての糞ヴィーガンども。皆ぶっ殺して食卓に並べてやるわ。
牛肉や豚肉がどういった方法で処理されているか知らない人々。いいじゃない。
「可哀想」とか「残酷だ」とかいう人々が出てくるのは平和の象徴。悪いことではない。
生きるとは何かの命を奪う事。物を食べるという行為は命を頂く行い。
殺生するために生き物は生まれてくると言っても過言ではない。それを思想として否定できるのは、豊かさの裏付けがあるからだ。
動物愛護が行き過ぎるのはうんざりするが、無いよりはあったほうが世界は楽しい。ペットかわいいもんね。
ボタボタと落ちていく血を見て俺は思う。
頭から下全てを無駄なく処理し、無駄なく命を使い尽くす。それが供養になる、っていうどんなテクノロジーでそうなるのか説明し難い思想にも趣きがある。
当たり前とか正解とかそんなものは文化によって変わる。だから人の産み出した『宗教』は偉大な発明だって言われるんだ。世の中が楽しいものだという証拠だよね。
この世は娯楽に満ちている。
ラノベなんか読んでる場合じゃないんだよクソオタども。
「では次に、内臓を取り出します。桶をこちらにお願いします」
「へい! 若様!」
肝臓とそれ以外の内臓を分ける。
肝臓はよいものだ。ビタミン補給が出来る。増血作用もある。適切に処置をすれば優れた健康食品。塩振って食おう。
他の臓器は寄生虫処理がめんどくさいので捨てる。糞と一緒に堆肥にする。
「肝臓の入った桶は調理場へお願いします。この猪は川の水で洗いますので運んでもらっていいですか?」
「「「わかりましたー!」」」
肝臓は調理場で薄皮剥がして血管に注射器で水を流し込んで云々。
結構時間とられるのよね。早くみんなにやり方を覚えてもらいたいよ。




