第八話 初戦闘
塔は目の前で見るとやはり先が見えない。
私、エルリアぼーっとしながら皆と一緒に塔へ入る。
すると目の前には扉があり横にはワープをする為の青い魔法陣だろうか?
そうしたものがいくつも目に入った。
今回は第一階層目だからそれらを使わずこの扉をそのまま開けて進むらしい。
早速入ってみると私はその先の光景に感動した。
「わぁ、ダンジョンって思ったより綺麗なのね!」
そこは青空が広がる草原であった。
だがそれほど広くはなくぎりぎり見える目の先には入り口の門同じような門と大柄なボスらしき熊のようなモンスターの門番が見える。
「天井は魔法で空のように見えるだけで上から叩き落とされて天井が一瞬だけ割れることよくあったよ。
すぐ再生するんだけどね。」
ライは空にある偽物の太陽を眩しそうに見つけダンジョンの豆知識を教えてくれた。
するとデコがしつこくこちらに話しかける。
「エルリアちゃん、武器に呪いついてるし装備は初期装備だけど大丈夫かな?
おじさんの鎧貸してあげよっか?」
この人本当受けつけられない!
けどライの大切な友人だから丁寧にさっきから受け流してる。
「今日はこの装備でも大丈夫ってお兄さんが教えてくれたからデコさん今日は要らないです。」
するとボコの方が何かに気がついたようだ
「お、丁度いい。
一番弱い敵。ビギナースライムですぜ。
子供でも倒せる。エルリアやってみ。」
ボコの方は意外と常識人ぽくていいかもと思いつつ、何も武器がないので拳を構える。
ライはその様子を心配そうに見つめる。
「ねぇ、エルリアちゃん多分変わらないかもだけど僕の武器使う?」
「いえ、雰囲気とか別に気にしないから大丈夫よ。
それに私だって成人してるもの子供が倒せるなら私だっていけるわ!」
私は試しに私の体の4分の1くらいある大きさのスライムを殴ってみた。
手応えがありスライムが怯んでる様子からダメージは与えられたようだ。
「可愛い攻撃だがそんな感じだ!
やるなぁエルリアちゃん!
一度殴るとあれは襲ってくるから注意だぜ」
とデコの気持ち悪い声の瞬間スライムが私の胸あたりを殴った。
少し痛い。
どうやらダメージを受けると私のHPも見れるようで15あるようだ。
視線を戻すとなぜかスライムが硬直してる。
「あ、あれはあのスライムがエルリアちゃんの胸に突っ込んだからだね。
困った事に魔物にもデコみたいなムッツリしたのもいるから…」
ライは呆れながらこちらへ説明する。
私は顔を赤くして殴られた所を抑え
「このスケベデコ野郎!」
と言って今度はもう片方の腕で思いっきりぶん殴った。
今度は先程より強い手応えと弾ける様な音が響いた。
するとスライムの姿が消え葉っぱのようなものとお金が落ちる。
またライの声が響いた。
「お、これはクリティカルだね!
確率で起こるんだけどダメージが二倍になるんだ!
そしてやったね!
やくそうとお金だよ!
エルリアちゃんの初勝利さ!」
こんな簡単にでいいのかと混乱はしていたが
デコもボコも素直に喜んで拍手してくれた
のを見て嬉しくなり落ちたアイテムとお金を手に取った。
「よく分からないけど、ストレス発散にはいいかもしれないわね!」
と喜んでいると地鳴りがする。
そしてすぐに
「危ない!」
「え?」
ライは急に私を突き飛ばした。
その直後、大岩が私のいた場所に墜落しそれがもろにライに当たる。
私は心臓が止まるかと思った。
しかしライのHPは385あり250に減っただけだった。
なんて桁違いな力の差だろう。もしあそこにたったHP15の私がいたら確実に死んでいた…?
ライは鋭い声を発した。
「君たちはなんの為の騎士なんだ!?
味方を瞬時に守るスキルに加え防御力強化の魔法も覚えているはずなのに剣を振るだけしか脳がないグラディエーターより瞬間的に味方を守る行動ができないなんて!
なんのために雇ったんだ…!」
「すんません」
二人は恐縮しながら大岩を投げた主、恐竜のような大型モンスターに立ち向かう。
「こ、これは?
と、というより雇った?」
私のふと出た問いにライは顔をしまったとハットした顔をする。
しかしすぐに説明の対応をした。
「ごめん、エルリアちゃん雇った話は後。
これは初心者殺しのレア強力エネミー。
適正レベルはフィールドモンスターのレベル+50で現れる。
一定数のモンスターを倒す毎にアナウンスと同時に現れるんだけどこんなすぐ近くに現れるなんて…」
そうね。確かに、運が悪…
「良いね!この程度のレベルなら簡単さ!」
穏やかな印象であったライと違う高いテンションでそのまま恐竜へ突っ込んで行った。
「ライ!!」
エルリアは恐ろしくなり叫んだがデコとボコは態勢を取り相手の出方を伺うと共に自然な流れでエルリアを後衛に立たせた。
ライは呪文のように複数のスキル名のような物を発する。
そして様々な魔力のオーラを一気に纏ったライはそのまま恐竜の前で跳躍し剣を振り上げると一言叫んだ。
「アメノハバキリ!」
私はその声と共に目の前で起こる光景に目を見開く。
なんと彼の振り上げた剣は10m以上の巨大な輝く剣となったのだ!
そしてライはそれをそのまま恐竜のモンスターに勢い良く振り下ろした!
ここまで読んで下さり本当に感謝です。
不定期ですが瞳の勇者に登場する人物の簡易的な情報等を纏めた『瞳の勇者速報』を活動報告に載せたいと考えております。
今回は瞳の勇者速報 NO1を載せたのでもしよろしければどうぞ!