第六話 血染めの剣
そこにあったのはまるで血の塊。
真っ赤に染まった一振りの剣であった。
男性用の大きさであるためエルリアにとっては身の丈であり、扱えそうには見えない
ヘパイストスは解説する。
「ダーインスレイブ。
これはとにかくとんでもねぇ代物でこいつは相手の血や体液、魔力を吸いこむことでその能力を扱う事ができる。」
ライはその能力に驚いて興奮した。
「魔力を吸うって相手の魔法を無効にするって事ですか!?
しかも相手の能力まで扱える!」
「ああ、ただしこの剣は持ち主を選ぶ。
こいつは生きてるんだ。
しかも持ち主が死ねばその人格を飲み込む。
そしてこいつには自我がある。
最後の持ち主が次の持ち主に託したいって思わなきゃ触れた途端血塗れの大怪我さ。
試してみるかい?エルリア」
「なんで私の名前を…?」
ライが私の名前を呼んだ訳でもないのに私の事を知っている事に目を見開き驚いた。
ライも訝しげにヘパイストスに問う。
「本当ですよ。
エルリアちゃんはここに来たことない感じだったのに。」
「なーに、知り合いの知り合いの名前をしってんだけだよ。
まぁ面識がないのは確かだが顔見ただけでなんとなくな。
んで、俺はエルリアには他の武器をやる気はない。
どうせ使いこなせず犬死だろうからな。
ほらこんな強え武器使えるかもってチャンスなんによ、使わねぇのか?」
ライが絶対止めようと口を開こうとした瞬間に私は素早く手を伸ばす。
その瞬間不思議な声がした。
『え、エルリアなのか…?』
「ん?」
私は聞いたことのない掠れた声を聞いた途端に血染めの剣は光だし伸ばした右手に吸い込まれるように消えていった。
「まさかとは思ったが成功だ。
金はいらん、そいつは厄介な代物だったんでな。
粗大ごみ代を払わないで済んで助かるレベルだ。
あ、デメリットを忘れていた。
2つある。
1つ目そいつ装備すると他の武器や防具など装備してもなんもステータスは上がらん。
2つ目そいつは何のステータスも上がらん。
つまりそいつ以外の剣を持っても素手で殴るのと変わらんから注意な。」
「それ先に言って!
あ、あと剣が消えたわ…?」
私は後から言われたデメリットの酷さに怒ったがそれ以上に剣がなくなった事が気になった。
ライがひどく心配そうな表情を私に向けているのに気が付き、ニコッと無理に笑いかけ落ち着かせる。
こういうとこ年上だから余裕を持たないとね。
ってかここまで来たら引き返せない訳だし。
「そいつはお前がマジになったら出てくる。
だから言ったろ?覚悟があるならってな。」
私はくいっとヘパイストスに背を向けるとライの袖を引いた。
「もういいわ。
行きましょ、お兄さん。
尖った武器の方が意外と役に立つかもだし。」
「あ、ああ。まぁ仕方ないか
僕たちが全力で守ればいい話さ!
昨日話したギルドの皆待たせてるからもう行こうか」
「え、もう集まってるの?」
「うん!エルリアちゃんが寝てる間昔の仲間集めてきたんだ!」




