第四十一話 エルリアの裏切り
「ああ、スミスか。懐かしき同胞の名前だ。」
不敵に笑うシバ。
エリックはそんな彼を見ても堂々と問いかける。
「なぜお前は人間であるのに魔王の部下として立ち塞がる?
そして逆に魔王の手下のくせに何故、瞳の勇者に選ばれた、お前の目的はなんだ!?」
シバはエリックを冷たい眼で見つめた。
「王の子よ、魔王の味方に人間はいないと誰が言った?
そして誰が瞳の勇者は魔王の部下も含まれないと言った?
私は人であり魔王の部下である。
そしてさらに元リベリオンの長であり貴様の父、国王に積年の恨みを持つ瞳の勇者。
名はシバ・リベリオン。
エルリア、お前の実の父親だ。」
私はあまりにもの情報に混乱したが右腕が白く光ったを感じダーインスレイブが白眼の力を使ったのだろうか頭が整理されていくを感じる。
シバは呆然としている私に手を差し伸ばした。
「さぁ、魔王の元へ行こう。
私は我が子エルリアを連れていく為に待っていた。
時間が無い。
これから外で面倒な事が起こる」
「面倒なことか」
その声に振り向くとライがよく読み取れない表情で見つめていた。
だがエリックは太く強い声でそれを止める
「このギルドでは裏切り者、このギルドの敵になる瞳の勇者は総叩きと決まっている
エルリア、君の理論なら今の私達側は分が悪く敵側に付くだろうが
言わせてもらう、やめるんだ」
私はエリック達、今まで戦ってきた仲間達と仮面とフードを被ったシバを見た後ノアを見て笑った
「私、ノアの弱点知ってるのよね。」
「!?」
ノアは図星をつかれたように目を見開く。
そうだ、ダーインスレイブから得た白眼の力でノアがどうして連れ去られたか知っている。
生命に関わらない行動不能系、ただの意識の喪失等に弱いという事。
私は話を続けた。
「あんた達総がかりで私に殴りに来ていいけどノア無しで勝てる気でいるのかしら?」
「…」
皆黙った。その中シバは大笑いする。
「流石、我が娘だと誇り思いたい。
全く会ったことはないが王子達相手にそこまで肝が座っているとは。
もう大人になってからで悪いが撫でても構わないか?」
「その前に…」
手を伸ばしたシバに私は血走った目を見開き
「初めての反抗期をさせてもらうわ!」
手から出たレーザーを寸前でシバはかわす
銀眼の力だろうかその瞬間だけ異様にスピードが上がった。
間合いを取った私にエリックやノア達が集まる。
「魔王は私が倒す、本当のお父さんに会えたのは嬉しいけど見くびらない事ね。」
エリックはにやりと笑いシバに話しかけた
「だそうだ、確かに娘さんは立派過ぎる程育ってるよ。」
シバはしばらく黙っていたが一言
「エルリア本当はもっと話したかったが
君が次また生きてれば会おう。
もう時間だ。」
その言葉と共に塔すら震える程の巨大な揺れと轟音がした。
「こ、これは…!」
いち早くエナが反応して狼の姿へと変え耳を立て一言。
「城の方面からだ…!」




