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瞳の勇者  作者: 烈火
第四章 死合
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第三十九話 赤い池

わしは皆の希望の光だ。

わしは皆の救済の光だ。

わしは皆の反逆の光だ。


だが皆スラムの住人達はノアの能力、絶対に殺せない加護と

味方になると確信を持てたエルリアが敵になった事

そして残り三人もの瞳の勇者が敵にいるのに対して

瞳の勇者がたったの1人のリベリオンの現状に意気消沈し絶望にふけていた。

わし、スミスはリベリオンのメンツを呼んだが元勇者一行のシスターソフィアはノアが敵になったこと

エルリアの友人アイゼルはエルリアが敵になったこと

レシラは姿を消す魔法隠れていたがエルリアのあの破壊力のある力に怯え全員戦意喪失をしていた。


わしは夢の中でそんな若い彼らのエネルギーが無くなっていく光景を振り返りとても辛かった。

何より第一形態とやらで止まったわしでは奴らにまともにダメージを与えるどころか土塊を身代わりに誤魔化して時間を稼ぐことくらいしか出来ぬやもしれぬ。

このわしが25年前のリベリオンの反逆の時シバ達のために何もできなかったこのわしが

こんな老いぼれでも瞳の勇者に選ばれたこのわしが

皆の光となることができぬのか


『紫の眼は反逆の力

勇者は勇気あるものを示す。

魔王を倒すのみでなく皆の為に戦う勇気のあるものを示す、それは王国への反逆であったとしても』



なにか声が響く


『お前は怯え、反逆を恐れている

自分の非力、老体、多勢に無勢を理由に』


わしは震えた声で怒鳴った


「な、なんじゃと!

わしはこの老体でも選ばれた身

その力を皆の為に、命を賭して戦う!」


『その覚悟があるか?

シバにはあった。

リベリオンの首として身を砕く覚悟で逝った

そしてその同士達がどのような死をそしてどのような拷問にあったか?

お前はその全てを受ける覚悟で反逆するか?

答え次第では協力する』


「…」


わしは黙った。シバは最後壮絶な死を迎えたという話は聞いた。

だがもうわしは瞳の力を得たとはいえ老体この力が失われたらもうチャンスはない。

それにわしはソフィア、レシラ、アイゼルに約束した。


「わしは皆の希望の光だ。

わしは皆の救済の光だ。

わしは皆の反逆の光だ。

その覚悟試すのであらば試すがよい!

ただ約束しろやつらに立ち向かえる力を

皆を守れる力をわしに与えるとな!」


『約束しよう。これよりこの精神空間の時間の流れは1000分の1となる。

お前の昔の同士が受けた死の痛み、拷問の痛み、全てを受けそれを反逆の力と変えるがいい!』


わしにはこの道しか残されていなかった

この老体が役に立つのならば耐えるのみ

夢の中だが目をつぶった。



あれから何年経ったのだろうか

どうやら自分が死ぬと死んだ自分が下に倒れるようで何百もの自分の死体とその下には血の池ができていた。

わしはその上に座っていた。

そして気が付くと紫の光を纏っていた


『驚いた。

ここまでの精神とは。

しかも第三形態のなりかけ

だがこの先は…』


「どうした?

もっと苦しみを与えんか?

同士の苦しみ

しかと受けたがまだ足りぬ

王国を消すにはな

さぁ次はどうしたと言うのだ!!」


『これで同士全ての苦しみを背負ったその強靭な精神…!

お前は全ての瞳の勇者を凌駕している!』 


「確かに苦しかった…とても長かった

人によっては何週間も拷問をうけた

まさかここまでとは

シバよ…お主も壮絶な最期を

うううぉぉぉおおおおお!」


わしは紫眼の力を爆発させた。

激しく燃え上がりその空間、その夢ごと消し去った。


目の前には起こしに来たのだろうか、ソフィアが目を丸くして尻もちをついていた。


「す、スミス様、その髪色と光は…!」


「これか?…これは皆の反逆の光だ。」

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