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瞳の勇者  作者: 烈火
二章 瞳の勇者の集結
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第十六話 諍い

「よく来てくれた。

私の名前はエリック。

この国の王子であり、塔攻略ギルドのマスターだ。

同じ瞳の勇者としてエリックと呼び捨てにしてくれ。

先日の件はこの国の王子として謝罪したい。

…本当にすまなかった。」


城門の先、謁見の場にて

エリックが玉座から立ち上がり私達に軽い挨拶をした。

背はかなり高くがたいもいい。

落ち着いて灰色の髪色から老成した様子に見えるが歳は二十代後半といったところか。

そして緑に輝く瞳、彼は緑眼の勇者だと思われる。

謝罪に関して私としてはどうでも良かった。


「私もその件にあたりご迷惑おかけしました。

差し支えがないようでしたら今回の件についてお伺いしてもよろしいですか?」


「そうか、その落ち着いた様子。

察するに君は見た目以上に成熟しているのだな。

今回は互いの瞳の勇者の能力について話し合いをしたいと思う。

とりあえずまずは客室に案内しよう。」


見た目に関しては余計、とは思ったが今の言葉だけで私の年齢に目星をつけるのは驚きを感じる。

服はノアの魔法で繕ってもらったものだがどうやら王子相手でも違和感はなさそうだ。


私達はまっすぐ晩餐に使われるような部屋に案内された。

そこに置かれたU字のテーブルの外縁に椅子が置かれている。

U字の中心にエリックは座り私達も座るよう催促された。

私とノアはエリックの側を座ると対面する騎士の鎧を着た10代半ばくらいの少年が目に入った。

濃い茶髪でツンツンとした特徴のある髪型をしている。

そして、金色の瞳…!

この子も瞳の勇者なのか。

対面に座っているため目に入って威圧感を感じる。

その空気の中エリックが突然切り出した。


「彼はエナ、塔攻略ギルドの副団長だ。」


「…。」


エナはこちらを睨みつけ何にも話さない。

エリックの声が耳に入ってないほどこちらに集中してるようだ。

この歳で王子の片腕をしている、それだけの実力はあるのだろう、だが印象は悪い。

私はとにかく礼は尽くそうと挨拶をした。


「私はエルリアと申します。

こちらは相棒のノア。

先日は騒ぎを起こし申し訳ありませんでした。」


こちらも確かに印象悪くなる事をしている。

だから機嫌も悪いのだろう。


立ち上がり謝るとエリックのフォローが入った。


「いや、王子として我が民を守れなかった責任は非常に重い、私も強く受け止めてる。

私が今のようにあの時もっと力があれば彼らは死なず、君の心に深い傷を…」


「プリンスちゃん凄くイケメンだね!

ボクはお兄さんみたいな堅い人好みなのっ!

あ、後エルちゃんは力が目覚めたからむしろ感謝してるんだって!

だから気にしな…」


私とエリックが話しているとき、急に空気を読まず割り込んできたノアの頭を私は叩いて弁解した。


「申し訳ありません、邪魔しないでノア!

…私は彼らの死を喜んでいるのではありません。

彼らの死を無駄にしたくないからそう思う事にしました。」


「君の立ち振る舞いを見てわかった。

気持ちは分かるが堅くならなくてもいい。

私は何百、何千人と人を見ている。

君は本来の君でいる方が楽だろう?」


瞳の勇者の力なのかそれともカリスマなのか?

先程から心を見透かされ驚く。

すると放置され続けてたエナが私を指さした。


「あ、思い出した、お前あれじゃん。

下町でチビのくせに顔が良いとか胸がでかいとかで有名になってたスラムの娼婦。

なんか血眼の化物って話になってるけどさ、そんな過去持った女が今更ずけずけと出てきて恥ずかしくないの?」


子供相手だ、適当にあしらってやるかと思った時だ。


「エナ君!エルちゃんの事みんなの前で辱めてなんてこと言うのっ!…、酷い!!」


「のわっ!」


なんとノアが急に自分の持っていた剣をエナに投げた。

その剣は幸いエナが避け、すれすれで床に刺さる。

すぐにまた私はノアの頭を叩き彼とエリックに謝罪した。


「申し訳ありません…!」


エリックは別段気にせず何も言わず穏やかな表情でうなずいた。

彼の瞳の勇者の能力的に先程の行為は命に関わらないのだろうか。

少年は剣を抜いてノアと私に怒鳴った。


「なんたる侮辱だ!

さっきの剣は返してやる。

ノアと言ったな、貴様その剣で決闘をしろ。

オレは金眼ごんがんの勇者エナ!

今からお前を倒してその青眼の力を奪い取る!」


エナと名乗った少年はノアの剣を回転させて投げる。

するとノアのすぐ近くの床に直立で刺した。

その正確さからかなり腕が立つことが素人目でもわかる。

そして彼は剣を抜く。

意外と沸点が低く立ち上がるノアに何が起きても余裕そうなエリック。

このままだと修羅場になってしまう。

するとまたあの剣の声が聞こえた。


『とめとくか?』


「え、ええ。」


『なら、どう思う?

この机の上であの事件後

もし何事もなく晩餐が豪華に行われていたら』


「!?」


私は突然何かが切れる感覚がし、反射的にテーブルを掴む。

するとビキビキと亀裂が走るのが見えた。

そして


ズドン!!!


という爆音と共にテーブルは弾け飛んだ!

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