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瞳の勇者  作者: 烈火
一章 血眼の勇者
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第十二話 瞳の開花

エリックは再び大穴の方を見るとそこにはさらに酷い光景が広がっていた。

穴の先はさらに広がり真っ暗な空間となっている。

ダンジョンには自動修正機能があるらしいがここまでとなると、どれだけ時間がかかるか分からないため当分はここを閉鎖することになるだろう。


なるほどこれが瞳の勇者の力か、私も皆を守る使命の為にあの力に恐れてはいけない!

そう思った時だった。

側の兵士が話しかける。


「王子?瞳が」


「ん?…これは!?」


剣を抜き反射させて自分の顔を見ると

元々茶色だった瞳が緑色に光っていた。



あれから剣は何も声を発さない。

幻聴だったのだろうか?

聞こえるのは自分が瞳の勇者に選ばれたあの時と同じ早い鼓動と苦しい呼吸のみ。


私、エルリアは気が付いたら町の外れの湖についていた。

そういえばここは勇者が現れたという地で有名であった。

もう既に夜で満月が湖に反射して写っている。


「ひっ…!」


そこで初めて自分の顔を見た、血走った眼赤い瞳、そして血染めのような真っ赤な髪。

腕にはあの赤いリボンが巻かれていた。

端から見たらおぞましい。


「ゲホッ…。」


そう思うと口から血が溢れてくる。

体が熱くて苦しい…。

すると不意に


「本当は可愛いのに血まみれなのは可哀想」


そうムカつくような喋り方をする高い声が聴こえた。

目を向けると月の光が強くなり少年のような少女のような人なのかも分からない者が湖の上に現れた。

その後湖の上を滑るようにこちらに近寄ってくる。

その目と髪は黄土色でやはり顔立ちから性別が判断つかない。

すると私を見た途端青いオーラを放ちその子の瞳の色は急に青色に変わった。

そして体が触れる至近距離まで来ると


「やっぱ君って綺麗な顔してるね」


そう言い不意に額にキスをされた。

私は急な出来事に固まったがそれと同時に体から発せられていた赤いものが消えていった。

髪の色も黒に戻っていくのが見える。


「え?誰なの…?」


あまりにもの自由ぶりに引き気味に聞くと


「ボクはノア、この湖の精霊さ!

そして瞳の勇者の一人!

今ボクも能力を手に入れたばかりだけど

ボクの能力は触れた瞳の勇者の力を無効化すること。

今の君は自分自身でさえ傷付ける程力が暴走してたから止めてあげたんだ!

感謝してよね!」


「やり方、デリカシーなさ過ぎね

あんたが男だったら最悪よ、女でもやばいやつだけど」


「性別は無いから安心してっ!」


「…えっ?」


「湖の精霊だからそういうのは自由なの!

つまり君がボクを男と思えば男だし女だと思えば女って訳!」


「はぁ…?」


恐ろしく面倒な奴と出会ってしまったようだが本当にその暴走とやらが止んだらしく不思議と気分が落ち着いてきた。

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