表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/97

エルザエヴォスの思惑

 神々が住まう世界、天空世界(スティルヴァース)

 荘厳華麗な建造物が立ち並び、その中でも最も際立っている中央の建物に、天空神エルザエヴォスと主だった神々は居る。

 

「ローレスたちはデストロイアルを討つ旅にでたようね」


 女神がエルザエヴォスに話しかける。

 エルザエヴォスは満足そうに口元を綻ばせ、一つ下の席に座する女神に視線を向けた。

 

「私が見つけた勇者たちと合流してな。辺鄙な地にいるものだから探し出すのに苦労はしたが、彼らもまたデストロイアル討伐の為立ち上がってくれたよ」


「でも、勇者というにはまだまだ力不足が否めないわね。そんなに頼りにしていいものかしら?」


「心配するな。私が言うのだから間違いなかろう。だが、しかし」


 エルザエヴォスは視線をゆるりと動かし、話していた女神の隣に座す女神に視線を向ける。


「今更ながらも流石よ、人神(ぜスタシア)。お前は人間というものを本当に巧みに作り上げた。人間の()あれは誠に素晴らしい。自らを犠牲にし、他者の為に命を使う。これは()がなければできないことだ」


 賛辞を受けた女神は、小さく会釈をし謙遜する素振りを見せる。


「まあ、その心が妨げとなり、神の命令すら二の次になる事は頂けぬが、それも私の意思一つでどうとでもなる」


 隣に座す女神が、くすりと笑う。


「悪い人ね。ローレスたちがあの村を救えないように手を回したのでしょう? 貴方には心がなくて?」


 人に例えた言い回しに、思わず吹き出すエルザエヴォス。


「悪いも何もないのだよガイア。我ら神とは唯一無二にして傍若無人。慈悲も情けもない、有益か無益か。それだけよ」

 

 エルザエヴォスよりも二段下、三人並ぶ内の中央に座す、引き締まった肉体の、男神が冷笑を浮かべる。


「しかし、アテナもまた巧みに救いを求める心につけ込みましたな。宗教という社会集団を作り上げ、酔心した人間たちは神の為にと忠実な駒のように動く。最も、崇拝の対象はアテナのようですがな」


「何を今更一〇〇〇年以上前の事を言っている。しかし、アテナにはラー大陸という最前線に出向いてもらっているんだ。そのくらいの特権は与えてやってもよかろう」


「現に今、アテナはデストロイアルに敗北し封印されているしね」


 くすくすと笑うガイアと呼ばれた女神。

 エルザエヴォスはそんな冷淡な女神を見て、苦笑する。


「お前も悪い女よ。何故、女というやつはこうも同性を目の敵にするか」

 

 苦言を呈されたガイアの顔から笑みが引き、細めた目でエルザエヴォスを睨むと、思わず身体が仰け反るエルザエヴォス。


「あら? 多少なりとも貴方のせいでもあると思わないかしら? エルザエヴォス。それに、悪いも何も無いわ。だって、神は唯一無二にして傍若無人。利己的で整合性を求めるものよ」


 艶笑を浮かべるガイア。

 その場にいる全ての神がたじろぐ程の威圧感を、大地母神(ガイア)はさして意識せずに放つ。


 空気を変えようと、天空神(エルザエヴォス)が咳払いを一つする。


「まあ兎に角、ローレスたちにも勇者たちにも、魔神軍討伐に励んでもらわねばな」

 

 神たちは一同に頷いた。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ