少女の裏側
下心丸出しの風磨に敵意剥き出しのバイオレンス少女テトラヴァ=シュラ=ノエル。
風磨と彼女の持つチョーカーの装飾から、2人に関係性があるかもしれないことが分かった。
そして、ノエルは大切な話と称して、身のうち話を淡々と語り始める……。
「______________フウマ、貴方に大切な話があるの。」
彼女の真剣な面持ちに、自然と背筋が伸びる。
お互いに落ち着いて話をするために座り込む。
「……それで、大切な話って?」
僕が恐る恐る問いかけるとノエルは、ふぅと一息ついて、言葉を紡ぎ始める。
「私のお母さん、地球出身なの。
名前は、狛葦あかり。狛葦 努さんの妹だって、昔から聞かされていたわ」
「ってことは、ノエルは地球人と異星人のハーフってことか?」
「そういうことになるわね。こうして、フウマと会話ができるのも、小さい頃からお母さんにこの言葉を教えてもらっていたからなの。」
「なるほど。どこの星なんだ?」
ハーフって聞くと、容姿端麗な印象があるけど、本当に綺麗な子が生まれるんだなぁ。ノエルの可愛さにも納得がいく。
「それは…またいずれ話すわ。今はほかに話さないといけないことがあるから。」
「そうか、わかった。」
「それで、理由あって私は自分の星から逃げて、この星に来たってわけ。
私の知る限り、この星にしか身寄りがなかったからね」
「理由って?」
「…それもまたおいおい、話すわ。
今は1つ、貴方にお願いしたいことがあるの。」
大切な話と言っておいて、結構はぐらかされてる気がする。
それでも、困っている人は放っておけない。
ノエルのような美少女なら尚更だ。
「僕に?」
「そう。私を、ここに置いて欲しいの」
「は!?ここって、僕の家に!?」
「そうよ」
いや、そうよ じゃねぇ…。
いきなりやって来て、僕の叔母さんの娘だって?
家に置いてくれって?新手の詐欺か?
「いや、でも……」
「お願い…!貴方しか頼める人はいないの!」
身を乗り出して、僕に必死に頼んでくるノエル。
そんな頼まれ方して断れるわけないことを、こいつは知ってやってるんだと思う。
乗せられてやるのも癪だけれど、母さんが帰って来たら、また何かわかるかもしれない。そうとなれば、答えはひとつ。
「…わかった。要求を受け入れるよ」
「ほんと!?」
「とりあえず!母さんが帰ってくるまでの間だけだからな!」
「やった!!!フウマ!ありがとう♪」
そう言って、僕にぎゅっと抱きついてくるノエル。柔らか……じゃなくて!
誰だこいつ!こんなデレデレのノエルなんて、僕は知らないぞ!!
「あー…ただし、大人しくできないなら出てってもらうからな!」
「当然よ♪大人しくする〜」
語尾に音符が飛びまくるノエル。
こいつ何かに追われて逃げてきたんじゃないのか?危機感のない奴め。
突然裸体で現れたかと思えば、僕のことを痛めつけて、罵倒して、殴って、抱きついて、なんて言うか本当に、危なっかしいやつ。
本当なら手を出してやりたいけれど、そんな勇気、僕にはない。間違いなく殺られる。
何はともあれ、これから一つ屋根の下に暮らすなんて、不安でしかない。
異星人とうまく生活していくことなんて出来るのか……?
ー第1章 完ー
ここで、第1章が終了になります。
第2章からは、同居人ノエルを加えた、風磨の日常が描かれます。
たくさんの方に見ていただいて本当に光栄の至であります。
今後も風磨やノエルともども、応援して頂けると幸いです。
蒼葉かなる.