表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君の声が聞こえない  作者: 葉方萌生
エピローグ
43/43

-

「ね、見てこれ」


日曜日の午後。彼女が嬉しそうな声でそう言って、僕に一枚の絵を見せてくれた。

あれから5年が経った今でも、彼女は相変わらず大きな瞳を輝かせて、僕の隣で笑っている。


「これは……」


「ええ、高校生の時、いつも二人で帰った道」


彼女が見せてくれたのは、彼女自身が描いた絵だったが、その絵を見て驚いた。

なぜならそこには、二人並んで歩いた高校時代の帰路と、二人の姿、それから真っ赤な夕日が、山の端から顔を覗かせていたからだ。


父親の火災事故以来、「赤色」が嫌いだと言って今まで青を基調とした絵しか描いてこなかった彼女が、美しい橙色の世界をキャンバスに描いたこと。


それは、彼女が着実に前へと進んでいる証だった。


「君の声が、聞こえてきそうだね」


僕がそう感想を述べると、彼女が「でしょ」と可愛らしい声で誇らしげに胸を張った。

僕はこれからも、花のように笑う彼女を、隣でずっと見ていくのだろう。

 未来を想像すると、僕は胸にあたたかな陽だまりができていくような心地がした。

 

 もう二度と、この手を離すことのないように。

 この笑顔を失うことがないように。

 僕は彼女と共に歩む道を、これからも選び続ける。


毎日、「ただいま」と「おかえり」の声を聞きながら。




『君の声が聞こえない』終

『君の声が聞こえない』、連載終了しました。

一時期全く筆が進まない時期があって、完結まで長い時間をかけてしまいましたが、無事に終えられて良かったです。

最後まで読んでくださった読者の皆様、本当にありがとうございました。

今後とも、他作品の方でよろしくお願いいたします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ