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暴食魔王の食べ歩き  作者: 因幡之黒兎
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魔王国ニブルヘイム

息切れしましたー。

次はいつになるんですかねぇ……



 青い空、白い雲、広い海。

 波に揺られながら船はゆったり進んで行く。


 海は穏やかなもので、絶好の航海日和といったところだ。

 長い付き合いとなった精霊のディーナは涼しげに潮風に当たっていた。

 反対に湿気るだなんだと潮風に文句を言っているのは世にも珍しい喋る魔導書ディブロ。


 何だかんだで初めての船旅、割りと楽しんでいるのではないだろうか。

 光が照りかえってキラキラと輝く海、穏やかな時間。

 そんな素敵な時間に…………。



「オロロロロロ……」



 吐瀉物を撒き散らす魔王が一人………。

 どうも、ゲロゲロ魔王です。



「ロアお姉ちゃん大丈夫?」



「全く、魔王のくせにだらしない!」



 こちらを心配して背中をさすってくれる金髪碧眼のハイエルフの子エルザ。

 いやー、ホントいい子だなぁ~。

 お母さん、こんなにいい子に育ってくれて嬉しいよ…。


 一方、こちらを呆れながらも同じように背中をさすってくれる金髪の龍っ子プリシラたん。

 なんだかんだでちゃんと心配してくれる姿にこういうのもありかも?なんて思ってみたり。



「なんだろうか、急にこやつの頭を叩きたくなったのだが?」



「や、やめてあげよう?」



 勘が鋭いのか、こっちの邪な考えを察するように不穏なことを言ってくる。

 やめて!今そんなことをすれば汚いスプリンクラーが出来上がっちゃう!!



「ま、まだ着かぬのか?」



「う、うーん・・・、ん?」



 エルザがきょろきょろと海を見渡していると一か所を見つめて動きが止まった。



「アレ…かな?もしかして」



 エルザの見ているほうを見てみると、確かに町っぽいものが見えている。



「あれがニブルヘイムか…」



 プリシラがつぶやく。

 その体は少し震えていた。

 まあ今まで会えてなかった母親との再開に怖かったり戸惑ったりしているのだろう。

 出来ることなら落ち着かせてやりたいが。



「あ~…、オロロロロロロr」



「…、全く情けないな!もう少しの辛抱だ」



 と介抱されている俺のほうがそろそろ落ち着きたい…。

























「エ…」



「な…」



「うわー♪」



 港についての最初の感想は驚きだ。


 そこには様々な種族の人々が生活していた。

 黒い角の魔人の商人から人間が物を買い、エルフとハイエルフとダークエルフがドワーフのアクセサリを見て楽しそうに話している。

 ドワーフと人間が小さな子供と手をつないで歩いていた。

 双方の面影を残しているところから恐らく二人の子供なのだろう


 俺ははここまで二つの国しか訪れていないし、あまり人と交流を進めてこなかったが、ここまで老若男女種族問わず暮らしているところはいないのではないかと思った。



「ありえるのか?」



 思わず思ったことが口に出ていた。



「ニブルヘイムは魔王アルヴァが作った国というのは知っているな?」



 プリシラの言葉に頷く。



「アルヴァは昔、種族のことで苦労したそうでな、自分のような思いをする者のない場所を求めたそうだ」



「そしてそれがこの国ということかの?」



「そう聞いた」



 すごいなぁ、そう思った。

 国を作るなんてことの大変さなんか俺にはわからない、その上に差別をなくさせるなんて難しいなんてレベルじゃないだろうに。

 それを実現させている、すごい以外に語彙が出てこないな。

 …語彙力がないだけだけど。



「いろんな人がいっぱいいるね!」



 エルザが目を輝かせてこちらによって来た。

 何だかとっても嬉しそうだ、というかすげぇ可愛い。



「失礼、ロア様とお連れ様でしょうか?」



 どこに行くでもなく立ち往生していたら金髪のイケメンに話しかけられた。



「ロアお姉ちゃん、この人私とおんなじだ」



 同じ?ということは。



「はい、私もお嬢さんと同じハイエルフですよ」



「妾達に何の用だ」



 プリシラが警戒するように言葉を返す。

 というか少し不機嫌ね?



「そう警戒しないでください、用があるのは我らの王の方ですので」



「我らの王じゃと?」



「はい、アルヴァ様が貴女方にお会いしたいようで、その使いです」



 あーそういう?

 てかなんで俺たちが来たこと分かったんだ?



「なぜ妾が向かわねばならん、むしろそっちが来い」



 プリシラがまた少し不機嫌に…。

 てかそれは流石に不敬なのでは?

 相手はちゃんと国を治めているガチ王様だよ?



「王もそうされたかったようですが、アルヴァ様が港に行くと騒ぎになりますので…」



 そりゃ自分の国の王様が突然港に顔を出せば騒ぎにもなるだろう。



「まあまあプリシラよ、そう不機嫌にならんでもよいじゃろう?」



「不機嫌になどなっておらん、そもそも妾たちには目的があるはずだ」



「その目的を達成するためじゃよ、どの道どこにおるのかも分かっとらんのじゃし挨拶に行くぐらい構わんじゃろ?」



「し、しかしだな」



「何なら相談してみるのもありじゃろ?王様なんじゃしなんか分かるかもしれんしのうぅ」



「……それは流石に不敬なのではないか?」



 王様来させようとしたお前が言うな。



「私は面識があるしのぅ、そのぐらいいうだけタダじゃろ」



 プリシラは少し納得いってなかったようだが、エルザがお城を見てみたいと言うとしぶしぶ了承していた。

 あれ?プリシラさんエルザに少し甘い?



「ではこちらの馬車へどうぞ、歩きですと少々遠いので」



 そういうと近くにあった馬車へと案内してくれた。

 俺たちは馬車に乗り込むとアルヴァさんの待つ、魔王城へと向かった。



「ところで暴食の、お前船では酔っていたが馬車は大丈夫なのか?」



「プリシラよ、私は船になれていなかったので酔っていたのじゃ、別段馬車などで酔うたりせんよ」



「ふむ、馬車は慣れているのだな」



 馬車など乗ったこともないので、吐いた。



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