二度あることは三度四度、大体十度ぐらいまでならある
森から街にかけて魔物と人の死体が転がっていた。
ここに比べれば森のなかはまだ平和と言えただろう、魔物がたくさんいたけど。
焼けた死肉の臭いが漂っていて、大地は抉れ、さながら戦争の後の様に思えた。
そんな光景をポツンと見ている俺、どうもです。
いやぁ、なんだこれ?
エルドラドどっかと戦争してんの?
『どうやらエルドラドが攻め込まれているみたいだぜ?』
ディブロにそういわれたので街の方をよく見てみると、城壁付近にちらほら影が見えた。
一定感覚でチカチカしてるのはエルドラドから魔法を飛ばしてるんだろう。
で、肝心のお相手はどこに?
「城壁の辺りで交戦しとるみたいじゃが、相手の本隊は見当たらんのぅ。」
『そりゃ本隊が城門の付近にいたら駄目だろう、街に入られたらある意味で負けだし。それに本隊ならいるじゃねぇか』
「ん?どこじゃ?」
『右向け右』
ディブロに言われるがまま右を向くと、涎を垂らして鼻息を荒くしている二足歩行の大きな豚と目があった。
体長は二メートルほどで全身くまなく脂肪に覆われていて手には人間より大きな棍棒を持っていた。どことなく脂ぎっている、ただまぁ第一印象としては…。
「きったない顔じゃのぅ。」
「ブギィィィィイ!!」
正直な感想を述べたら流石に怒ってきた、てかこいつ美的感覚があったのか。
怒った豚は棍棒を俺めがけて降り下ろしてきた。
まぁそんな攻撃流石に当たらんよ、さっと避けてとりあえず鑑定。
…立っていた場所が抉れたのは無視しよう。
エルダーオーク
レベル44 魔獣
HP7000/7000
MP0/0
SP500/1000
おー、やっぱりオークだったけどエルダーってついてるからちょっと強い個体なのかな?
まぁ敵じゃないんだけどね、ただ俺素手だからなぁ。
脂ぎってる豚に触りたくないなぁ、てか打撃効くのかなぁ?
どこぞのハー○様みたいに厚い脂肪で防がれたりするんじゃないか?
「ということで、ファイヤー!」
俺はオークにファイヤーボールを放った。
見かけ通りトロいオークは避けることも出来ずに直撃、一瞬で全身に炎が回って火だるまになった。
「よく燃えるのぅ。」
『そりゃああんだけ脂ぎってたんだから燃えるだろう。エルダーオークの脂は暖炉や松明、その他にも様々な用途のある貴重品だ。並の冒険者じゃ討伐出来ねぇからなぁ。』
あれ、ひょっとしてもったいないことした?
てか、そのレベルなら人間ピンチじゃね?
と、とりあえず相手の本隊をさがしてみる。
さっきのオークがいた方を見ると、オークやボア、ウルフにハーピーみたいなのと色んな魔物が群れをなしていた。
『やはりな、どいつもこいつも群れのリーダーレベルの魔物たちだ。』
「森にいた奴等もあいつらの仲間ってことか?」
『だろうな、恐らくまとめている奴が居るんじゃねぇか?』
纏めているやつか、ともかく群れの中を観察してみた。
すると群れの中心部でオークたちが御輿みたいなのを担ぎ上げていた。
なんとまぁ、そこにいますよって言ってるみたいだなぁ。
ただ、そんなことよりも御輿のなかに一番驚いた。
「群れの中心部に小さな女の子がおる。」
『はぁ?』
そう、御輿のなかには女の子がいたのだ。
次の投稿も早めに…




