VSドラン ~その3~
お待たせしました。
57話です。
どうもっ!
ミミズだと思って戦っていたら、本当に竜だったんだぁって納得せざる負えない見た目になって帰ってきたミミズさんと相対してるダークエルフのロアです。
さて、目の前には岩石の竜。
周りは毒の霧で覆われている。
経験値の消費はそんなにしてないのが救いかな?
新たに増えた状態の項目も気になる。
逆鱗?怒ったの?
そもそも最初鱗がなかったから逆鱗に触れようにも触れないぞ?
大地の加護ってのは多分今の岩石の姿の事だろうか。
まぁなんにしても、倒す事には変わりないんだけどね。
元ミミズことアースドラゴンさんは動かない。
怒ってるくせに理性的?
それとも慢心?
今までボコボコにされたのにか、それはないよなぁ。
うん、とりあえず一発殴ってみよ!
俺は身体能力にものを言わせてドランの顔に近づいて右ストレートを打ち込んだ。
しかし、ガキィンッ!という音と共に俺の拳は奴の岩の鎧に阻まれた。
てか痛てぇぇぇえ!?
殴ったこっちが痛いとか、どんな岩だよ!?
一応俺は岩ぐらいなら砕けるぐらいには力あるぞ?
「■■■■■■■■ッ!!」
「ッ!?」
つんざく様な声を上げたドランは、いつの間にか振り上げていた尻尾を俺に向かって叩きつけてきた。
攻撃が弾かれたことで反応が遅れた俺は為す術なく叩き落とされた。
「くっ、今までは手加減をしておったということか。」
少し地面に埋まった上に全身が激痛に襲われているが、どうやら即死じゃ無かったみたいだ。
頑丈な体に感謝、見た目とはえらく違うが……。
俺は地面から這い出して少し考えた。
このままじゃ負ける、確実に負けるな。
相手はドラゴン、こっちの攻撃は通らなくなった。
竜王の籠手もあの岩には通らない、ということはどうにかミミズ本体に攻撃しなくちゃなんないって事か?
ん?
いや、一つ方法があるか?
そのためにも、もう一度接近しないといけないか。
這い出してみると、待っていたかのようにドランはその顎を開いていた。
くっそ!追い討ちかよ!
全力で後退しようとしたが、少し遅かった。
ドランは先程と同じ毒のブレスを吐いてきた。
って、毒?
さっきまでで俺には毒が効かないの分かってるだろうに、何で?
毒を吐き終えたドランが口をパクパクさせていた。
その口許では少し火花が散っていて…。
そこまで来て、俺はもとの世界で流行っていたゲームのモンスターを思い出した。
「って不味い!!」
今から離れても既に周りは毒の霧状態、俺はディーナを肩から引き剥がし胸の谷間に押し込み、自分の周りを球体状の水の壁で覆った。
ギリギリ壁を張りおえたところでドランの顎が勢いよく閉まる。
それと同時に口許から大きな火花が上がり、毒の霧に引火。
その瞬間、霧があった場所を中心に大きな爆発が起こった。
「プハッ!!」
水の壁を解いて外に出た。
ひどい目に遭った、ある程度水の壁で押さえられたが、思ったよりも威力が高くて驚いた。
全身に軽い火傷、体力的にもそこそこ辛くなってきた。
しかし、まさか粉塵爆発とはねぇ…。
しかも威力高い、こんな爆発するもんだったんだな。
だけどまぁ、何とか耐えた、ディーナも無事だ。
ちょっと苦しそうだが、胸に挟まれてるんだ、少しぐらい我慢してほしい。
どうしようか、正直逃げたい。
ボロボロだし、こっちの攻撃は通らなくなった。
レベルも差が大きい。
普通なら逃げてる、一目散に逃げてる。
でも、まぁ、決めちゃったし?
最後までやるさ。
幸い、手がないわけじゃない。
ただ、こう、好き嫌いをしちゃってただけで。
正直ミミズは抵抗あるって、どっかの部族じゃあるまいし。
でもまぁ、仕方ないよね。
背に腹は変えられないし、ピンチだし。
届く牙があるなら使わないとな、俺のが格下だし。
空に浮かぶ太陽は頭のてっぺん、時刻は丁度お昼時ってところか。
なにげにしっかりとした共闘は初めてだけど、俺なんだし何とか出来るはずだろ。
さぁ、お昼ご飯の時間だぞフェラガイ。
影が蠢く。
俺の足元の影が膨らみ、這いずるように出てくるそいつは、多腕多眼多口の化物。
飯と聞いて、その数多の瞳を輝かせてやって来た。
「今日のご飯はあのアースドラゴンじゃ、美味いかどうかは分からんが腹の足しにはなるじゃろう?」
ゴチソウゴチソウ
なんだか知らんが嬉しそうだな。
そんじゃあ、いただきますか。
魔人モードでドランの懐に接近する。
硬度では負けてるけど、スピードじゃまだ俺が勝ってる。
すかさず殴る。
じんじんするし弾かれるけど構いやしない。
注意さえ向けられれば、その隙にッ!
俺が急接近して攻撃してきたのをみて、ドランは俺を潰そうと俺に狙いを定めてきた。
今だ!
俺はフェラガイに指示を出して、ドランの岩の鎧に噛みつかせた。
そこでスキル、断絶の牙を発動!
どんなに殴ってもびくともしなかった岩の鎧を噛み千切る事に成功した。
よっし!
思った通り、噛みつきなら通るんだな。
素晴らしい成果だ。
食ったときに少し甘かった、この岩甘いのか。
このお陰で少し体力が回復したようだ。
あの岩の鎧が分厚すぎたから中身には届かなかったけど、穴も空いたし体力も少し回復したし、良い感じじゃ…ない…ね……。
内心喜んでいた俺が見たのは、せっかく開けた穴が塞がっていく様だった。
くそっ、修復も出来るのかよ!
あちらさんもまだまだ元気みたいだし、どうやらこの戦いはまだまだ長引きそうだ。
この戦いが終わったら、俺、人物紹介的なものを書くんだ……




