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暴食魔王の食べ歩き  作者: 因幡之黒兎
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名は体を表す、そう思ってた時期が私にもありました

どうもっ!


見事牢屋からの脱出に成功し、アリーシャさんを見つけた魔王系ダークエルフのロアです!


で、見つけたのは良いんだけどね。

まさか代役だと思ってた人が王の娘だったとは思わなかったね。


事前情報としては、王さまが女王でグリムって名前を襲名してるみたいなところだったし。


あれ?

娘なら別に代役じゃないんじゃないか?


世代交代みたいなもんじゃないか?


「生まれつき魔法の才能がなかった私は、せめて自分に出来ることをしたいと思い、メイドたちの手伝いをしていました。」



「それって他の人から反感を買ったりせんのか?」



「もちろん、そんなことは姫様がやることではないと言って止められました。でも母はやりたいことをやればいいと言ってくれました。」



反感っていうのとはちょっと違う気がするなぁ。



「私がメイドたちの手伝いをしだした頃、突然、魔王ドランが現れました。」



ご近所さんだったのかな?



「ドランは街を破壊しながら城の方へ向かってきて、何人もの兵士が犠牲になりました。」



まぁ、仮にも魔王だし。

良い魔王ばかりじゃないよなぁ。



「母も全線に出て、何とか撃退することは出来ましたが……。」



そう言いかけてアリーシャはうつ向いてしまった。

てか、魔王を撃退できるって……。

この国の王様、恐ろしいな。



「母はその時に毒を受けてしまい、何日も眠ったままです。」



そう言って背後のベッドへ視線を移した。

そこにはアリーシャそっくりな顔立ちで大層美人な女性が横たわっていた。

唯一違うのは、頬にバッテン傷があるところかな。



「様々な魔法や医術を試しましたが、この毒を治す事は出来ませんでした。」



確かに顔色は良くない、というか顔に黒い斑点がついてるんだがこれはシミかい?

きれいな顔が台無しだよ。



ん?

まてよ、毒で体に黒い斑点が出てる。

これって、世に言う黒死病って奴じゃない?


確か、全身が壊死するとかなんとか書いてあった気がするぞ。


見たところ手足は壊死してない。

でも時間の問題だろうか。



タベテイイ?



おぅ!?

久しぶりに喋ったと思ったらそれかよ。

食べちゃダメ、この人いい人!



コノニンゲンノナカノワルイノナラタベテイイ?



中の悪いの?

なんか悪いのが中にいるのか?



ワルイノイル



…………この人は食べない?



タベナイ




んー、フェラガイがいい人と悪い人の区別をつけようとしてるのは進歩なんだよなぁ。


そもそも人の中のワルイノってなにさ。

病気を食えるなんて言わないよな?



ナンデモタベル



ん?今なんでもっていったよね?

なら、この黒死病を食べてみろよ!



ワカッタ


へ?



言うのが早いか、俺の影はベッドに横たわるマリアを包み込んだ。



「え!?いったい何を!?」



突然の俺の行動にアリーシャが戸惑った。

安心してほしい、俺も戸惑ってる。


少しすると影はスルスルと戻った、マリアは特に異常がなかった。


代わりに俺の口のなかに、なんとも言えない苦味が襲ってきた。

例えるならゴーヤ、俺はゴーヤが苦手である。


「………苦い。」



オイシカッタ


マジかよ。





「うそ、体の斑点が無くなってる…。」



アリーシャの声に反応して俺も見てみた。

確かに斑点が無くなってる。

フェラガイ…お前スゴいじゃないか!

今夜はパーティだな。



パーティ…ゴハン…。


………食材を確保しないと。



「貴女、いったい何をしたんですか!?」



「えぇと、毒を体から出すために、毒だけを食べた。」



「そんなことが出来るなんて…。」



俺も驚きだ。



「やっぱり貴女は変わってますね、あんな扱いをしたのに母を助けてくれるなんて。」



いや、これはいわゆる性能調査というか。

た、助けようと思って助けたんじゃないんだからね!



「偶然じゃが、まぁこれで死ぬことは無いじゃろ。」



「本当にありがとうございます、これで最後まで母の側にいれます。」



「最後まで?」



「聞こえませんか?」



聞こえませんかって、外のドッカンドッカンいってるやつ?



「恐らくドランが現れました、現状の戦力では太刀打ち出来ません。」



「逃げんのか?」



「母とこの国を置いて逃げれませんよ。腐ってもお姫様ですしね。」



「そうか。」



そう言って俺は部屋から出た。

はぁ……、全く仕方ない奴だな俺は。

いつもいつもお人好しすぎる。


言い訳を言うなら、あれだな。


"せっかく助けたのに死なれちゃ気分が悪い"だな。


ドランだかドラゴンだか知らねぇがどうせドラゴンなんだろ?


ちょうど良い武器を持ってんだよね、だからさぁ。


俺は城の窓を蹴破って外へ出た。



いっちょ、竜退治と洒落混みますか!



そして目の前で暴れる巨大な影を見据えた。


半透明な体。

長く巨大な体躯。

裂けた口。

ギョロっとした一つ目。

手足はない。



それはドラゴンとは言えない、とっても大きいミミズだった。






その発想はなかったわ。




子供の頃はミミズ大丈夫だったけど、今は何故か苦手です。

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