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暴食魔王の食べ歩き  作者: 因幡之黒兎
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閑話 僕が勇者になった訳 その1

ちょっとロア編はお休み



どうもっ。

僕はオスカーって言います。

一応、勇者を名乗っています…。


ロアさんが何処かへ行ってしまってから7日が経って、僕とエルザはエルドラドへ向かうことにした。


そこがロアさんの目的地だったからだ。


「ロアお姉さん、エルドラドにいるでしょうか。」


不安そうにエルザはエルドラド行の馬車から外を見ていた。

この7日で僕にもだいぶ慣れたようで、しっかりと会話も出来てよかった。

下手をすれば無言の旅になるところだった。


「大丈夫だよ、ロアさんはきっとエルドラドに居る。」


………多分。


「ねぇオスカー、聞いてもいいですか?」


おや?エルザから僕へ質問なんて初めてじゃないか?


「オスカーはどうして勇者になったんです?」


「えーっと……、約束したからかな。」


「約束ですか?」


「うん、約束。エルザは勇者がなんなのか知ってる?」


「おとぎ話に出てくる、邪神をやっつけた人ですか?」


「うん、勇者っていうのは邪神が現れたときに選ばれる人のことなんだ。」


「では、勇者がいるってことは、邪神が現れたってことですか?」


「……まぁ、そうなるね。今は眠ってるけど。」


そう、眠っている。

だから今のうちに探さないといけない、彼女が頑張っている間に。


僕と邪神を倒してくれる人に。


そのために勇者を引き継いだんだから。









今から一年前、僕が勇者じゃなくて、彼女が勇者になる少し前。





僕は普通の村に生まれ、普通の両親に育てられて、普通に農業をする予定だった。


彼女が僕の部屋の扉を蹴破るまでは……。


「オスカー!冒険者になるわよ!」


蹴破られた扉は無惨にも四散し、代わりに現れたのは、黒い髪を背中まで伸ばし、満面の笑顔をして僕を見てきた可愛い女の子だった。


「ちょっと?いつまで寝てるのよ?今日という日は戻ってこないのよ?明日やろうはバカ野郎なのよ?明日って今なのよ!?」


朝からよくわからないほどハイテンションだなぁ。


「アリア、まだ日が登り始めたばかりだよ?それと、いい加減僕の部屋の扉を蹴破るのやめて欲しいんだけど。」


「あら、ごめんごめん。ちゃんと直すから、ね?」


そういって彼女、僕の幼馴染みは片手を振った。

すると淡く手が光り、蹴破られた扉が瞬く間に直っていった。



彼女はアリア・ルイン、僕の幼馴染みで剣と魔法が得意なちょっと不思議な女の子だ。



僕達の住んでいるこのシールズ村は、何処にでもあるような農村だ。

のどかで、平穏で、変化の無い村だった。


けどアリアは違った。

小さい頃からいろんな事に首を突っ込んで、それでもより良い方向へ持っていく、そんな子だった。

そして基本的に巻き込まれていたのは僕だった。


「で、何でまた冒険者なの?」


「そりゃあ、この世界を旅するために決まってるじゃない!それに冒険者なんて男のロマンでしよ?」


「キミ、こんなの子だよね?」


「女でもロマンなんですー。」


やれやれ、本当にアリアは……。


「そんなに冒険者になりたいんなら一人でなってくれば良いじゃないか。なんで僕を誘うんだ。」


「旅には道連れがいるのよ、道連れにするならオスカーが適任でしょ?」


「なんで僕が適任なんだよ。」


「私がオスカーじゃなきゃ嫌だからよ?」


「………。」


そういうのやめてほしい、顔を見れなくなるじゃないか。

全くアリアは、無自覚で体を引っ付けてきたりそう言うことあったり、ほんとに全く。


「…どうしても?」


「どうしても!私が言い出したら聞かないの知ってるでしょ?」


「…………はぁ。」


それでも。


「全く、分かったよ。僕も行けばいいんだろ?」


それでも一緒に行ってしまうのは、僕の惚れた弱みなんだろうか。


「さっすがオスカー、そういうとこ好きよ!」


アリアは満面の笑みで抱きついてきた。


全く、こんなだからほっとけないんだよなぁ。



そう思いつつ押し倒された僕の後頭部は床へ激突した。



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