『喜劇・無能な男』
本日をもちまして、十七年八ヶ月に及んだ『喜劇・無能な男』の長期公演を無事、終了とさせていただきます。
つきましては主人公を務めさせて頂きました、私、関 純一が僭越ながら関係者一同を代表いたしまして、最後のご挨拶を申し上げたいと思います。
このように長期にわたる公演が可能となりましたのは、ひとえに本作『喜劇・無能な男』を御ひいきくださった観客の皆様の温かいご声援、ご支持があったればこそです。
その点に関して言えばこの公演は、まさしく皆様とともに創りあげたものであり、そのような作品に関われた事は、私たちにとって何にも変えがたい貴重な体験となりました。
出演者ならびに公演スタッフ一同を代表いたしまして、篤く御礼申し上げます。
では、これをもちまして『喜劇・無能な男』の幕引きとさせていただきます。
長い間のご声援、本当にありがとうございました。いつかまたお目にかかる日まで。
2008・3・20 主演俳優 関 純一
※なお『喜劇・無能な男』はフィクションであり、登場する人物、団体等は、実際の人物、団体とは一切関係ありません。
――以上は今年三月二十一日の朝、自室で首を吊って死んでいるのを母親に発見された関 純一(十七才)がパソコンに残した文章である。彼は搬送先の病院で死亡が確認された。
パソコンに残された文章は、状況からみて自殺の直前に書かれた遺書と思われる。
また、同パソコンから大量に発見された日記から、学校内でいじめに遭っていたことや、成績不振を理由に両親との間に軋轢が生じていた事、さらに自殺の数日前から精神的に追い詰められていた事などが明らかになっている。
2008年3月発行『言葉の断片集①』より。