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ダイバー(冒険者)  作者: 飛び猫
18/19

14 マイマスター


 響く都度に床が削れては剥がれ、砕けては散る。右足の筋肉の悲鳴がその腕の筋肉の悲鳴と折り重なって振られるカタナが威力を増す。

 そのカタナをいとも簡単に受け止める金色の剣は、しかし少しだけ押し負けているようだった。

 剣士と剣士の剣技のぶつかり合いは、激しく鋭く華麗で優艶な舞のように。だが、どこか違っているその違和感に男はかつての手合わせを思い出す。

 その女騎士の本質は剣士だったこと、その力量を得るための彼女の努力は一合打ち合っただけで汲み取れるほどに洗礼されていた。

 なのに、なのにこの剣には重みが感じられない。さらに言えば誇りとか想いとかも一切感じられない。


「なんだ!この剣は!――――」

 女剣士がそう言葉を吐くのは彼女自身の意思ではない。女剣士の体を操る者の言葉。

 その女剣士の体を操る者は、見た目が60以上の歳をとった老人の男。女剣士と男の繋がりは一切ないが、現状女剣士の頭に着けられた冑と男の被っている物とで確かに繋がっているのだ。

 男剣士が手に持つカタナはナノマシーン鉱石を使っていない。その金属は古代語で"イモータルオブジェクト"と表示されるものだった。イモータルの意味は不変や不滅、つまり絶対に壊れることのない鉱石。

 それを作ったのは男剣士の専属ブラックスミス。それを加工する事ができたのはそのブラックスミスのスキルによるもの。

 加工できるということはそれ自体は使用すれば切れ味が落ちる。が、絶対に刃こぼれやそれ自体が折れることはない。一流の剣士が扱えばすぐに切れ味が落ちる事もそうそうないため、そのカタナが折れる事は"絶対に"ないのである。

「これは特注だと言ったはずだけど…対神宝具のように特殊な能力がないけど、耐久値の消耗で"折れる"なんてことは絶対にない」

 私が長年かけて作り出したエクスカリバーカリバーンに匹敵するだと…そんな事がある分けない!

 女剣士を操る男はそう考えるが、対神宝具自体は設計図がスカイブロックのデータバンクに保管されていた。それを男が見つけ出して、加工するための機械もスカイブロックにあったものを用いている。

 男がしたことは、それらを扱える人を作り出しただけ、本来それは人が持つための武器ではないことは自身が扱えなかった事からすぐに理解した。

「対神宝具に匹敵する剣を地上の人間が作り出し、その上地上の人間がそれを扱うのか!……貴様名前は――」

「……カイネルだ、カイネル・レイナルド――コトーデ王国のダイバー」

「ダイバー?冒険者というやつか!」

 鋭い6連撃を放つ女剣士に、カイネルは高速8連撃で反撃する。

 剣圧で周りの大気が弾け、足下のナノマシーン鉱石で作られた床が窪んだり砕けたりする。

 カイネルは女剣士との戦いに徐々に苛立ちを強めていく。

「さすがに…EXスキルを所有するだけはあるな、尋常な研鑽がなければそこまでの技量を得るのは無理だったろう」

「………」

「だが!このエクスカリバーカリバーンの前にはどんな神核者だろうが冒険者だろ―――」

 "冒険者だろうが相手ではない"、そう言葉を吐こうとした女剣士だったがカイネルの上段斬りを受け止めることに精一杯で言えなかった。

 受け止めた女剣士が少し押し負けて膝を突くと、カイネルは怒りの感情を表情に浮けべて言う。

「…いつまでそんなやつに体をのっとらせておくつもりだ!キミはどうしたかったんだ!その剣にはキミがいない!聞いているのか!」

「無駄だ!この"ブーストギア"はこの女の神経系を一切遮断して催眠状態にしているのだ!何を言おうとも私にしか聞こえんよ!今この体を動かしているのは私の脳なんだからな!」

 エクスカリバーから分離したパーツがカイネルの背中から襲い掛かろうとするが、剣製された大剣でそれらは弾かれる。

「無粋なやつだな――もうそろそろ退場してくれないかな」

「私は今とても楽しいがね!」

 女剣士はそう言うとエクスカリバーから手を放した。手から離れたそれは自動で勝手にカイネルに刃をむく。女剣士は近くに落ちていたアゾット剣を手に取ると叫んだ。

「ヴァーサゴ!!」

 声と共にユラユラと黒い物体がモンスターの形を成す。

「セヴンスはリリアン同様、アンチゴッドノーブルウェポンを制限なく扱う事ができる」

 そう言うと金と銀の弓を手に持った女剣士はそれを引いて射た。その行動は冷静なカイネルが、現状唯一の怒りを爆発させる起爆剤になった。

「ふざっけるな!」

 振り払ったカタナで射られた見えない矢や自動で戦闘を繰り広げていたエクスカリバーのパーツが剣圧で吹き飛び、その本体と召喚されたヴァーサゴが圧されて下がる。

「その体で!剣以外で戦う事は…許さない!」

 今までとは完全に別物の殺気と移動速度、異常な剣速で斬りかかってくるカイネルに、目の前まで圧されてきたエクスカリバーを手に取る女剣士は、それまで見せたことのない表情でそれを構えた。

 かん高い音でぶつかり合った剣とカタナは、周囲の空気を押しのけ真空を作り、そこに吸い込まれた空気が風となり、かまいたちになって互いの頬や髪の毛や服を刻む。

 何だ!この剣圧は――大気さえ断ち切る剣の技量!異常だ!こんなことがあるわけがない!

「いい加減にその女から!!――」

 その斬撃はオーバーアクセルの超加速を使って出したもの。一瞬だけ手から離したカタナが宙で変わらぬ位置に留まっている。その瞬間に下半身をバネに上半身に回転を加え右腕を加速させて左手でカタナを握り、その時点でオーバーアクセルは発動を停止し超加速が右手にだけに集約され、右手で柄を握った瞬間にその超加速がカタナに移る。

「ヴァ――――」

 ヴァーサゴを切り裂いたカタナが、そのままエクスカリバーにぶつかると女剣士諸共吹き飛ばす。

「く!――」

 吹き飛んだ女剣士はその勢いのまま壁に激突して、頭部につけた冑が一部破損する。その時女剣士を操っていた男が被る装置は信号が途絶えて自身の体に意識が戻る。

「くそ!ブーストギアが破損したか――」

 ユニットの上の男は右手の拳を握りユニットに叩きつけるが痛みで声を上げた。


 壁に力なくもたれかかっている女剣士をジッと見つめるカイネル。その右手は手首が折れているのか顔を顰めてカタナは左手で持っている。

 そして、女剣士が意識を取り戻して壁から離れると、カイネルは右手をチラ見してから彼女に声をかける。

「気分はどうだい……ナエリカ・ハルファー」

 女剣士はその問いに答える事はなかった。



 頭に着けられた冑を両手で剥ぎ取り投げ捨てる。

 フラフラと体揺らしながらセヴンスは目の前に立つ人間を見た。


 誰だこいつは…、あれは敵か私は――!そうだ、私は騎士だ!こいつは敵だ…武器、武器は――


 たどたどしい歩みで床に転がった剣を手に取るセヴンス。その剣はアロンダイト――リリアンの持っていた武器だった。

「気分は―――――ナエリカ・ハ――――」


 何を言っている…、ナエリカ?なんだそれは、私は騎士だ…騎士?いいや、剣士だったか。


「聞いてくれナエリカ、ボクはもう疲れたからそろそろ帰りたいんだ。ただ戦争を止めたくて戦っていたのに、気がつけば空の上まで来てしまった。思えば遠くに来たな――――――だから、後一合だ…それで決着にしよう」


 一合―――面白い、さすが私の……私の?彼は私の何だ。


 剣を構える彼女の姿はかつてユラダリアで対峙した時を思わせ、カイネルはその表情に笑みを浮かべて左手だけでカタナを構える。

 そんな二人を見つめるマリアンは、倒れたリリアンを抱えながら動こうとはせず、すでに戦意を喪失しているのは明らかだった。

「さっきの戦いだけでもう私たちとは次元が違うことは分かる…」

 私たちの戦い方は対神宝具があって初めて成り立つ、けど彼らは違う、彼らはアレだけの戦いをするだけの鍛錬をしてきたから。それは私たちのような偽物の力じゃない、あれこそ本物の――――


「ハァアアアアアア!!!」

「おぉぉおおおおおお!」

 互いの覇気がぶつかり合い、刹那の静寂、一方の鼓動がまるで早時を奏でるように脈動し、もう一方の鼓動はこの空間に溶け込むように坦々と脈動し、しかし互いに耽々とその時を待つ。

 瞬きも許されない状況にマリアンも息をすることもできずにいる。

 建物の外壁が崩れて落ちると床に当たり、それが合図となって二人の剣士が駆け出す。

 奏でられた一音は高く響き、互いに背を向け合う剣士は笑みを浮かべて、女剣士の手元でその手にする剣が中ほどから先がなくなっている。男剣士が左手のカタナを地面に突き刺すと、折れた剣先が天から降ってきて床に落ちて音を立てる。それと同時に女剣士の体が後ろにゆっくりと倒れ始めるが、男剣士によってその体が支えられる。


「…なぜ、私を殺さない――」

 その言葉にカイネルは溜め息を吐く。

「まだ思い出せないのかい――仕方ない」

 支えた彼女の体を左腕で上向かせると顔をグッと近づける。

「ボクの顔を見ろ――そして思い出せ、もしもキミがボクの名を呼べたなら――」

 "その時は主になってあげるよ"

 その言葉に彼女は思う。何を言っている、主になる?私のか?なんで私が――…主……。

「わ、私は――」

 なんで涙を流しているんだ。

「私は――」

 私の主は――

 走馬灯のように彼女は自身の幼い頃からの記憶をその脳裏に浮かべる。

 お父様――ユーファお姉様――イリルカお姉様、メイリア――リサーナ。

 "また騎士ゴッコかナエリカ"

 "ナエリカ!姫たる者剣などに現を抜かしてはいけません!"

 "剣術?いいえ姉様、私は結構です"


 私は――


 "我が剣の主となってほしい"

 "私は自分で何かを手にしたことは無く"

 "姫の地位や軍属としての将軍の地位は全て父に与えられた物"

 "私が唯一私の力で得たのはこの剣を扱う技術のみ"

 "しかし、それは自身のために揮うものではなく父や国民のために揮っていた"

 "いつかはそれを、私が信じた本当に大事な大切な者のために揮いたいと願っていた"

 "しかし私の心がそれを見つけることはついに今日まで叶わなかった"

 "ゆえに、――――と剣を交えたときに思ってしまった"

 "この男になら、と――"


 私は――


 "だが、それすらも本当の意味で仕えたいという願望には価しなかった"

 "結果、結婚などと迷走してしまった私だったが"

 "――――、本当のあなたを見て思ったのだ"

 "この方に仕えたい!と――"


 私は――


 "どうか、我が剣の主になってほしい!――"

 カ、カイネル――

「………ようやく思い出したのかい?」

「私はナエリカ…貴方はカイネル、我が剣の主――」

 目の前のカイネルをカイネルと漸く認識したナエリカは、両手で彼の頬を押さえて自身の顔を近づけた。

「!―――……」

 彼がそれを拒む事はなく、すぐに瞳を閉じた。

 唇と唇を重ねる二人を見たマリアンはその脳裏にある映像を思い出していた。



 あれは私がリリアンに教育されていた頃だった。

 私はある日ユリアンから教えてもらったことをリリアンに話して、実際に試してみようと言い合い試みた。

 彼女の部屋で、何十分か何時間か…時間を忘れるくらいに口と口を合わせていた。

 体の芯から何かが熱くなる感じ、ユリアンから得た知識の切れ端はそれほど惹かれなかったのに、リリアンと実際に行うと頭から足までが融ける感覚に襲われた。

「これが…"キス"というやつか…マリアンお前はどう感じた?」

 私はそのリリアンの問いに、"頭が真っ白になった"と答えた。

 ユリアンは恋人同士がする行為だと言っていたが、それは男と女で。だが、確かに私はリリアンとの行為を求めずにはいられず。私にとってリリアンはそういう存在なのだと理解した。


 マリアンはそっと未だに意識のないリリアンに顔を近づける。

 ゆっくりと唇に唇を当てて、ギュッと力強く抱きしめた。

 二人の様子をナエリカとカイネルは見守る。

「私は半分彼女らと一緒だ、どうにか助けてやりたい…主、どうにかならないか――」

 カイネルは彼女の言葉にしばらく口を閉じる。

 現状彼女らを助けるのは難しい、霊酒を使う予定じゃなかったから手元には回復薬しかない。左手は使えても囮になる程度、武器は十分、ヴァハムートを呼び戻してナエリカとあの二人を地上に降ろす。それからボクだけであの男を始末する――それは容易いが、実際彼女たちの脳に何らかの仕掛けがされていて遠隔で死なすことができるなら…。

「厳しいかな、彼女た―――」

 ザク!という音が実際に鳴ったかは分からないがカイネルはたしかにその音を聞いた。そして左肩に痛みが走り視界を向けると黒い物体が胸寄りに背後から貫通していた。

「主!!」

 すぐに右手で回復薬を取り出して口に含む。そして黒い物体が引き抜かれると血がダラダラと流れ出す。

 おかしい!回復薬を飲んだのに血が止まらない――

 カイネルはナエリカを支えたままゆっくり片膝を突く。

 背後から彼を攻撃したのは黒い影。それが天外の発着場の入り口にできた影に入ると獣の形に変わる。

「よくやった!シャドウ!」

 止まらない血、光りのあるところでは影、逆に影に入ると獣の形と成る。

「あれはレイフさんの言っていた――」

 カイネルが何故今レイフの名を出したのかというと、彼を襲ったその影の特徴が、レイフ・ラドクロスの足を完治しない状態にしたモンスターと特徴が一致していたからだ。

「シャドウはデスサイズの影のように形体変化し攻撃する!さらにその攻撃による付属ステータスは"アンチヒール"回復阻害だ!」

 ケタケタと笑い声を上げて姿を現した男はそう言うと、ゆっくりカイネルに歩み寄る。

「さんざん私の邪魔をしてくれた礼だ――剣で始末してやる」

 杖の柄を回すと先から細い剣が現れた。

 カイネルは今の攻撃で両手とも剣が握れなくなっている。つまり、現状とれる手段は――

「走るぞ」

 ナエリカに声をかけた瞬間に、彼女を右肩に抱えてその場からオーバーアクセルで移動するが、走り出してすぐに足を止める。

 何だこの痛みは!

 肩の傷も酷いが、足はナエリカとの闘いで限界が来ていた。ナエリカを抱えながら逃げるのは始めから無理なのだ。

「ナエリカ…歩けるか?」

「…すみません主…しばらくは無理そうだ。だから、今すぐ私を置いて逃げて――」

 バカを言うな、何のためにここまで来たと思っている。そう言ったカイネルだったが、実際に二人とも助かる手段が全く思いつかなかった。唯一残っている手段といえば――

 ヴァハムートを呼ぶしかないか――だが、今あいつに戦わせて対価を支払えば……ボクの体は使い物にならなくなるかもしれない。

 天秤はどちらにも同等の重さが圧し掛かっていて、カイネルはすぐには決断できなかった。

「自慢の逃げ足はどうしたね――ん~ん…」

 絶体絶命と思われたその瞬間彼らの間に割って入ったのは銀髪靡かせたマリアンだった。

「父様…もうお終いだ」

「…はぁ~あ゛……セカンド――そこを退くんだ」

 その言葉でマリアンは頭痛を感じて頭を押さえる。

「私はセカンドなんて名前じゃない、マリアンだ!あなたが付けた名だろ」

 男は再び溜め息を漏らすとマリアンに歩み寄って剣を足に刺した。

「く!あぁぁぁああ!」

「人形が!私に逆らいよって!」

 さんざんマリアンの足を細い剣で突き刺した男は踏みつけてそれを越えた。

 マリアンはどうにかそれを止めようとするが伸ばした手は空を掴んだ。

 いよいよ男はカイネルの前に立ってその剣で斬りつけようとする。

「セヴンスは渡さんぞ…カイネル・レイナルド!」



 振り上げられた剣は振り上げられたまま降りてこなかった。

 カイネルは瞬きすらしていなかったが、スキルを使っていなかった所為か何が起きたのか見えなかった。

 目の前の男の腹に上から背中へ赤黒い槍が貫通していた。

「はぁぁああああああああああああああ゛ああああああああああああああああ!」

 男は起こった現実に声を上げる。貫いた赤黒い槍は床をも貫いていて、尚も男の身長以上が天に伸びている。

「一体どこから――」

 カイネルはすぐに天を仰ぎ見た。

 視界には確かに人らしき者がいたが、それが人であって人ではないのは明らかだった。

「し、しん、かくしゃ!」

 槍に貫かれた男の言葉にカイネルは漸くそれが何なのか理解する。

「神核者…アレが――」

 煌びやかな服装の男の背にはよく分からない突起物がついている。カイネルから顔は見えないが男だという事ははっきりと分かった。

「な、なじぇだ…なじぇ……」

 貫かれた男はゆっくりと全身が脱力していき事切れる。

 天に浮く男は叫ぶ。

「ゲイ!ジャルグ!」

 すると赤黒い槍が勝手に骸から抜けて超速で男の手元へと戻る。男はそれを左手で受け止めると右手の黄黒い槍をシャドウに投げつけた。

 影を貫いた黄黒い槍は男が呼ばずとも手元に戻る。男はそれを受け止めると背中の止め具に両の槍を留めた。

 男は骸からカイネルに視線を移すと腰に帯剣した二本の剣の片方を抜剣して降りてくる。

「……」

 カイネルはゆっくりと立ち上がると男と対峙した。男は額に黒子があり、男のカイネルから見てもかなりの美男子だった。

「戦いを見ていた、これをやろう」

「?」

 唐突にそう言った男は右手で服の中から何かを取り出す。

「てっきり斬りかかってくるのかと思ったんだけど…」

「剣を抜いたのは用心のためだ…それよりこれを」

 男の手から受け取ったものは細い筒状の物だった。男は指差してそれが何なのかカイネルに言う。

「中に注射が入っている、5本しかないがキミの肩の傷を治せるだろう」

「どうしてボクを助けてくれるんだ?」

 男は口に笑みを浮かべると言う。

「キミも剣士なら分かるだろ?いい戦いを見せてもらった礼だ。…名前を名乗っていなかった」

 男はディアルムドと名乗って、カイネルが名乗り返すと再び天へと飛び去って行った。


 カイネルは、すぐにその筒の赤く点滅している部分がそれを開くボタンだと判断して指で押す。スッと開いた中を見ると小指の先ほどの大きさの銀の筒が入っていた。

「これが注射?かなり小さいな…それに針もない」

 カイネルは開いた筒のふたの部分に描いてある絵のように、腕にそれの赤い線のある方を押し当てる。すると数秒後にプシュっと音が鳴ると体内に何かが入る。

 その様子を見ていたナエリカは不思議そうな顔をしている。その注射の効果はすぐに現れて、カイネルの肩の傷が治ってしまう。しかし、右腕の損傷や足の損傷が治る事はなく、ゆえにその注射が本当に肩の傷を治す専用のものだとカイネルは確信した。

「何者だったんだろうか」

「何者かはさておき、一体どういう狙いでここへ来たのかだね…さすがにボクも奥の手をだそうかと迷ったよ」

「この状況でまだ奥の手が…察するに例のドラゴン頭ですか」

 カイネルはナエリカの言葉に、"ドラゴン頭か、ヴァハムートが聞いたら怒るかな"と言って笑ってみせる。

 それにしても、コアブロックを守護する神核者がこの男を始末するためだけにここへ来たのか…。もしかすると、コアブロックが動き出したのかもしれない――か。嫌な風行きだな…。

 カイネルはナエリカを抱きかかえると落ちているエクスカリバーの鞘の所へと向かう。

「これを抱いて寝ているといい」

「不甲斐ない吾身をお許し下さい主…、すぐにお役に立てるように万全に回復いたします」

「いいや、うれしい誤算だよナエリカ」

「主…」

「ん?」

「私は名を改めようと思います…、ナエリカを捨て、新たに"セヴン"と名乗り誰にも悟られないよう言葉遣いなども変えます」

 カイネルはどうしてナエリカがそう言うのか簡単に察した。彼女は見た目が変わりすぎて近しい人間でないとそうだと気がつけない。周辺諸国に対してバルファーデンはすでに、"銀髪の死神"としてナンバーズの情報を開示しているためだろうと。

「確かに…その銀髪は目立ちすぎる。知らない人間がいる時はそう呼んでもいいけど、二人きりの時はナエリカって呼ぶようにする」

「はい、主命のままに――」

 

 ナエリカを無事助け出したカイネル。左腕で呼び出したヴァハムートとはどれだけ離れていても会話ができるため、地上でホチアに手当てされていたナンバーズの全員をスカイブロックへと連れ戻した。

 一時目覚めたリリアンは混乱したが、すぐにマリアンによって説得に成功し、暴れるのを止める事ができた。その後軟禁からユリアンとサードを解放する。

 そしてカイネルはユリアンに言われるまま彼女たちをリンクさせることになった。

「そうです、そことそこを、はい、それからレバーを」

「なるほど了解だ」

 ユリアンはリリアンとマリアンの入ったカプセルの傍の装置の扱いをカイネルに伝えていた。

「……最後に数字の1から4を押していただければ完了です」

「本当にいいのかい?それを押したら君たちが次、目覚める時は――」

「構いません、リリアンもマリアンもジュリアンも望んでいることです」

 初期ロットと呼ばれる彼女たちは、幾度かの記憶の改変で時々悪夢のようなものを見るらしい。そこで4人の記憶は一度全て消し去ることになったのだ。

「ナエリカ…セヴンスの記憶をリンクした後にそれをすれば一切の記憶がなくなってしまうけど…」

「構いません…私は未だ過去の記憶が取り戻せませんし、それならいっそ始めからスタートした方がきっといいはずです」

 そう言ってユリアンはサード――ジュリアンの入っているカプセルの隣に入ると、中からボタンを操作してガラスのフタで閉じた。

 その部屋には4人しかいないが、他のナンバーズ、そしてナエリカも他の部屋のカプセルに入っていた。

「後のことよろしく頼みます――」

 そういい残してユリアンは目を閉じた。

 カイネルがボタンを押すと、それぞれのカプセルにガスが注入されて彼女たちの意識を奪う。レバーを引くとカプセルが七色の光りを溢して稼動する。

「女の子ばかり…地上に降りたらホチアがまた怒るんだろうな」

 そう言いながらカイネルは1、2、3とボタンを押した。


 カイネルがボタンを押して数十分後、最初にカプセルから出てきたのはナエリカだった。

「主、私はもう万全です!何なりと命じ下さい――」

「ん~今は特に何もないかな」

「そ!そんな!私を使って下さい!主の命なら何でも言う事を聞きます!」

 と言われても――とカイネルは腕を組む。そして何かを思いついた彼は、よし!と言ってナエリカに命令した。

「胸を揉ませてくれ」

「はい!え?胸ですか…こんなものただの脂肪ですが、主が望むなら――」

 カイネルとしては冗談のつもりだったが、ナエリカはそれに本気で答えた。

「冗談だよ、今は冗談を言うほどに暇だと言いたかったんだ」

「な、冗談ですか?なら私は何をどうすれば」

「とりあえず、今は――寝ようかな」

「では、私は酒を取ってまいります」

「酒?酒はベルギットさんから飲まないように止められているんだけど」

 しかし、ナエリカはすでに酒を取りに出ていた。

「少しなら…大丈夫かな――」

 戻ってきたナエリカと酒を酌み交わすカイネルは、その酒の美味さと彼女を助けられた安堵からか酒が進んだ。

 カイネルは知らない、どうしてベルギット・ベルベルトが彼に酒を飲まないように言い聞かせたのかを。


 スカイブロックで、カイネルたちがナンバーズたちのリンクを待つ間に、ナエリカと酒を酌み交わしている時。

 ギルド"ノラの集い"では珍客を迎えていた。

 レイフ・ラドクロスがその珍客を向かえ、苛立っているその珍客に対応していた。

「ま~落ち着いて、イライラしてもあいつは現れませんよ」

 レイフの言うあいつとはワールド、このギルドのギルドマスターのことだ。

 珍客は机を叩いて怒鳴り声を上げた。

「私はね!謝ってほしい訳ではないのだよ!ただ、今回の被害に対して礼金でも貰わないと話にならんといってるんだ!」

 男は訝しさを詰め合わせたような容姿をして、レイフは始めからその男を疑っていた。

 男の話では、彼の行商の一団が白面を着けた男に襲われて、品物を全て奪い去られたということだった。

 白面を着けた男は自らワールドと名乗ったらしく、ゆえに怪しい男はこのギルドへとやってきたのだ。

「…ちゃんとした証拠が無ければ、こちらとしてはどうしようもないですがね」

 レイフの言葉に男は再び机を叩く。

「証拠だと!そんなものはあの白面を着けた男が、自分でワールドだと名乗っているではないか!」

 何を根拠にそれが本物だと思ったのかね、とレイフは頭を掻く。

「それは証拠にならんでしょう」

「いいや!あれは間違いなくワールドと名乗った!」

 そりゃ名乗りはしたんだろうが、本物だからという訳でもないだろう。

 レイフはこの男がどうすれば引き下がるのかしばし頭を悩ませた。

 この手の奴は今までも何度か現れているが、ワールドが姿を見せてからは初めてだ。事実無根だが、こうも用意周到に書類を作ってきている以上は無碍にもできないしな。

「どうしたもんかね…」

 首を捻るレイフに男は不敵な笑みを浮かべる。

「こうなったら"行商会"に調査要請を出すしかないな!」

 行商会とはコトーデやベリナだけでなく、バルファーデンやサンテシリュカなどにも顔の利く行商を仕切る集まりで、いわば行商界のギルドみたいなものである。

 男は不敵な笑みを浮かべてそう言うが、レイフはいたって落ち着いている。

「行商会にですか…その方がいいかもしれませんね」

「いやなら謝礼金を――え!?行商会に報告してもかまわないのか?ギルドと全てのチカミチの支店と本店に調査が入るんだぞ?」

 男はただ単に、ノラの集いや後見のチカミチに、明るみにしたくないものがあると踏んでそう言ったのだろう。

 しかし、ばれて困るものなど何も無いレイフは堂々と無実を証明して見せようと言ったから、男の慌てぶりは止まる所を知らなかった。

「そ、倉庫も全部だぞ!帳簿も!年間の資産運用も!全て開示するんだぞ!」

「ええ、構いませんよ…どうせ毎年していることですし、勝手に行商会にやってもらえるんならこっちとしても助かりますし」

 どうせ叩いたら黒い金が落ちるとでも考えてたんだろうが、まーそんなものはないわけだけど。

 レイフは、「そちらさん名義で行商会には伝えて下さい、後は勝手に進むでしょう」そう言って男に席を立つよう促した。

「おそらく行商会は動かんと思いますがね…なにせチカミチは巨大だから、支店、倉庫となると人件費だけで町が買えますよ…たぶん」

 男は、「覚えていろ!」という捨て台詞とともにギルドを去っていった。

「覚えてろって言われてもな…」

「なんか物語りに出てくる子悪党みたいでしたね」

「おう、アリアちゃんあのおっさん帰ったぜ」

 奥の部屋から姿を現した少女はトレイに載せたコップをレイフに手渡す。

「あの人は嘘つきだったんですか?それとも本当に白い仮面の男に襲われたんでしょうか…」

「さーな、どっちにしても俺たちには関係ないこと――」

 そうですねと口にするアリアは少し複雑な表情をしていた。

 レイフは、そんなに気にしないことだ、と言って肩に手を置くが彼女の顔は暗いままだった。

「アリアちゃん本当に気にしなくてもいいのよ」

 そんなアリアに声をかけたのはレイフの妻、シアで彼女はニコっと笑うとその理由を話し始める。

「今調べてきたのだけど、あの男の行商とても酷いものだったわ」

「酷いもの?襲われた積荷がですか?」

「そう、密輸に密造酒、移動売春の常習、野盗からの品を平気で捌いていたわ」

「本当ですか!…そこそこ悪党だったんですね」

 シアは笑顔を浮かべて、だから気にしないの!とアリアに言う。

「ワールドの名を出したバカがどこのどいつかはしらんが、頭が悪いな~当のワールドはこの国にすらいないってのに」

「この国にいないんですか?ワールド氏――」

「ああ、まーね」

 レイフはスッとシアの方に顔を向けると彼女が凄い剣幕で睨んでいるのに気がつく。

 あれ、やばい、俺なにかしちゃったかな。

 考えるレイフはアリアの言葉で漸くその事に気がつく。

「ワールド氏が国外に出ているってことは、そのお手伝いをしている義兄さんも今国外にいるってことですね」

「あ…」

 レイフは"しまった"という表情でシアを見る。シアは呆れた顔で首を振った。

 たく、俺って奴は――

「あのな…アリアちゃん、心配しなくてもカイネルなら大丈夫だ、きっとうまくやってるさ、帰ってきたら酒でも一緒に飲んでまた笑顔で過ごせるさ――」

 それを聞いたアリアはついさっきよりもさらに暗い顔になる。

「どうしたのアリアちゃん?」

 シアは慌てて声をかけ、アリアはボソボソッと呟くように言う。

「お酒はだめです」

「はい?」

「義兄さんお酒を飲むとダメなんです」

 レイフとシアは顔を見合わせて、「どうして?」と聞き返す。

「お酒を飲んだ義兄さんは兄妹とか男女関係なく、可愛い人とかキレイな人にキスしまくっちゃうんです」

「へ~なんだ…キスか、キスぐらいどうってことないさ」

「そうよキスぐらい――」

 楽観視する二人にアリアは再度重たい空気で言う。

「義兄さんのキスは"ホッペに"とか"おでこに"とか"唇に"とかじゃなく、口の中に舌を入れたり、舌を吸ったりするんです。ベルギットさんも前にお酒を飲ませたらしく、部下の女の子みたいな男の人にもしちゃったみたいで」

「舌!!男にも――」「…ハードね」と驚く二人に、アリアは別の日のことを思い出して言う。

「前にメイネの誕生日にビールを一杯だけ義兄さんに飲ませたら、酔った義兄さんがメイネに、"さすが俺様の妹だ、可愛いやつめ"とか急に言い出して、キスし始めたかと思ったら舌まで入れだして…さすがに止めようとしたんですが、少しも離れなくて…延々と約一時間くらいメイネとしてました」

 実の妹と…ヘビーだな、レイフはそう口にしながら、頭でシアに強引にキスするカイネルの姿を思い浮かべて背筋を強張らせた。

「絶対にあいつに酒を飲ませちゃいけないな!絶対に!」

「私は少し見てみたいわ、"俺様"とか言うカイネルくん…かなり面白そうだわ」

 レイフはシアに、"絶対にダメだ!"と目を血走らせながら言う。

「どうせなら、私の誕生日に飲ませればよかったな~」

 アリアの独り言は本当に後悔の混じったものだった。その時以来カイネルの家には酒類の備蓄は一切なく、禁酒を貫いて買うこともなくなっている。ゆえに、ついつい本音が漏れたアリアだった。



 個体差で目覚める時間が違い、スィクススことクススが目覚めたのはすでに何人か目覚めた後だった。

 彼女は今回のリンクで、自分がかつてフィフスという名とユリノという名を持っていた事を知った。

 それはユリノを知っていたマリアンとユリアンとのリンクで知りえたこと。

「そうでしたわ…私はかつてユリノと呼ばれていたのでした」

 その事実は彼女にとっては"ただそうだった"というだけの事。彼女は過去は過去と振り払い妹たちを迎えるために部屋を出た。

 クススが向かったのは、先に目覚めた場合はそこへと言われていた場所。

 そこはリビングと呼ばれる場所で、L字のソファーに大きな冷蔵庫、巨大なモニターにいくつもの飾り画が置いてある。

「前はあの部屋が嫌いでしたが、今はもう嫌う理由もないですわね」

 セヴンスの記憶を共有した私はお父様の最後を知っている。標的だった神核者に殺されたお父様…哀れな方。

「それにしてもセヴンスとリンクしてから…この胸に芽生えたもの――」

 歩く足を止め、目を閉じたクススはその旨に浮かぶ姿に手を伸ばす。

「カイネル…ああ、これが"恋"なんでしょうか――"恋しい"とはこういう感情なのでしょうか」

 そう口にしたクススは止めた足を再び歩みだし、カイネルが待つリビングへと向かった。


 リビングの扉が自動で開き彼女が中に入ると、そこは見慣れた場所ではなく空の酒筒やらつまみやらがテーブルに散乱していた。

「何これ…まるで宴会の後ね…って言っても実際に見たことはないのだけど」

 宴会はセヴンスとのリンクで得た知識で知ったことの一つ。

 クススはリビングにある両開きの手動扉が片方開いているのを見つけてそこへ近づく。

「ここベットルームよね…、よくお父様がサードを連れて入っていた場所…」

 中を覗いたクススは天幕の付いた大きなベットをその視界に入れた。

「…え?」

 彼女が目にしたのはエイトスがベット上でカイネルに押し倒されているところ。

 エイトスとカイネル…何をやって――

「ん~んん~ん!ん~」

 あれは!キス!恋人同士が交わす愛情表現!――まさかこの目で見れるなんて。

 興奮するクススは恋愛脳と言っていいほど現在そういうことにはまりきっていて、エイトスが羨ましくなってしまう。

「…わ・た・く・しもまだなのに、エトちゃんったら――」

 漸く目が暗がりに慣れてくるとクススはとある事に気がつく。

「よく見ると他にも人影が…」

 大きなベットに横たわる人影が他にもあり、目を凝らすと誰なのかがはっきりと分かった。

「セヴンスにテンテン、イヴちゃんまで――」

 セヴンス・テンス・イレヴンスの三人はベットの上で放心状態になっているようで、自身の唇を触りながらなにやら余韻に浸っているようだった。

 そして、さっきまで悶えていたエイトスが静かになったと思ったら、カイネルが中を覗く視線に気がついた様子で一瞬にしてクススの前に移動した。

「わ!っと、カイネルどうしたんですか?私は覗いてなんていませんのことよ」

「………お前――」

 カイネルはクススの体をグイっと引き寄せて鼻と鼻が当たる距離で言う。

「可愛いな…俺様、お前…丸齧り」

 その言葉の意味は理解できないが、クススは唐突にキスされて強引に舌を中に入れられた。

「ん~!ん~んん、ま、っまって!ん~」

 そのままリビングまで押されてのソファーに押し倒されたクススは、カイネルにされるままになってしまう。



 目が覚めたナインスは同時に起きたサーティーンスと一緒にリビングへと向かっていた。

 二人もクスス同様、旨に芽生えたものに違和感を感じながら歩いていた。

「お胸が変なのですよ」

「ナインスお姉様もですか?」

 幼女なナインスのことを"お姉様"とサーティーンスが呼ぶのは、ナインスが先に覚醒した個体だからだ。

 年齢からしても、サーティーンスは20代前半で、なんならスィクススやフォースよりも年上なのである。

「ここのところ、キューってなるの」

「私も同じくです。カイネルを思うとさらにそれが増す気がいたします」

 二人がその違和感を恋だと認識するのはしばらく時間が掛かりそうで。

「おそらくリンクによるものでしょう、すぐに治ります」

「そうかな…」

 二人がリビングに着くと目の前には散乱した食べ物やら空の酒筒。そしてソファーに寝ているクススとカイネルだった。

「…クススお姉様?」

 サーティーンスに声をかけられたクススは頬を赤らめて目は虚ろ。

 そして、二人に気がついたカイネルが体を起こすとフラフラと歩み寄る。

「俺様……お前――」

 そして、身長の低いナインスに"丸齧り"と言うカイネル。

 状況の分からないナインスは堪らず"わ、私、骨ポイ、美味しくない、です~"と怯える。唇をそっと近づけるカイネル。

 しかし、ナインスにキスすることはなかった。

 酒が廻ったのか、カイネルはナインスにもたれかかるようにして眠ってしまったのだ。

「一体、この状況はなんなのだ?」

 理解できないサーティーンスは奥の部屋から、クススと同様に虚ろな目をしているテンスとエイトス、寝ているセヴンス、それに彼女の双子のイレヴンスを見つけて状況の確認をしようとする。

「イレヴンス?何があった!」

「……サーティーンス?…何がってお前…あれは……"熱"だな、燃えるような、しかし――心地のいいものだった」

 そう言ったイレヴンスは徐にサーティーンスにキスする。

「ん!ちょっ、ん、んん、まて、舌を――」

 しかし、イレヴンスはすぐにそれを止めた。

「急に何を!」

「違う…カイネルのキスはもっと凄かった!」

 要領を得ないサーティーンスは理解できないままに叫んだ。

「ここで!一体!何が起きたと言うのだ!」

 その声は虚しく響き渡り、ナインスにもたれかかったカイネルはクークーと寝息をかいていた。


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