Prologue 『40』
某中学校舎の体育館裏。
真夜中に呼び出された少年は、金髪の不良達にボコボコにされていた。
「や、止めろ貴様ら!
これ以上やったら……」
殴られている少年……竜崎龍は、包帯でぐるぐる巻きにした腕を前に出し、眼帯をしていない方の左目で、不良たちを睨み付ける。
「ん?
これ以上やったら、なに?
ママにでも、言いつけるゥ?」
不良の一人が返した言葉に、龍は大真面目で答える。
「オレの体の中に流れる王龍の血が目覚めて、貴様らを八つ裂きにしてしまうんだぞ!」
これには不良グループも大爆笑せざるを得なかった。
「お、おうりゅ~かよ、ひひひひひひ~!!」
「わ、笑い事ではない!
今日の紫色の月のせいで、王龍の運命指数が高まっているんだ!」
「あ~、お前やっぱ面白ぇわ~。
完全に中二病じゃん。
何その眼帯?
虹彩異色症のつもりかァ?
何その腕の包帯?
龍でも宿しているのかァ?」
不良は、ニヤニヤしながら、竜崎龍の眼帯を鷲掴みにして……剥ぎ取った。
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某中学校舎の体育館裏。
辺りには、撒き散らされた不良達と、その中央に立ちすくむ、一人の少年の姿があった。
「……全く……厄介な……」
虐められっ子はゆったりと、呟く。
「厄介な宿主様、じゃったのう」
竜崎龍は……いや、竜崎龍で、あったものは。
、黒と紫の虹彩異色症を妖しく光らせると。
右腕に飼っている龍を引き上げさせ、闇の中へ姿を消すのであった。




