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Prologue 『39』
ニホンオオカミは、絶滅種である。
秩父山頂、三峯神社の屋根の上で、ニホンオオカミの喇叭欄来は、大あくびをしながら、ゴロゴロしていた。
身の丈50メートル、恐らくこの日本で最大級の化け物は。
突然上がった紫色の月を、訝しんで、眺める。
いつものように、親愛の遠吠えをしようとは思わない。
それどころか。
(これを絶滅させねばならない)
野生の勘が、そう教えてくれた。
ニホンオオカミは、絶滅種である。
因みに、絶滅種の定義は、「過去50年間、(人間側で)生存の確認がなされない場合」とされている。
現在の絶滅種は、過去の絶滅種を睨めつけると。
憎々しげに、そして高らかに。
紫色の月に向かって、咆哮するのであった。




