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Prologue 『23』
ここはアフリカ。
深夜の2時頃になると、ヌベポ・ヌベバはゆらりと起き出し、いつものように東の空へ祈りを捧げ始める。
ヌベポ・ヌベバは部族の言葉で“忠実なる太陽の下僕”という意味。
彼女が夜の間に太陽を労り、慰めることで、この世界には辛うじて太陽が昇っているのだ。
しかし……。
開始数分で、ヌベポは違和感を感じた。
(……なんだこの感じは……邪魔……されている?)
ヌベポはゆらりと東の空に手をかざす。
彼女は知らなかったが、その先には……遥か極東の地があった。
(……行かなければ)
そう呟くと彼女は部族の長老に断りをいれることなく歩き始める。
なぜなら彼女は部族の一員である以前に。
……“忠実なる太陽の下僕”、なのだから。




