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Prologue 『1』
高校2年の秋月明は、剣道道場からの帰り道の途中であった。
今日は学校の小テストで泣くに泣けない点数であったため、家に帰って勉強をしようか、などとしおらしく考えていたのだが。
ふと。
顔を上げて空を見上げた時に。
『紫色の月』を見つけたのであった。
「お、おいおい……どういうことだよ……」
そこまでは、特におかしいことも無いセリフだが。
「“新陰流の忌み月”……早すぎるだろ……いくらなんでも」
まるでこうなることを知っていたかのように彼は呟いた。
「そうか、畜生……、あーあ、畜生、何で俺の代で、起こるかねェ。
出来れば死にたくないなァ」
明は畜生を連呼しながらも、意を決したような表情で。
神木刀『叢雲』を携えると、『紫色の月』の元へ足を向けた。