Prologue 『15』
「納得がいきません!
なぜ、なぜこのタイミングで軍を引き上げるのですか!!」
「落ち着きたまえ、ソイソース・ソーラレイWO-1」
横須賀米軍基地の一室に響き渡る怒声。
ソイソース・ソーラレイ5等准尉は、米軍撤退命令の報を聞き、上官の部屋へ殴り込みに来たのだった。
「あのパープルムーン……素人だって、見ればわかります!
あれは……あれは、JAPANの危機です!」
「ああ、そうだろう。
そして、ステイツの危機では、ない」
猛るソーラレイ5等准尉に、上官は溜息をついて言葉を続ける。
「ソーラレイWO-1……君は非常に優秀だが、あまりにも感情移入が過ぎる。
2次性徴も終わっただろう、そろそろ大人になりたまえ」
「仲間を見殺しにすることが、大人になることですか。
仲間を見捨てることが、我ら米軍のあり方なのですか!」
「そうだ」
もはや、ここまで。
ソーラレイはその場でバッジを引きちぎり、投げ捨てる。
「お、おい、正気か、ソーラレイWO-1!
き、君ほどの優秀な者が、何故わかろうとしない!
考え直すんだ!!」
ソーラレイ5等准尉は……。
いや、ソイソース・ソーラレイは、肩をいからせながら部屋から出ていく。
最後に、上官だった男に振り替えると、悲しそうな顔で敬礼をした。
「TOMODACHIは見捨てない。
……それが、私のあり方だからです」




