令和の桃太郎
伝統的な童話とITビジネスの概念が融合した、現代版パラレルワールドへようこそ。
かつて鬼を退治した伝説のヒーローは、令和の世でスタートアップのCEOとして新たな課題に挑みます。武力ではなくデジタル戦略を武器に悪を正す、痛快で新しい桃太郎の物語をお楽しみください。
むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
おじいさんは山へクラウドファンディングの資材集めに、おばあさんは川へ動画配信のネタ探しに行きました。
おばあさんが川でスマートフォンの画面を眺めていると、上流からどんぶらこ、どんぶらこと、巨大なピンク色のドローンが流れてきました。ドローンが運んでいたのは、なんと1個の巨大な桃。
おばあさんが桃を持ち帰ってナイフを入れると、パカッと割れて中から元気な赤ちゃんが飛び出しました。二人はその子を「桃太郎」と名付け、大切に育てることにしました。
すくすくと育った桃太郎は、ある日言いました。
「おじいさん、おばあさん。鬼ヶ島のアカウントがSNSで炎上商法をしてイイネを稼いでいます。僕、デジタルデトックスを教えに行ってきます!」
桃太郎は旅立ちの準備に取りかかりました。おばあさんは特製のきびだんご……ではなく、完全栄養食のエネルギーバーをポケットに突っ込んでくれました。
道中、桃太郎はイヌ、サル、キジに出会いました。
「桃太郎さん、そのエネルギーバーを1個くれたら、契約社員として同行しますよ」
イヌはリスク管理担当、サルはマーケティング担当、キジはドローン撮影担当として、桃太郎のプロジェクトチームに即座にアサインされました。
こうして結成された「桃太郎スタートアップチーム」は、鬼ヶ島へ上陸。
桃太郎は鬼の首領に向かって、剣を抜く代わりにタブレットを突きつけました。
「鬼さん、無断転載と誹謗中傷で収益化するのはもうやめましょう。これからはSEO対策をしっかりしたクリーンなメディア運営をするべきです!」
サルが完璧な改善提案シナリオを見せ、キジが空から映える動画を撮影し、イヌが法的なコンプライアンスを説くと、鬼たちは「ぐぅの音も出ない……!」と降参しました。
改心した鬼たちは、鬼ヶ島の特産品を使った健全なECサイトを立ち上げ、大成功。
桃太郎たちは、鬼から「コンサルティング料」として提示された株式と配当金を受け取り、おじいさんとおばあさんの待つ家に帰りました。
それからというもの、みんなでリモートワークをしながら、めでたし、めでたしと暮らしましたとさ。
本作は、誰もが知る昔話「桃太郎」を現代のデジタルビジネスの文脈へアップデートしたIT風刺ショートショートです。
刀を振り回して物理的に鬼を討伐する時代は終わり、現代の課題は「SNSの炎上」や「コンプライアンス問題」へとシフトしました。力で相手をねじ伏せるのではなく、適切なリスク管理と健全なビジネスモデル(SEO対策やEC事業)の提案によって、全員が利益を得る「Win-Winな解決」を目指す現代的なヒーロー像を描いています。
完全栄養食を手にリモートワークに勤しむ桃太郎たちの姿から、技術や知識を正しく使って平和な世の中を作る楽しさを感じていただければ幸いです。




