第八話 過去と未来の邂逅
ある日のこと、拙者は畑で一振りの若き大根と出会った。
「貴方はもしや大吾殿では? 噂は真でした。なんと見事な黄金色よ」
若大根は目を輝かせた。拙者は微笑んだ。
「うむ、これも辛抱の賜物よ」
「某も見習いとうござる」
その日の夕餉、和の里の和尚は二つの食材を前にした。一つは瑞々しい若大根、もう一つは年季の入ったたくあん侍。
和尚は二つを細切りにし、和えた。塩分刀の「塩」と酢橘の「酢」で、軽くもまれ味付けされたそれは、「大根とたくあんの新旧なます和え」として食卓に並んだ。
若大根の持つシャキシャキとした食感と清涼感、そしてたくあん侍の持つ深い塩気と熟成された旨味が絡み合う。
それは過去の己が未来の己と出会い、互いの存在価値を認め合うような、不思議な調和を生み出した。
「拙者一人の脇役の美学も良いが、若き力と和することで、また新たな美味が生まれるとは…⋯」
拙者は、世代を超えた「和」の精神こそが、食卓の永遠の平和を築く鍵であると新たに悟る。
「大根とたくあん和え」――それは、過去の己と現在の己が食卓で邂逅する、奇妙な物語でもあった。




