第七話 お肉の国の騎士 サー・ロイン
脂高圏の地には獣肉連合王国がある。以前来たグラタン騎士団も、この地からやって来た。
彼の地は赤身色の平原、霜降りの雪の山脈が広がり、力と旨味こそが正義の世界であった。
この国の騎士たちは皆、分厚い脂の鎧に身を包み、血湧き肉躍る熱に香ばしい煙をあげる。
その様「溶鉱炉なり」と、称えた猪の頭もいたほどだ。彼らは自らを食卓の「絶対的主役」と疑わず、他の食材を見下していたのだ。
若き騎士「サー・ロイン」も初めは尊大な脂高の持ち主であった。彼の者は大量の脂生活に飽き、たくあん侍の噂を聞いて和食の国へやって来たのだ。
「ここが例の里か。みんな細々とした、つまらぬ存在ではないか」
質素な暮らしの和の里の民を見て、サー・ロインは嘲笑った。しかし突如現れた「胃もたれ魔人」の襲来で事態は一変する。
脂の鎧は重すぎ、魔人の怒りを買う。絶対絶命のサー・ロイン。主役は重さと震えで動けなかった。
「どれ、脇役の真髄を見せてやろうぞ」
拙者の塩分刀が閃き、胃もたれ魔人は縮む。そして紫苑が油凪刀でサー・ロインの脂を吸い上げ、動きを軽くし主役を引き立て、立ち上がらせた。
「馬鹿な…⋯」
思わずサー・ロインは唸った。
自分だけでは完全ではない。共に食されることで、初めて真の「美味」として完成するのだと。
お肉の国の若き騎士は、単独の力ではなく、「引き立て役」の存在があってこそ輝けることを拙者たちから学んだのであった。




