第五話 似たもの同志 蕪侍との友情
拙者には紫苑の他にも同志⋯⋯いや友がおる。
蕪侍、名は白妙。雪のような白い肌と、丸々とした柔和な美しい佇まい。内に秘めた甘みと滋味深さは一流の証である。佩刀は「菘」という魔を払う力のある名刀である。
似たもの同志として。長い冬を共に過ごし、切磋琢磨した仲であり、拙者たちは固い友情で結ばれていた。
ある日、二人は雪の降る森で迷子の甘藍の子供を見つけた。雪に浮かれ遊び呆けて帰る方角が分からなくなったそうな。寒さに震える子供を放っておけず、拙者たちは子供を家まで送ることにしたのだ。
険しい山道、吹き荒れる吹雪。白妙は丸い体で甘藍の子を庇う。拙者は集中力を高めて、鋭い塩分刀で雪を切り開いた。
何度も転び、何度も立ち上がった。子供を励まし、互いを支え合った。ようやく村にたどり着いた時、甘藍の母親は涙を流して感謝した。
疲労困憊の拙者らに、甘藍の母は温かい味噌汁を差し出した。
「たくあん侍さん、蕪侍さん、本当にありがとう」
二人は顔を見合わせ、微笑んだ。体は冷え切っていたが、心は温かかった。どんな困難も、友情があれば乗り越えられる。
白妙とは、改めて互いの絆の深さを感じたのだった。そして、この友情はこれからも続いていくことを拙者は確信していた。




