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たくあん侍シリーズ  作者: モモル24号


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24/30

第二十四話 聖なる脂高は塩対応が酔い


 脂高圏────そこは、肉やバター、チーズといった濃厚な主役級食材が支配する。眩いばかりの異郷の地は今、クリスマスなる世界になっておった。


 赤き衣を纏いし者に導かれ、拙者と茄子侍の紫苑。街は豪奢な装飾で溢れ、人々は七面鳥やローストビーフといった主菜に夢中であった。


「引き立て役たる我らだが、今日はかりは主役の競演を楽しむのが筋であろう」


「うむ」


 招かれた理由は明白だが、祭りの興を削ぐのも悪かろう。拙者と紫苑は見守る事にした。


 しかしその飽食の裏側で、酒鬼が三鞭酒(シャンパン)(コルク・ガン)手にして忍び寄っていた。里人たちは濃厚な味に疲れ果て、気づいていなかった。


「出番のようだ」


「承知した」


 クリスマス・ディナーなる豪華絢爛な食卓の片隅に、拙者と紫苑が静かに進み出る。


「主役だけでは、食卓は完成せぬ」


 脂には我ら引き立て役こそ力を発揮する。いつもの口上を述べかけるが‥‥酒鬼の様子がおかしい。


「侍達よ、誤解だ。これは演出(サプライズ)、宴の余興じゃ」


 ────キュポンッ!


 酒鬼は瓶の栓を抜く。同じ水気でも鹿威しの静かなる水の音と違うが、耳心地の良き響き。


 他にもパァンと破裂し紙を散らせる癇癪玉を鳴らす。


 拙者達は刀を収め、共に酒をいただく。疲れた舌を、発泡酒なる泡がさっぱり洗い流す。


「これはしてやられた」


「主役は主役で派手にぶつかり合うのが似合う事もあるのだな」


 味を引き締めるばかりではない。とことん堪能し尽くす脂高圏の考えに、拙者達も新たな境地を見た気がした。


 豪華さだけが特別ではないが、派手派手しい花火のような美しさもまた乙なもの。


 今宵ばかりは食の調和を守る、聖夜の侍としての役割を忘れて、異郷の祭りを楽しむのであった。

 サブタイトルの「良い」を、「酔い」にしております。

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