第二十三話 胃もたれ魔人、胃潰王再び
新たな胃もたれ魔人、奴の名は胃潰王。以前の魔人とは格が違う。飽食の闇だけでなく、現代の闇からも生まれ出て、年の瀬がせまる頃に、極めて凶悪に育つ。近づくだけで胃に激痛が走るのだ。
ある夜更けのこと。働き詰めで食欲を失った里人たちが胃潰王に襲われていた。
「ぐわぁぁ、胃が焼ける…!」
胃潰王の酸の波が里を覆う。
そこに現れたのは拙者、たくあん侍。
「皆の者、退かれよ!この戦いは拙者一人で十分でござる!」
胃潰王は嘲笑った。
「貴様ごとき塩辛い漬物、我が酸の前では無力!」
奴が強烈な酸の波動を放つ。
しかし、拙者侍は動じない。塩分刀を構え、己の体内の塩分を極限まで高めた。
「塩気は酸味を和らげ、引き締める!これぞ、食の調和の極意なり!」
刀身を盾にするように胃潰王の酸の波動を受け止める。塩気が酸を中和し、里人達の痛みを和らげていく。
「馬鹿な、なぜ消えぬ!」
驚く胃潰王。
「貴殿のような『過ぎたる力』は『和らげる力』によって御せるものよ」
痛みから解放された里人たちは、たくあん侍たる拙者の自己犠牲の精神に涙した。
自らを犠牲にすることで胃潰王の力を弱め、里に再び平和を取り戻したのであった。




