第二十二話 塩の里
塩の里⋯⋯そこは純白の結晶が輝く、食の世界の生命線であった。里人たちは皆、塩分刀などの源となる清らかな塩を守り、精製していた。拙者は、己の力の源であるこの里を深く敬愛していた。
ある年の事でござった。里を「湿気魔人」が襲った。
魔人は塩の結晶に湿り気を与え、固まらせ、塩田を使い物にならなくしようとした。塩分が失われれば食の世界の秩序が崩壊する。拙者は、愛刀の塩分刀を手に急ぎ里へと駆けつけた。
「湿気魔人よ、貴様の好きにはさせぬ!」
魔人は嘲笑った。
「お前ごときの塩分など、私の湿気の前では無力!」
魔人が放つねっとりとした湿気の靄が、拙者に襲いかかる。拙者の刀も湿気で鈍り、本来の力を発揮できない。
絶体絶命のその時、里人たちが声を上げた。
「侍殿、我らの塩を!」
里人たちは精製したばかりの、純粋で乾燥した塩を投げつけた。
拙者は、その塩を刀身に纏わせる。刀は砥石で丹念に研いだ如く、再び鋭い輝きを取り戻す。
「貴様は『湿気』で全てを曖昧にするが、塩は『引き締め』と『調和』を生み出すのだ!」
塩分刀から放たれた強烈な「純塩波」が湿気魔人を直撃。魔人はたちまち乾燥し、崩れ去った。
塩の里は救われ、拙者は己の力の源である「塩」の持つ意味を再確認した。
それは、ただ辛いだけでなく、他の全てを引き立てる──清らかなる陽の光と風の結晶であったのだ。




