第二十一話 三色同和
ある日の美食王の食卓に里の和尚がやって来て三つの器を用意した。同じ畑で育った同郷の者たちの器だ。異なる時を経て偶然にも再会する運命の膳となる。
一つ目は瑞々しい若き兵‥‥なます大根。名を膾手と呼びし者。酢の利いた清涼感あふれる姿は、若き日の拙者を見るようであった。
二つ目は、乾燥という厳しい試練を乗り越え、凝縮された旨味を纏いし‥‥切り干し大根。名は千夜。天日凝縮突きを習得し、乾燥により得た鋼のような硬さで突き上げ水分を奪う技だ。圧倒的な噛み応えと滋味深さはまさに千の夜を越えし者に相応しい。
そして三つ目は長く重石の下で熟成された、たくあん侍としての拙者。
和尚は三つの個性を和えて、一皿の料理へと昇華させた。
「これは根は同じながら異なる季節、異なる試練を乗り越えた者たちが織りなす『和』でございます」
大王が口に運ぶと、なます大根の生の食感と酸味、切り干し大根の噛み応えと深い甘み、そしてたくあんの塩気と熟成された旨味が、互いの力をぶつけ合いながらも、見事な調和を生み出していた。
拙者もまた感銘を受けた。異なる形で熟成された仲間たちとの出会い。単独で主役を張ることはなくとも、こうして集うことで無限の可能性を生み出す。これこそが我ら脇役の真骨頂であると、改めて悟ったのであった。




